【感想】悟浄出立

万城目学 / 新潮文庫
(75件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
10
34
19
3
0
  • 表題作は

    表題作に興味があって購入。

    これは面白かった。
    けど,他はちょっと話が地味すぎて個人的にはあんまり。

    投稿日:2017.05.21

  • 俺、八戒。人間の気持ちよくわかる。なぁ悟浄

     中島敦の「わが西遊記」の続編を意識して書かれた本書。現代風に言えばスピンオフってヤツなのでしょう。といっても、悟浄が主体的な主人公として大活躍する物語ではありません。中島版は自問する沙悟浄/沙悟浄の見た悟空批評。そして万城目様版では「沙悟浄が見た八戒」を語られます。悟浄は「八戒はなぜ豚なの?」「なぜそんなに自堕落なの?だって君はかつて・・・・」と語りかけ、考え悩みます。 悟浄は悟浄の人生?の中で主人公だけど、西遊記という時のなかでは主人公にはなりえない。そんな悲しみを、読んでいる私自分も感じてしまいました。
     その他、三国志の趙雲(劉備や張飛に対して)、史記の虞美人(項羽に対して)など、時の主人公たちを受け入れながらも、小さな嫉妬や羨望をもっている方々が登場します。脇役が脇役のまま、でも自我をもつスピンオフ。お勧めです。
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    投稿日:2017.09.19

ブクログレビュー

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  • ぴろ

    ぴろ

    「鴨川ホルモー」をはじめとする万城目学氏の作品はいくつか読んだことがあり、面白い話を書く人、奇想天外なストーリーを書く人 というイメージだったが、本作はだいぶ違う。そして私好み。中国古典を題材に、深みのある内容、心に刺さるフレーズ、描写の巧みさ(スケール感、血腥さ、悲哀など)で、読み手の心を揺さぶってくる。
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    投稿日:2024.05.12

  • 白いヤギと黒いヤギ

    白いヤギと黒いヤギ

    実は、私が"万城目学"の名を最初に意識したのはこの文庫本。パラパラと目次を見ただけで、中国古典が好きな人ならすぐに気付くタイトルがずらりと並ぶ。

    1 「悟浄出立」 西遊記のメンバーの一人•沙悟浄を主人公とした物語。
    2 「趙雲西航」 三国志の蜀の軍人•趙雲子竜を主人公とした物語。
    3 「虞姫寂静」 秦を滅ぼした項羽の寵姫•虞美人を主人公とした物語。
    4 「法家孤憤」 秦の始皇帝暗殺未遂事件と法家思想政治の顛末の物語。
    5 「父司馬遷」 史記の著書•司馬遷の娘から見た父の物語。

    3〜5は史記が題材。どれもスピンオフ的な視点で物語が作られていて面白い。お薦めを一つ選ぶとしたら「虞姫寂静」。虞美人の秘めたるエピソードが胸を打つ。これで興味を持ったならば、司馬遼太郎の「項羽と劉邦」を読むと面白いんじゃないかな。良い読書ができました。
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    投稿日:2024.04.26

  • Limei

    Limei

    遠い世界だった中国の歴史の世界を私も一緒になって肌で感じられて、中国史のとりこに
    それも万城目さんらしく人間味あふれる魅力的な人たちにしてくれました
    はまりすぎて中国語も習い始めてしまいしまた
    私の世界を大きく広げてくれた1冊

    短篇集で読みやすく、何度も読み返すほど好き
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    投稿日:2024.02.21

  • おびのり

    おびのり

    時折やってしまう、S潮文庫の呪縛による、内容未確認予約物件。悟浄は、沙悟浄のことでした。
    中国古典文学の多少脇役にスポットを当てた短編集5編。
    この作品を書くに至った万城目学さんの序文に、すごく、いいね!っと思いました。彼は、高校時代の現文テストに出題された小説に心奪われた。その後、それが中島敦の「わが西遊記 悟浄歎異」と知る。中島敦は33歳で亡くなり、これは未完といったところ。そして、万城目学さんがその歳になり、そのオマージュに挑戦となる。
    私は高校の現文の教科書で読んだつもりの森鷗外の寒山拾得のラストが心残りで時々思い出していたのですが、それが寒山拾得縁起のラストであったことがわかった時、ようやく納得したような気持ちだったですね。若い時代の出会いって、忘れ難い。(最近は、一昨日登録した本もあやしい)

    悟浄出立 西遊記より
    沙悟浄視線の猪八戒考察。
    趙雲西行 三国志より
    張飛・趙雲・諸葛亮の蜀への船上物語。
    虞姫寂静 史記より
    四面楚歌の元 虞美人草の虞姫の悲恋。
    法家孤憤 史記より
    燕の刺客、荊軻 同音の名を持つ男との分岐点
    父司馬遷 史記 「李陵」中島敦
    娘の榮から見た、大御所司馬遷。
    どれも読み物として面白いのだけど、私が中国古典を読んでなくて、中島敦も西遊記を読んでないんですよ。なので、どの部分が万城目学さんの創作なのか、どのぐらいフィクションなのか、わからないのが残念でした。
    猪八戒って、天界にいた時は、シュっとしたイケメンで、地上に落とされた時豚とぶつかってあの姿というのは、西遊記からなのかしら?
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    投稿日:2023.02.02

  • masa0612

    masa0612

    万城目学作品だが、これまでとは異なり、原作から想像を膨らませた短編集。様々な作品をキャラクターそれぞれの目線で感情や行動が描写されているため、どれも主体者の目線で情景やエピソードが感じられる。おすすめは表題作よりも、虞姫寂静。
    万城目氏、中島敦や沙悟浄が推しとは、やはり面白い。
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    投稿日:2023.01.31

  • セルガン

    セルガン

    このレビューはネタバレを含みます

    この本を読んでいると、久々に中国史に関する本を読みたくなった。中国史は謎が少ないけど、題材にすると書き手によって特色が出るストーリーになって面白い。

    万城目学は著者解題で中国史にミステリー要素が少ないのは、司馬遷がいたからだと主張している。司馬遷によって緻密に歴史が記録されたため、司馬遷以降も中国史は正確に書かれていると主張している。この主張はなるほどなと感嘆した。いつかは史記を読み、司馬遷が情熱を出した文を読みたいものだ。

    この本はいくつかの短編によって構成されている。その中でも、この本のタイトルである悟浄出立に込められたメッセージに胸を打たれた。「過程にこそ素晴らしさがある」というメッセージは、現代の結果だけを求める風潮に一石を投じているのではないだろうか?

    1番面白いと感じたのは、虞姫静寂だ。虞にスポットを当てており、あまり記録が残っていないため万城目学が思い描く虞に対するイメージがありありとこの話に表れていると思う。項羽のかつての妻であった虞に似た女を虞としての役割を与えるというのは、万城目学の妄想力が無ければ思いつかないだろう。

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    投稿日:2022.05.16

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