【感想】東京大田区・弁当屋のすごい経営

菅原勇一郎 / 扶桑社BOOKS新書
(4件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • touxia

    touxia

     東京の蒲田に住んでいたときに、玉子屋のトラックはよく見かけた。弁当屋さんと知っていたが、この本を読んで、すごい弁当屋さんであることを認識した。とりわけ、菅原勇継会長の新しいことを切り開く開拓力と長期的な視点で後継者を育てるということに凄みを感じた。子供の頃に野球をやらせて、チームプレーを学ばせる。経営者はチームプレーを理解していないとうまくいかないと思う。親から子へ事業継承がスムースに行き、会社が飛躍的に伸びた。会長は「俺はお前を2代目にするために幼いころから仕込んできた」といい、57歳の時に27歳の息子に完全にバトンタッチした。「俺がゼロから作った会社だ、潰しても構わない」と言い切る。素晴らしい。
     朝から注文を10時半までに受けて、12時に7万食を送り届けるというシステムに、驚く。朝4時から仕事をするのは、弁当屋では普通なのかもしれないが、昼ごはんの時間にそれだけを届け切るというのがすごい。大田区にある弁当屋さんの徹底した密着型で、東京丸の内などの昼食難民を見抜いての積極果敢な企業攻略。一食500円で、日替わり弁当だけで年商70億円。高い精度の需要予測と独自のシステム構築により、平均廃棄ロス率が0.1%。無駄を徹底排除、仕入れ原価率50%で取り組む。弁当箱はリターナブルでエコに徹する。
     社長は、徹底してコミュニケーションを図る。弁当から未来を語る。スタッフに「こころの灯火」を灯すことに力を注ぐ。とにかく信用を基本とする。
     本書は、2018年に出版されたが、2018年以降のことが加筆されて、よりこの経営者の真髄が表現される。2020年4月に緊急事態宣言が出され、コロナ禍で在宅勤務となり、売り上げが激減。赤字になった。さらに2020年8月に150人ほどに食中毒事件を起こした。ダブルパンチである。食中毒事件を起こした際の迅で的確な対応。すごい。その中にあっても企業として復調する。2022年10月には黒字化した。玉子屋ガンバレというメッセージがSNSにあふれたという。
     成功ばかりでなく、失敗があることによって、よりたくましい企業になっている。
     事業に失敗するコツ。旧来の方法が一番良いと信じていること。ひまがないと言って本を読まぬこと。どうにかなると考えていること。良いものは黙っていても売れると安心していること。高い給料は出せないと言って人を安く使うこと。お客様はわがまますぎると考えること。そんなことはできないと改善せぬこと。いやはや。ズバリ、その通りだ。常に前を向いて、進化し続けるしか企業は成り立たない。
     #菅原勇一郎 #菅原勇継 #玉子屋 
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    投稿日:2023.11.23

  • ともぞー

    ともぞー

    たまに見る玉子屋の車と弁当のビジネスで数十億を売り上げる仕組みが気になって手に取った本。

    メインの語り手は2代目社長。
    ただ、創業社長の一貫したポリシーや考えも豊富に入っていて非常に内容は濃いと思います。

    人を大事にする、顧客第一に考えるなど『人』が基軸となって、事業全体の意思決定や仕組みが構築されているところがこの本の根幹かなと感じた。

    今対峙している人が幸せになるために、何をして何をしないのか、その判断がしっかりされたビジネスでのしあがってきた。
    一方で、新書版で会社経営が厳しくなったコロナ&食中毒の出来事。世の中が変わり、急速に変化しなければならないことも出てきた。

    今後の会社の歩みが気になるので、また何年後かに書籍を出して欲しいです。
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    投稿日:2023.07.17

  • inappy

    inappy

    菅原社長が入社されるより前の2005~6年頃、私はよく玉子屋のお弁当を食べていたので、興味をもって最後まで楽しく読みました。当時の自分は収入も少なく貧乏でお金がなかったので、安くて便利な玉子屋さんをちょくちょく利用していました。今はわかりませんが、当時の玉子屋のお弁当をおいしいと思ったことは1度もありません。時間とお金がないので生きるために仕方なく食べる食事でした。辛かった思い出が蘇るので味の問題ではなく気持ちの問題からもう二度と食べたいとは思いません。

    前置きはさておき読了後の感想です。玉子屋のポリシーとシステムが本当にすごいなと思います。要はやらないことを先に決めてやれる範囲でベストを尽くす。最初に事業を立ち上げられた先代と従業員の優秀さがよくわかりました。またそれと同時に市場を破壊する価格での提供は、いろんな方の犠牲の上になりたっていたんだなと思うと気分が悪くなってきました。
    あとはなんかパワハラ社長(著作者)がハラスメント自慢してるだけのオ〇ニーをみせられて非常に不愉快でしたが、これを世に出して会社に対するマイナスイメージをよく持たれないと思ったな…と驚きましたし、書籍化にあたって絶対権力者に対する社内の自制システムがまったくないことが逆に示されており非常に興味深かったです。高学歴は虐めて体育会系と高卒以下と外国人を雇うって、要は給料あげなくて済むから利益率があがることを暗に示していて「吐き気を催す邪悪」をジョジョ以外で久々に見ました。
    コロナのインパクトも気になるところでしたが、最もダメージを与えたであろう「食中毒事件」に関する言い訳も、臨時で雇った他の会社のやつの管理が悪いと他人のせいにする精神はすごいと思いました…。ポンコツ機械を買っといて2年で赤字返上さらにコスト効率化で黒字だわ!よって俺は悪くない!の精神。メンタルを鍛える系の本もぜひ書いてほしい。サイコパスの才能は日本一狙えると思います。絶対食品を扱わせてはいけないタイプの思考ではないでしょうか。
    まともな人間は親の会社にコネ入社して最初の挨拶で親と職場の同僚に向かって親の戒名を叫んだりしない(早く〇ねって意味)からね。そりゃ従業員もドン引きですよ。

    現代の闇が凝縮された一冊、ぜひお楽しみください。
    私はリアリティショーとしては面白かったです。
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    投稿日:2023.05.27

  • あやたか

    あやたか

    いつも、電車の窓から、嫌でも目に着く建物と、営業車が目に入ってきます。私もいっとき、お世話になりました。美味しかったです。三方よし!の地域密着の会社を、詳しく紹介されています。会社が順調に成長して行く2018年12月迄のことが、本になっていましたが、そのあとが、最後の新書化によせてに書かれています。コロナと食中毒。ここをメインに、いかに立ち直せたか、ぜひ続編を楽しみにしてます。それにしても、コロナで手を引いた銀行には、怒りを覚えました。続きを読む

    投稿日:2023.03.16

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