【感想】圏外編集者

都築響一 / 朝日出版社
(42件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
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13
4
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0
  • 編集における灯台下暗しを実践し続ける男

    『TOKYO STYLE』や『賃貸宇宙』で、雑誌の部屋特集では取り上げられない個人の趣味が充溢した部屋をまとめ上げ、『夜露死苦現代詩』では詩人ではない人たちが読み上げる詩としか言いようのない言葉たちを私たちに示してくれた編集者、都築響一。

    メディアが取り上げる情報を、そのジャンルを代表するものだと思い込んでしまっている我々の頬に、斜め後ろからビンタをかましてくれるような都築響一の仕事。本書は、そうしたノウハウとして一般化できない彼の編集術、社会の見方が語られます。

    机に座ってわかるような情報をまとめることに腐心する昨今の編集業とは、180度違う、自分で動き、自分で見つけ、自分でおもしろさを見出し、自分で伝えること。自分たちのアンテナでは圏外でキャッチアップできない、もしくは消化される情報としてまとめられていないものごとが、彼のアンテナにとっては尽くバリ3(古い)状態なのです。

    遠くにあるものではなく、近くにあって見えないものを、愛をもって徹底的に見つめる男の執念。
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    投稿日:2016.10.26

ブクログレビュー

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  • airi0729

    airi0729

    都築響一さんの本は 友達に教えてもらってハマったけど
    どの本も、他の人が思いつかないけれど
    当たり前の在り方を変えてくれるような
    そんな本ばかりで つい集めています

    そんな都築さんが 自身の仕事について語る書籍なんて 面白いに決まってる!と思い手に取った

    久しぶりにサラサラと読み終えてしまった
    基本的に共感の連続だったからだ

    業界内の飲み会で傷の舐め合いしてる時間は無駄で
    その時間をも 愛する対象に向けてあげる方が
    よっぽど素晴らしい仕事が出来ると思った


    ジャーナリストは
    みんなが これがいい と言っているところに
    いや、こういうのもアリなんじゃないか?という選択肢をなるべく沢山示すのが仕事

    という文言が特に 刺さった!
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    投稿日:2024.04.25

  • yonogrit

    yonogrit

    1452

    POPEYEとかBRUTUSの編集とか写真家やってる都築響一さんは『TOKYO STYLE』で知ってファンになって今回文章の本初めて読んだけど、面白かった。同業者と飲むぐらいなら全く関係ない職業の人と話をする方がよっぽど意味があるって言っててこれはほんとわかる。本とかもそういう意味で同業者の本は全く読まない。職場の同じチームの人とはコミュニケーションを円滑にする為に飲み会には参加するけどね。

    けつきょく、編集を学ぶヒントがどこかにあるとしたら、それは好きな本を見つけてじっくり読み込むことしかないと思う。ミュージシャンが好きなミュージシャンをコピーすることから始まるように、画家が尊敬する画家の模写から始めるように、編集者だって好きな本や雑誌と出会って、それを真似して作ってみることから始めたらいい。著者が好きな本でもいいし、編集やデザインや、造本が好きというのだっていい。あとは、1冊でも多く自分で本を作ることのほうが大事だ。

    それより大切なのは、100回読み返せる本を、何冊か持つこと。映画監督になるのだって、たぶんそう。寝る間も惜しんで何千本観た、とかいうのは評論家にとっては大切だろうけど、作り手はそうじゃない。100回見ても感動する、そういう映画と出会って、繰り返し観続けて、 自分のものにするほうがはるかに大切なはずだ。

    編集塾と同じくらい無意味なのが、同業者との交流(笑)。異業種交流会は、さらに意味 ないと思うけど。 編集者の飲み会、みたいなのに誘われていたころもあったけど、ほとんど参加しないでい るうちに、もう誘われすらしない。編集者の知り合いはたくさんいるけれど、仕事を離れて も毎晩一緒に飲みたい、なんてひとはひとりもいないから。僕は写真も仕事だけど、写真家 もまったく同じ。同業者と酒飲んで「編集論」とか「写真論」を戦わすとかって、いちども やったことないかもしれない。 同業者は仲間じゃない。同じ仕事をしている以上は、ライバルだ。だから同業の友達は、 なるべく少ないほうがいい。編集者同士で酒を飲むヒマがあるのだったら、そこらへんの居 酒屋やスナックで、まるで関係ない仕事をしているひとと知り合うほうが、よっぽど有意義 な時間の過ごし方だろう。

    音楽でたとえると、ミュージシャンにあたるのが著者で、DJの役割を果たすのが編集者しれない。DJの仕事が曲と曲をつないで、ひとつの音楽のかたまりを作るように、いろんな記事を組み合わせて、1冊の本に組み上げていく。素材を作るのはあくまでミュージシャンで、編集者は一緒に曲を作るわけではない。

    美大の卒業資格には社会的な価値なんてないんだから、無駄だと思った瞬間に退学したほうがいい、ほんとに。 もし自分がロックバンドをやりたかったら、ギター買って練習するだけだ。音楽大学を目 指して、予備校行ったりしないだろう。ラッパーや小説家になりたかったら、ノート買って リリックや文章書くだけだろう、ひたすら。文学部国文科とか目指さない。でも、アートだけはちがう。それって、おかしくないか?

    なにかが気になったとして、検索で簡単に見つかるものは、ようするにだれかがやってるってことだ。

    コミケに行ったことのないひとは「オタクの祭りでしょ」くらいにしか思ってないかもし れないが、ぜんぶのブースが漫画やアニメなわけじゃない。文芸コーナーもあるし、詩集や 写真集や紀行文とか、いろんなジャンルがある。僕もずっと前から、手作り本でいちどは参 加したいとひそかに思っていて。外国からの出展者やお客さんも年々増加の一途で、「東京国際ブックフェア」よりはるかに国際的でもある。
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    投稿日:2023.07.30

  • 修司

    修司

    本屋をまわっていつも思うのは、なんだかみんな同じだな、ということ。
    みんな四角い。似たような名前に、キャッチコピーに。なんだか色味まで一緒じゃない?その本の存在価値はあるの?と。

    なにを題材に、なにを目的に、本を作る?
    唯一無二は、意外とその辺に寝そべっているのかも。

    このタイミングで読めて良かった。いまのわたしに響く本だった。1日で読み切った。都築さんのことなにも知らないのに。

    わたしも、いざ。
    わたしだけの、オリジナルを。
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    投稿日:2023.01.16

  • 大吉堂

    大吉堂

    何気なく手にした本に打ちのめされました。いやあ感慨深い。
    アンテナを張り巡らすこと。自分でものを作り上げること。ここで書かれているのはメディア(報道)のあり方だが、これは店づくりにも適応できるなと刺激を受けました。面白い店を作るぞ。続きを読む

    投稿日:2021.12.29

  • あたらしい11ぴき

    あたらしい11ぴき

    熱かった。でも賛成できるところ多数。ここまで自分は批判的になれないが、おもしろくよめた。
    聞き書きって久々に読んだ。

    投稿日:2021.09.26

  • asahiro

    asahiro

    なるほど〜、スゲーなー、と思うところと
    うーん、そうかなと思うところと
    なかなか読みながら、結構考える本だった。

    投稿日:2021.02.14

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