【感想】思い出せない脳

澤田誠 / 講談社現代新書
(25件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
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ブクログレビュー

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  • さちこ

    さちこ

    一読目にきつい内容だと思って放っていましたが、図書館の期限が近づき、読まずに返そうと思ってバッグに入れていたところ、病院の待ち時間が意外にあったことから、ふと読み始めたら止まらなくなりました。
    超特急で、とばしながら読みましたが、読む前と読んだ後では、感覚が別物です。
    意識が俯瞰的になったと言う感じ。
    ちなみに、いま図書館でこの本を読み終えましたが、方々で新聞をめくるバサバサした音がしていました。
    今までだったら、イライラしそうなものを、全然気にしていない自分がいて驚きました。
    脳の仕組みを少しは理解した効果なのだろうか?
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    投稿日:2024.04.14

  • だい

    だい

    最終章 以外は読まなくても良い
    自分のマインドセットを作ることが記憶には大切なことである
    前半部分はこれまでの 脳 研究 分かっていることを説明しているのだ もう少し 図版が多い方が理解しやすいのではないだろうか
    思い出せない 脳の5つのパターンとして記憶の仕組みを説明している

    マインドセット(自分の)
    情動は脳の解釈によって作られる
    脳のポテンシャルを引き出す方法
    認知機能を保持できる「認知予備能。
    思い出せない脳の5つのパターン
    コラム
    記憶を作れない男
    情動をコントロールする方法
    記憶を食べる脳細胞
    人工的に記憶を操作する一光遺伝子
    目覚めた女
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    投稿日:2024.03.30

  • 陽

    タイトルの通り、「思い出せない脳」を5つのパターンに分類し、それぞれどのようなメカニズムで起こるのかを説明している。

    ★「思い出せない」ときに脳で起こっていること5パターンとその対策
    ①そもそも記憶を作ることができなかった
     ⇒神経細胞を減らさないように健康的な生活習慣を身に着ける
    ②情動が動かず、重要な記憶とみなされなかった
     ⇒好奇心を持ち、心を動かしながら日々を過ごす
    ③睡眠不足で記憶が整理されなかった
     ⇒質の良い睡眠をとる
    ④抑制が働いて記憶が引き出せなかった
     ⇒どうしても思い出せない時は、思い出すのをやめてみる
    ⑤長い時間使わなかったために、記憶が劣化した
     ⇒どうしても忘れたくない記憶は定期的に思い出す
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    投稿日:2024.01.19

  • aya00226

    aya00226

    このレビューはネタバレを含みます

    脳トレが鍛えているのは手続き記憶。
    記憶力とは思い出す能力のこと。
    海馬が衰えると、思い出せなくなる。

    そもそも記憶できない。
    情動が動かず、重要な記憶とはみなされない。
    睡眠不足で記憶の整理ができない。
    抑制のため記憶が引き出されない。
    使われなかったため記憶が劣化する。

    のどれか。
    記憶が作られないのが認知症。朝食に何を食べたか思い出せないのは物忘れ。食べたことを忘れるのは認知症。
    記憶がないとその時間が存在しなかったも同然になる。人生が消しゴムで消されたような不安な出来事。

    海馬が損傷しても手続き記憶は作れる。
    海馬には一時記憶が保存ざれる。大脳新皮質に送られて長期記憶になる。
    昔の記憶がはっきりしているのは、大脳新皮質がしっかりしているから。最新の記憶は海馬がしっかりしていないと大脳新皮質に送れない。
    記憶はネットワークで保管される。脳の神経細胞は入れ替わらない。神経細胞が死ぬ主な原因は血流不足。血管の健康を保ち、適度な運動をし、質の良い睡眠をとる。
    認知症になると、複数のことを同時に行えなくなるため、料理も苦手になる。

    脳幹、大脳基底核は生命維持=爬虫類の脳。
    大脳辺縁系は感情、感覚、記憶=旧哺乳類の脳
    大脳新皮質は理性、事実認識=霊長類の脳

    意味記憶とエピソード記憶。
    どんな人かを憶えていても、名前が出てこないのは、エピソード記憶のほうが生存に必要な記憶で、名前は意味記憶だから。
    心を動かさずに生活していると記憶は作られにくくなる。好奇心をもって心を動かしながら過ごすと記憶力は向上する。
    情動を無理やり押さえつけると健康を害する。
    吊り橋効果=ドキドキするから恋をする。
    中枢起源説と抹消起源説=感情は、中枢から始まるか抹消から始まるか。抹消を動かすことはできる=抹消を動かすことで感情をコントロールできる。
    甘いものを見ると食べたくなる情動は、脳の基本的な本能。

    睡眠は脳の機能を回復させ、老廃物を排出し、記憶の整理編集定着を行う時間。
    レム睡眠のときに夢を見る。レム睡眠中は、大脳新皮質の視覚連合野の活動が上がっている。前頭前野が休んでいるので支離滅裂な夢になる。夢を見るのは長期記憶の形成のため。夢は副産物。覚えていないのは夢はワーキングメモリーの仕業だから。
    楽器や運動は、目が覚める前の浅い眠りが必要。脳がその間に復習する。
    浅い睡眠、レム睡眠のときにエピソード記憶、少し深い睡眠のときに手続き記憶、デルタ睡眠のときに意味記憶、が処理される。睡眠薬では睡眠周期が現れないので記憶に障害が起きる。
    睡眠が足りないと思い出せない脳になる。眠るのがもったいない、ではなく眠らないのはもったいない。

    本当は覚えているのに思い出せないのは、周辺抑制が働いているから。GABAなどの成分。食べても脳には影響しない。エピソードは思い出せるのに名前が出てこないときの状態。思い出すのを辞めると思い出せる。思い出そうとすることはネットワークは活性化しているので意味がある。

    前頭前野は、GABA受容体が多いのでアルコールの影響を真っ先に受ける。
    GABA受容体に異常があるとてんかんやけいれんが引き起こされる。
    複数の神経細胞で記憶を補完する。神経細胞は記憶の保管を掛け持ちしている。思い出さなければ劣化する。
    不要だと思われた記憶は薄れる。
    エビングハウスの忘却曲線=最初の忘却がかなり急速に進む。1時間後に復習する。
    記憶は思い出すたびに変容する=記憶はネットワークで保管しているから。プライミング効果とフラッシュバルブ効果。変容した記憶は何が本物かわからなくなる=証言の信ぴょう性に問題が出てくる。

    サヴァン症候群では左脳の機能がないため、右脳が発達したという説がある。事故で後天的に左脳に生涯を負って、絵の能力に目覚める人がいる。

    記憶の干渉=似たような記憶が邪魔をする。
    光遺伝学=光でたんぱく質を制御する手法。

    ハサミを取りにキッチンにいったのに、コーヒーメーカーを目にすると忘れてしまうのは、周辺抑制のため。コーヒーメーカーの刺激が、ハサミの記憶を抑制した。目の前の情報に集中する機能。

    脳は細かいことは気にしない=生き残るため。
    情動も記憶と同様にマインドセットによって作られている。
    十分な睡眠をとる。マルチタスクを辞める。
    認知予備能があれば脳細胞が死んでも代替できる。高齢になっても人との交流を絶やさない人に多い。
    思い出せないときにスマホで検索しても脳には影響はない。無理に思い出そうとがんばっても脳が鍛えられるわけではない。答えを知ったときの受け止め方=情動が働けば強く記憶に残る。
    記憶はハードディスクではない。定期的に思い出してメンテナンスをすること。

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    投稿日:2024.01.11

  • wegman

    wegman

    記憶に関して、様々な面から議論されており大変興味深かった。各章の最初にあるストーリーも、面白かった。どちらかというと、ブルーバックス的内容かな?

    投稿日:2024.01.08

  • kemtarou

    kemtarou

    タイトルがいい。歳をとると、まず名前(名詞)が出なくなり、次に動作を表現する言葉(動詞)が出にくくなったり、挙句の果てには表現力(形容詞)が衰える、という話は聞いたことがある。
    老夫婦の会話で、アレ誰だっけから始まり、ああだったよなぁが続き、あれなんだよなぁ、で終わる禅問答みたいな笑い話があるが、実際に経験し出すと自虐的になる。
    本書は、そんな脳のカラクリについて、専門用語にも触れながら、最初から最後まで、平易に理解が浸透するような語り口で説明されていく。そもそも、思い出せないとは、どういうことか、5つの要因に分解して、それぞれについて章立てして解説されている。なぜ思い出せないかは、
     ①そもそも記憶を作ることができなかった
     ②情動が動かず、重要とみなされなかった
     ③睡眠不足で記憶が整理されなかった
     ④抑制が働いて記憶を引き出せなかった
     ⑤長い間使われなかったため、記憶が劣化した
    このうち、③と④は新しい知見として興味深かった。起きているときより、寝ているときの方が活発化する脳の部位(視覚連合野や大脳辺縁系)があり、生々しい映像として夢を見る謎の一端が明かされている。また、一生懸命に思い出そうとするほど思い出せず、何かの拍子にふっと思い出す現象として抑制性神経細胞の働きがあり、お酒を飲み過ぎたときの記憶がない、という現象も説明されている。まだまだ謎だらけの脳だが、自由意思はあるか、という哲学的な探究が続けられていて、その実験結果には驚かされる。それは手首を動かすという動作を、本人の意思で始めようとする前に、脳内ではその準備のための活動が始まっていることである。脳は身体の部位なのに、実は意思そのものがあるかのように不可思議な結果が後をひく。
    続きを読む

    投稿日:2023.12.12

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