【感想】ガザとは何か~パレスチナを知るための緊急講義

岡真理 / 大和書房
(46件のレビュー)

総合評価:

平均 4.6
25
9
3
0
0
  • イスラエルのナラティヴによる思考停止から逃れること

    2023年10月末に逸早く行われた講演を年末にスピード出版されたもの。にも関わらず10月7日から222日経ってようやく読めた。
    イスラエルによる虐殺を非難することは「反ユダヤ主義」でも何でもないこと、ガザの封鎖はアパルトヘイトそのものであること、そして人道問題である以前に政治的解決が求められる問題であること、など緊迫した情況への鋭い言葉に溢れていた。続きを読む

    投稿日:2024.05.16

ブクログレビュー

"powered by"

  • daisuket

    daisuket

    少しでも関心を持つ人には本書をオススメします。

    「パレスチナに国際法を適用してくれるだけでいい」

    ハマスの抵抗権の正当性を無視した「無法者のテロリスト集団」としてのプロパガンダ、イスラエルの成り立ちから端を発するイスラエル・パレスチナに対する欧米の歪なスタンス、パレスチナへの過剰で違法な抑圧の歴史などなど、日頃私たちがパレスチナ問題について知るニュースでは何を語ることが避けられているのか、この言葉はニュースに触れる私たち一人ひとりに重く訴えかけてきます。私たちの無関心がこの問題を作り続けている。続きを読む

    投稿日:2024.05.13

  • メランクってなんやねん

    メランクってなんやねん

    本当に何もわかってなかったなと思ったし、こんなひどい状況を世界ぐるみで放置しているという現実に絶望的な気持ちになった。
    けれど、あまりにもおかしい。わかりやすくおかしいのだから、自分も何かしたい。
    ずはこの本を多くの人にすすめたい。
    本棚で眠らせず、まず職場に持っていこう。
    続きを読む

    投稿日:2024.05.12

  • ぽえぞう

    ぽえぞう

    もっと早く読んでおくべきだった。パレスチナに国際法を適用すべき。可哀想な目にあったユダヤ人は何をしてもいいのか?自分がされたからこそ、人にはしてはいけない。ユダヤ人の民族としてのあり方が問われている。そして私たちの人間性も。続きを読む

    投稿日:2024.05.12

  • はる

    はる

    読もうと決めたきっかけは、3月下旬に見たとあるSNSの投稿だった。
    パレスチナの虐殺に声を上げる団体名「Palestine Speaks」をねじ曲げ、「パレスチナ黙れ」にしたステッカーが載せられていた
    ベルリンでの出来事だという。
    このステッカーを拾い上げたのは、ガザで家族を亡くした青年だった。
    投稿には「虐殺に声をあげる人を、『反ユダヤ主義』のレッテルで黙らせるのは間違っている」と書かれていた。

    https://x.com/natsukiyasuda/status/1770828975222226983?s=46&t=my19s9TpZW5YjwfgineFzA
    ↑X(旧Twitter)安田菜津紀さんの投稿。


    すごくショックだった。
    ドイツ語を始めてから、ドイツで行われていることが「遠い国の出来事」ではなくなった。

    ドイツで起きていること、ドイツの機関が発表することに対して、なんでこんなことするの?この発言はどういう意味?と思うことが多く、すごくつらかった。
    ドイツ語を頑張りたい気持ちと、つらい気持ちでぐちゃぐちゃになっていた。

    言語を学ぶということは、文化や歴史を学ぶことだと思っている。
    だから今パレスチナで起きていることを抜きに、ドイツ語を学ぶことはできないと強く感じた。

    しかしこれまでは、「大変なことが起きているけど、そもそもどういうことなのか分からない」という状態だった。
    だから、まずは知識のない人でも分かるような本を、そしてなるべく最近書かれた本を読もうと思った。


    この本は、早稲田大学の教授・岡真理さんが2023年10月に行った2回の講演をもとに、編集・再構成された本だ。
    分からないことがどんどんクリアになっていく感覚があり、読んで良かったと思う。
    どういう経緯で現在の虐殺が行われているのか、大変分かりやすかった。

    読んでいる中で、イスラエルが行っていること、そしてアメリカなどの欧米諸国の態度に強い憤りを感じた。
    「何故そんなことを」と何度思ったか分からない。


    ・現在起きているのは、大量虐殺である。
    パレスチナ人を民族浄化することによって、ユダヤ人によるユダヤ人のためのユダヤ人至上主義国家をパレスチナに創ろうとしている。

    ・しかしイスラエルは、ユダヤ教の教えそのものを踏みにじるようなことをしている。
    ユダヤ人の名によって、ホロコーストの記憶を利用し、ホロコーストと同じジェノサイドをしている。
    それに対して多くのユダヤ人が声を上げている。

    ・ホロコーストで生き延びた人々が難民となっていた。
    このユダヤ人難民問題をどう解決するか。
    国連がとった解決策が「そうだ、シオニズムがあるじゃないか。パレスチナにユダヤ人の国を創るというこの運動を利用しよう」というものだった。

    ・ガザの住民たちの7割は、1948年のイスラエル建国に伴う民族浄化によって、暴力的に故郷を追われ難民となった人たちとその子孫である。

    ・ハマースとは、イスラーム主義を掲げる、占領からの民族解放を求める運動組織である。
    被占領者が占領と戦うことは、武装闘争も含めて国際法的には正当な抵抗権の行使である。

    ・パレスチナ分割案が国連総会にかけられる前に、国連は特別委員会を設けてアドホック委員会に検討させていた。
    アドホック委員会は、「分割案は国連憲章違反である」「国際法にも違反している可能性があるため、国際司法裁判所に諮(はか)るべきである」とし、法的に違反だと結論づけた。
    また経済的には、ユダヤ国家は良いが、アラブ国家は持続不可能になると指摘した。
    「ユダヤ人難民問題は速やかに解決しなければいけないが、ホロコーストと関係ないパレスチナ人に代償を支払わせる形で、パレスチナの地にユダヤ人の国を創って解決しようなどというのは、政治的に、端的に言って不正である」と言い切っていた。
    しかし特別委員会で可決され、総会にかけられて、ソ連とアメリカの多数派工作によって賛成多数で可決されてしまった。

    ・これまでイスラエルは、数えきれないほどの戦争犯罪、国際法違反、安保理決議違反を続けてきたが、それらを国際社会は一度もきちんと裁いてこなかった。

    ・なぜアメリカは、これほどの攻撃を続けるイスラエルを支援するのか?
    →アメリカの国内政治において、親イスラエルの政治団体が非常に大きな力を持つようになり、彼らを敵に回したら選挙で当選できないという状況が作られてきたから。
    イスラエルの味方だと宣言することによって、多額の献金がある。


    【私たちができること・しなければならないこと】

    ・イスラエルに攻撃をやめさせるために、声を上げること。
    根本的に解決するために、政治的に解放しろと声を上げること。

    ・正しく知ること。
    周りの人にそれを知らせること。
    (→巻末に「もっと知るためのガイド」として、書籍、映画・ドキュメンタリー、ニュース・情報サイトがピックアップされている)

    ・BDS運動(ボイコット・投資引き上げ・経済制裁)を行うこと。
    これは実効性のある運動である。
    続きを読む

    投稿日:2024.05.11

  • ばななサンド

    ばななサンド

    ガザ地区はどうして生まれたのか?そして、今、どういった状況にあるのか。歴史からひもといていく。
    講演形式なので、とても解りやすかった。
    日本人は、まず知ることから始めなければ。

    投稿日:2024.04.29

  • shinjif

    shinjif

    昨年からイスラエルが行っているガザ地域への攻撃に端を発して、昨年行われたガザ地域とはどういう経緯で生まれたものなのか?そもそもイスラエル国ができてたから、イスラエルとパレスチナの間で起きている紛争とはどういうものなのか?について行われた緊急講義をまとめたもの。

    日本においては、イスラエルが第二次大戦においてホロコーストの犠牲となったユダヤ人のために建国された国である事、断片的にしか報道されない事、イスラエルの巧みなプロパガンダによって、さもイスラエル国が正当性があったり、他の国同士の対立において使われる「憎しみの連鎖」の様に、きっかけはあるものの双方の度重なる報復合戦のために今となってはどちらに非があると言い切れないものという印象を受けがちだが、それとは根本的に異なるという事を示している。
    パレスチナという地をイスラエル国とするのは国連によって決められた事であるが、それ以来イスラエルは国際法を無視して不当に国土を拡張するだけでなく、ユダヤ人至上主義を貫いて、パレスチナの人々を迫害し、民族浄化遠目指したジェノサイドを、行っているとしている。
    パレスチナ側が国際法に違反して一般人を犠牲にしたケースもあるものの、そもそも不当な占領、人種迫害に対して抵抗する権利は認められており、日本においてはその観点を欠いたまま報道される事が多いために、真実が伝わっていない。


    この本自体は講演をまとめているので、非常にわかりやすく説明されていて、読みやすい。一方で自分の無知を思い知らされるので、読んでいて辛い。
    しかし、末尾の講演で行われたQAの中で、岡真理氏も自分も最初はここで語っているパレスチナの事を何も知らなかった、しかしこれを知って、それが植民地主義と深く関連していて、色々わかってくる様になった。少しずつ学んで知っていけばいいのだと、答えている。
    まさにそんな一歩となる本だった。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.28

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。