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キース・クーパー, 斉藤隆央 / 河出書房新社 (6件のレビュー)
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総合評価:
ABAKAHEMP
『三体』を愉しんだ後で手にとる本
"彼らはここにいる!"というアンサー本ではない。 「50年に及ぶ天空の探査で、地球外文明と確かに言えるものは何も見つかっていない」のだから。 むしろ、見つけられなかったのは、彼らがいないからではな…く、探索する側に問題があったのではないかと問う。 まず、我々自身の"視野狭窄"問題で、われわれが今していることを、ETもするだろうと決めてかかる、人間中心の議論になっていたこと。 実際の地球外生命は多様な知能を持っているかもしれないのに、限られたヒトというビジョンやバイアスを投影して、予想を組み立てる過ちを犯していた。 知能がとりうる形態についてもあまりに限られた定義しか持ち合わせていないため、これまで見逃していた部分が大きいのではないか。 人は水がないと3、4日で死ぬが、メタンベースの生命もありうるのだ。 人間中心の考え方を持ちすぎると碌なことはなく、最良の戦略は、複数の可能性を考慮して、生命が必ずしもわれわれに似たものでなければならないとは考えないことだ。 しかし、結局のところ我々は、持っている探知能力以上のことは探知できない。 数百年前まで、大地にナスカの地上絵のような幾何学模様を描いて、天空とコミュニケーションをとろうとしていた。 電波が開発されれば電波、そしてレーザー、次にニュートリノビームと、現時点で発展して手にしたテクノロジーを最良と思うのが我々ではないか。 ただぼうっとしてろと? コロンブスにジェット機ができるまで待てというのか? ただ、地球外文明は他の通信手段を用いていて、見逃しているとは考えないのはお些末だろう。 そもそもSETIの観測は、効率的な短いシグナルではなく、コストが高くてありそうもない、連続的な長いシグナルを検出するよう設定されている。 何千年も、あらゆる方向に、強力なシグナルを出力しつづけたら、コストも高くなるだろうに...。 莫大なコストとエネルギーを割いて宇宙にメッセージを送ろうとする、辛抱強くて親切で、呆れるほど利他的なエイリアンがいるかというのが、次の問題。 それを当てにしているSETIは根拠のない思い込みだろう。 「私心のない利他行動が星々のあいだで多く見られるというSETIの期待は頼りにできない」。 じゅあ、彼らにとって見返りは何か? 未知の彼らへのメッセージに、Googleのサーバーまるごと送ったらどうかという議論がいかに荒唐無稽か。 腹をすかせた彼らとの「コンタクトのパラドックス」が本書の原題であり、中心となる議題だ。 『三体』を読んで宇宙社会学や狩人の巣食う「黒暗森林」理論などに興味を持ったら、第7章の「地球からのメッセージ エイリアンとのコンタクトは危険か」という議論は面白く読めるのでは。 本書を読んで最も恐ろしいと思ったのは、仮に莫大な資源に溢れた天の川銀河の植民地化や入植の波を着々と進めた、我々よりもはるかに進んだ地球外文明があったとして、彼らが地球に向けて軍を派遣するにはとんでもなく長い距離であるため、侵略よりもむしろ文明の絶滅を考えるなら、それはおそらく疾病によって起こされるだろうと予言していること。 コロナ禍の我々って、ひょっとして...続きを読む
投稿日:2021.08.29
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sibainusan
地球外知的生命体を探索する、SETIに関する最新の知見をまとめた本書。 そもそも天の川銀河において、宇宙空間に進出できる文明をもつ知的生命体はどれほど存在しているのか、またその文明の存続時間は人類文…明の存続時間と重なりうるのか。また、仮に上記の条件をクリアしていたとして恒星間航行が果たしてできるのか。 もし宇宙人が存在し恒星間航行が可能なのであれば、なぜいま彼らかここにいないのか。つまり、宇宙人は存在しないのでは。という矛盾をフェルミのパラドックスと呼ぶ。 また、SETIとは別に、積極的にメッセージを宇宙に向けておくるプロジェクトもあり、そちらは危険なエイリアンに地球の位置を教えることになるとも危惧されているそう。 ダイソン天体やそうした文明の痕跡を探す方法も模索されている。 従来考えられていたよりもはるかに多くのハピタブルな惑星が次々に発見されているが、現在の文明度では行くことはおろか、直接探査もむずかしく、おそらくそれは仮に存在しているのであれば他の文明もそうなのだろう。 いつか宇宙で人類は孤独では無いことを証明できる日がくるのだろうか。 来てもまだ10000年くらいはかかりそうではある。 少し早く生まれて来すぎた。 第一章は利他行動の仮定として、はたしてエイリアンは地球人類と同じような利他的行動に意味を見出しているのか、利己において行動しているのかを議論 第二章は知能。そもそも文明を持てるレベルの知能は他の惑星で生まれうるのか。 第三章は地球以外に人類に居住可能な惑星がどれほどあるのか。 第四章ははたしてエイリアンが宇宙にメッセージを発信している可能性はあるのか。 第五章はエイリアンは宇宙に進出するほどの文明を持てているのか。 第六章は時間軸。文明の存続する時間はどれほどで、はたして人類文明と存続時間が重なる可能性はあるのか。 第七章は地球から発したメッセージが危険なエイリアンを呼び寄せてします危険性はないのか。 第八章はこれからのSETI。続きを読む
投稿日:2022.10.10
tony&co.
冗長なのでかなり読み進めづらいものの、 地球外知的生命体の探索を巡って行われている取り組みについて理解を深めることができる。
投稿日:2021.10.14
ボマルツォ
「三体」を読んで宇宙にメッセージを送る危険性について認識をあらたにしたところで、地球外生命を探すための最新情報が得られるかなと読んでみたこちらの本、いい意味で裏切られました。地球外生物を探すことは、人…類や地球上の生物、地球の未来について考えることにつながるという、読んでみれば確かに、と気づかされることが多数あった。そもそも探してる知的生命体の知的ってどういう存在のことだっけ?という問いかけからしてなかなかに複雑だ。何光年、何十光年も離れている恒星系に向けてメッセージを送るのには莫大なコストがかかるのに、地球外生命体がわざわざメッセージを宇宙に向けて送るメリットがないのでは、という現実的な観点は、なるほどと納得してしまった。宇宙人に興味はなくとも、未来に向けて、今何が起ころうとしているのかを知るキッカケとして程よい読み物と思われる。 続きを読む
投稿日:2021.09.11
から揚げレモン
エイリアンを探すことは、人類や地球環境について多くを学ぶことに直結することを教えてくれる本です。ただ人類がSETIなどで認識できる知的生命体が、人類と同様の環境で生まれ、類似の知性をもつという前提が、…このような試みの限界なのかなとも感じました。たとえばスタニスワフ・レムのソラリスや、ロバート・チャールズ・ウィルスンの時間封鎖などに出てくる生命体?などは、人類にはやはり検出も理解もできないのではないかと思います。おそらくはこの著書に登場する科学者たちも、そのような限界は理解していることでしょうし、その上で様々な考察をして、できることを考えているのではとも思われました。 続きを読む
投稿日:2021.08.24
Masahiro Sera
単なる「エイリアンはいる」と言うような興味本位的な本ではなく、地球外知的生命探索(SETI)を世界ではいかに本格的に、そして真面目に、さまざまな角度から研究が行われているかと言うことが書かれている本。… 生命が人間とは異なるものである可能性を考えれば、地球と同じ条件がそろう必要はなく、何らかの命が生まれる環境は幅広くあるはず。しかし地球外に生命がいるとしても、どんな知能があるかもわからない相手と、いかにコンタクトをとるのか? これに関しても、人類が歴史の中で今日コミュニケーションをとれるようになっていることが示唆していると言う。 中には理解が難しいところもあったが、筋は理解できた。そして今までは、宇宙人と言うと全く得体の知れない生命体(?)で、高い確率で存在していると思っていたが、過去の生物絶滅の危機を幾度も乗り越えた上で我々が存在していることや、月がないと地球に生命も存在出来なかったかも知れないと言う奇跡的な環境で成り立っていることを考えると、地球外知的生命体の存在はあるのかなと感じさせてくれる。 一方元々ビッグバンで形成された宇宙は同じ元素で成り立っているし、選択と進化により合理的な形質で存在しているホモサピエンスは、ある意味必然なのかなと思うので、知的生命体がいたとしても、感情や形質も似ているのかなと思うようになった。続きを読む
投稿日:2021.07.19
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