【感想】ビジネス小説 もしも徳川家康が総理大臣になったら

眞邊明人 / サンマーク出版
(158件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
54
62
26
6
3
  • ビジネス小説?いやいや現代の問題点をえぐるエンタメ小説

     過去の偉人や英傑をAIで復活させて政権を担わせるという奇想天外な設定ではありますが、とても面白く読ませて頂きました。逆魔界転生みたいなものですね。また、日本史に詳しくなくとも大丈夫ですよ。人物が登場する度、解説が入ってました。実は私も、理科系で大学受験を世界史選択で通ったもので、萩原重秀という人のことは全く知りませんでした。
     さて物語は、「これから、2020年の話をしようと思う。」で始まります。まさに舞台は現在の日本。コロナ禍の中、閉塞感漂う現代に、どうしようもなくなった政府がAIによって偉人達を復活させて、日本の舵取りをゆだねるというストーリーです。歴史上名を残した人はあまた存在しますけど、英傑と称される人は、あの3人でしょう。その中で、なぜ徳川家康が総理大臣なのかな?と思っていましたら、冒頭でガツンとやられます。曰く「家康は、意図的に当時の領土を拡大して成長することを止めた、世界でも希に見る異質なリーダーであった。」な~るほど、と思いました。もっとも未だに領土拡大することが成長だと思っている指導者も世界にはいますけどね。これは経済成長がもはや真の成長ではないと、筆者が主張しているのですな。
     家康率いるAI内閣は、次々と有益な政策を実施していきますが、国会の方は全く機能していません。ある意味、一部の賢人による政治です。これは圧倒的多数による与党政治と同じですね。国会が機能しないはずです。とても危険な状況なのですが、違うのは、AIで蘇った人々には、自己顕示欲も名誉欲も、そして彼らに対する評価も定まっていますから、純粋に国を思って活動しているというところでしょうね。いつまでも権力を手放さない、どこぞの輩とは違うというわけです。
     ストーリーとしては、AIで蘇った閣僚の何人かが暗殺されるというサスペンスっぽい推理小説の要素、また語り継がれている千葉道場の娘と龍馬との恋物語等、物語としての面白い要素を加えながら、最終盤面でコロナは終息します。そして家康は国民に対し最後の演説をして最強内閣は総辞職します。作者が言いたかったことは、この家康の最後のメッセージに込められているように思います。自由と不自由との折り合いをつける、愚かさを過去から学び、未来をつくるぜよ、と龍馬も語ります。これは今を生きる我々に対する強烈なメッセージです。
     物語ではこのあと総選挙が行われ、有権者の90パーセントが投票に出かけたと語られてエンディングを迎えます。ここが現実と全く異なるところです。情けない限りです。どんな資格試験でも7割位取らねば合格はしません。一票の格差を問題視する前に、こっちの方がよほど問題です。
     やたら文句だけ言って何も行動しようともせず、また自分の頭で考えもせず、何でもかんでもキチンと決めてくれと叫んで、結局、唯々諾々と従う国民。これは、ナチスの総決起集会で、「総統!ご指示を!」と叫んでいる民衆と同じです。コロナ禍を契機に、変わるべき、いや変えるべきモノは、我々の意識でしょう。
     誰かこの小説を実写にCGを交えて映像化しませんかね?舞台が現代では不都合ならば、近未来として、コロナがマズイならば未知のウィルスが蔓延したとして映像化したら、とても面白いモノが仕上がると思いますけど。当局からstopがかかるかな?
    続きを読む

    投稿日:2021.12.05

ブクログレビュー

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  • 2027063番目の読書家

    2027063番目の読書家

    徳川家康に惹かれて読んでみた。しかし家康よりも取り巻き達が目立っている印象w。天文~安政の名武将達が次々に自論を展開する様はなんとも奇妙で面白い。映画化されるとの事でデジタル化される武将達も見てみたい続きを読む

    投稿日:2024.05.21

  • dotabata

    dotabata

    平安、戦国、幕末の英雄たちに登場してもらい、
    現代を世直し。そして説教。
    コロナ禍で、「今の時代の人たちは未来に向かってどう生きるか?」
    を面白おかしく書いていた。
    著者の主観が強いので、違う考えを持つ人には、読み終わるまでが辛いかもしれない。続きを読む

    投稿日:2024.05.18

  • さき

    さき

    映画化されているので、面白いのかなと思って読んでみた。

    コロナ禍の日本で、AIとホログラムで作られた偉人たちが内閣を組閣し、徳川家康が総理大臣に就任するという内容。

    読みづらかった。登場人物も多くてよくわからなかったし、内容も劇的な何かが起こるわけでもなく、面白くなかった。映像で見たら違うのかも知れないが。続きを読む

    投稿日:2024.05.06

  • 有樹

    有樹

    このレビューはネタバレを含みます

    ビジネス「小説」、あくまでエンターテインメントといった感じ。
    もっと難しいのかと思っていたがサクッと読めた。
    後半になるにつれて現代の人にもフォーカスされてきて、西村が剣道でインターハイ出てたとかなんだその設定……北辰一刀流……そうですか……吉田も強……とちょっとトンデモ設定だなと感じてしまった。
    が、本当にあって欲しいな、AI内閣……と思ってしまうくらいにはかつての英傑たちの決断力と行動力は魅力的だなと感じた。
    政治への無関心とか政治の腐敗とかそういったものが少なくなればいいなと思う。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.04.17

  • たけ

    たけ

    偉人たちによる最強内閣で全部解決!みたいな単純明快な話かと途中まで思ってたけど中盤から次第に綻びや不穏な空気が出てきてそれにどう対処していくかが読み手にも問題提起されてる感じもあって、なるほど確かにこれはビジネス小説だと納得した。
    読み進めるほど序盤に描かれてたさりげない伏線に気づいてくのがおもしろく、後半の緊迫感ある展開がとても良かった。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.16

  • 凪帆咲

    凪帆咲

    現在の政治への無関心さやリーダーシップについて考えさせられた一冊。
    序盤。設定への疑問は横に置いて、偉人たちの行動力にワクワクしながら読み進んだ。秀吉の若手起用采配時の言葉に感動。この辺りは星5。
    盤以降、AIの暴走、人のAI依存を課題に進む。バグを見つける部分からだんだんつまらなく感じた。
    映画面白いかな。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.16

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