【感想】後悔と真実の色

貫井徳郎 / 幻冬舎文庫
(89件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
16
34
25
2
0
  • 長い労作

    殺人事件が起きる滑り出しに引き込まれたが、前半はのりが悪い。
    一転して、犯人「指蒐集家」が現れてから俄然面白くなる。
    「慟哭」に迫るかと思ったのもつかの間、主人公の個人的なスキャンダルで失速し、またも混沌。それでも終盤は盛り返し、面白く読むことができた。

    冗長というには忍びないが、長い。
    刑事の面々は興味深いが、数が多すぎる。最後の誘拐事件も不要ではないか。もっとコンパクトにすれば切れ味鋭い作品になり得たと思う。
    続きを読む

    投稿日:2015.04.04

  • イマドキの警察小説とサイコパス小説を知るものには物足りないです。

    かなり昔の小説か?と思わせるほど古典的なお話が展開する連続殺人もの。犯人像もつまらなく、意味なく意外❗

    投稿日:2015.11.17

  • 最後まで読むとタイトルの意味がじわりと響く

     殺人事件が起こり、その犯人を推理し、追いかけ、そして捕まえる。推理小説の醍醐味でありますが、当然のことながら、その一連の展開の中に、それぞれの人生があります。刑事には刑事の人生、一介の警察官には警察官の人生、そして犯人も、例え愉快犯であったとしても、そこに到るまでの人生があるわけです。
     どんな推理小説やミステリーであっても、それなりに人物像が描かれていますが、この小説は、山本周五郎賞受賞作です。やはり一味違いました。
     警察という組織の中の人々の葛藤は、どんな組織にも、いや、通常の友人間でも当てはまるでしょう。綿引が西條を敵対視?いや、毛嫌い?するのも、何となくわかります。どうやってもかなわない相手っていますものね。それは努力だけではカバーできない、自分にはない何かを持っている相手は、最初の出会いが上手くいけば、親友になるかもしれませんが、下手をすれば、この話のような形になってしまうでしょう。
     この西條を軸に、様々な人間が描かれます。ちょっと多すぎる嫌いもありますが、ホームレスとの交流までもが、すべて興味深いものでありました。これが、この猟奇殺人の犯人は一体誰なんだ?との興味との相乗効果で、先へ先へと読み進めていきたくなります。ただ、肝心の犯人逮捕と、最初の殺人犯の件は、少々あっけなかったかなぁ。
     タイトルの「後悔と真実の色」とは、まさに的を射たものでした。概ね人生は後悔と反省の連続です。なんとか道をはずれないように、はずさないように、懸命に人は生きていくのでしょう。西條のこれからの人生に幸あれと願うばかりです。
    続きを読む

    投稿日:2018.07.31

  • 想像を超えるストーリー展開です。

    文体も読みやすく、ストーリー展開も素晴らしい作品です。
    長編にも関わらす、一気に読んでしまいました。
    大概、読み進めていくうちに、展開が読めるのですが、本作品の展開には驚かされてばかりでした。

    投稿日:2019.09.02

  • 推理小説のかたちをとりながら、内容は主人公の内面を見つめる純文学。山本周五郎賞はダテではないと思わせる。

    女性殺害後に指を切り落とすという猟奇的殺人事件を前にして、特捜の刑事相互の虚々実々の駆け引きが続く前半は、人によっては苦手意識が強いと思う。実際に私も前半の読書ペースはかなり落ちた。後半に入り、主人公・西條(一途な一匹狼という感じ)の辞職を境に物語は一気に進む。多くの読者が前半早々に犯人が何となくわかるような設定であり、推理小説の要素を巧みに取り入れながらも、実際には“西條個人としての人生が何なのか”を問いかける純文学とも言える。単なる推理小説ではないところが、山本周五郎賞受賞作と思われる。私にとって、貫井作品は、“慟哭”が衝撃だったが、本作も氏の代表作に入り、お勧め。続きを読む

    投稿日:2016.12.21

  • 終わりそうで終わらない、しつこいぐらいのミステリー

    いやー長かった。
    でも、次が気になって読み続けてしまう。
    単なるミステリーだけでなく、いろんな刑事をプチ主人公的に描いていく手法が良かった。
    そして、終わりそうでなかなか終わらないラストも、ハリウッド映画ばりのしつこさがたまりません。
    それにしても、西條刑事は過酷な運命過ぎて、あまりにもかわいそうだった。
    一つツッコミを入れるとすれば、犯人しか知り得ない情報が流出したことで、模倣犯かどうかで警察は結構悩んでいるが、何指かまでは流出していないのだから、模倣犯はあり得ないでしょう、と思うのですが。
    続きを読む

    投稿日:2017.08.16

ブクログレビュー

"powered by"

  • さくら

    さくら

    このレビューはネタバレを含みます

    かなりの長編ながら一気読み!
    切れ者の西條刑事の生活が途中からどん底に落ちるのがびっくりした。
    主人公の刑事がホームレスになるとは。。
    薄気味悪い連続殺人事件だったけれど、ネットの書き込み等小細工がきいててなかなか面白かった。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.03.05

  • まさひろ

    まさひろ

    現代の人の繋がりの希薄さや倫理観の低下を描出し、西條の少しの掛け違いから生まれた状況が絡み合い、加速度的に読むスピードが上がってしまう。そんな本。

    投稿日:2023.12.05

  • ダンシ君のサブノート_中小企業診断士独学合格支援!

    ダンシ君のサブノート_中小企業診断士独学合格支援!

    「慟哭」の衝撃的な読み応えが印象的な貫井徳郎ですが、本作も非常に読み応え抜群で、一気に読み終えました!

    警察内の人間関係や心理模様が巧みに描写されており、映画を観ているような感覚で楽しめました。

    これは「慟哭」とともに貫井徳郎を代表する一冊だと思います。続きを読む

    投稿日:2023.10.06

  • さえ

    さえ

    犯人逮捕を掲げ、ひとつにならねばならない警察組織であるのに、それぞれの思惑、嫉妬、焦り、等々が絡み合い、決して一筋縄ではいかない…。そして、中盤から話が動き出す。

    登場人物、特に妻の秋穂や美叡の描写は男性目線で描かれている女性像だな、と感じた。
    続きを読む

    投稿日:2023.06.20

  • さわい

    さわい

    このレビューはネタバレを含みます

    面白かった。先に、宿命と~、の本を読んで、西條さんが優秀なのになんでクビになったのかしら?と思い真実の~を読み始めた。
    家庭内不破で、浮気し、発覚→退職ね。
    妻にも問題あるはあると思うが、結婚したんだから責任は同じ、しかも西條さんから口説いてる?よほどいい女だったのね。

    今回の犯人は、警察官。ありがちな話だけど、面白かった。ミステリーだけでなく、途中のサスペンス要素も大事です!!

    レビューの続きを読む

    投稿日:2022.12.27

  • ひゃっほう

    ひゃっほう

    これまでに読んだ貫井氏の作品の中で1番面白かったです。

    若い女性ばかりを狙い、指を切断し、持ち帰るという連続殺人が発生。
    捜査にあたる警視庁捜査一課の「名探偵」西條は、その優秀さと、コミュニケーション力の欠如さ、外見の良さから、やや孤立した存在だった。
    殺人が重ねられる度、大きくなる捜査本部を嘲笑うかのような犯人の行動。
    そして同時に西條に対する個人的な嫌がらせが始まり-。

    単なる推理小説ではなく、様々な警察官の心情、人生が描かれており、罪に問われる事ではないが他人に話すのは憚られる、嫉妬、嫌悪。
    正義感が強い故に同時に生まれる罪悪感、自責の念。
    肩書きを奪われて初めて知る、己の弱さ。

    そういった心理を巧みに組み込みながら、読み手に推理を楽しませる技巧が際立つ一冊。

    西條が自身の不倫を「ふたりで分かち合う罪。決して誰にも言えない、だが胸を張って誰彼ともなく自慢したい震え」と表現していたのが、個人的には心に残りました。

    2014年40冊目。
    続きを読む

    投稿日:2022.09.21

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。