【感想】戸籍のない日本人

秋山千佳 / 双葉新書
(4件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
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  • 問題を認識するとっかかりとして

    無戸籍という言葉じたい、なじみがなかったのですが、この本を読んでなぜそういう問題が発生するのか(ここに書かれた事例がすべてではないにせよ)、それによってどのような障害などが発生するのかがよくわかりました。

    新書なのですぐに読めます。
    この問題を取り巻く状況は刻々と変わっていくと思いますが、今の時点でざっくりと理解するには良い本ではないかと思います。
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    投稿日:2016.03.21

ブクログレビュー

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  • ぐぐ

    ぐぐ

    2015年5月24日初版。
    前半に当事者たちの3つのケースが語られ、後半は法制度の在り方について著されている。本書の中で語られる大学院教授の言葉「体が変わってきているのに、既製の服を無理やり合わせようとしている状態」が分かりやすい。過去の民法は制定当時の人たちが可能な範囲でつくられたものであり、成り立ち自体はとても興味深かったし、当時の人たちの知恵には感服。でも、結局は過去のものであることを忘れてはいけないし、過去のものは常に更新されていく必要がある。裁判においては裁判官自身の思いがどうであれ、既存の法の解釈を超えた判決は出来ないため、やはり根本を変える必要がある。というか、嫡出推定って推定だったのかと。みなしだと思ってた(ならなおさら、時代錯誤な推定にこだわる理由が分からない)せめて例外規定、特別法でも作れば良いのにと思ってしまう。反対派の意見についても本著の中で記載されていたが、法体制や既存の家族制度崩壊の点についてしか記載がなく、もっと実務的な反対要素はないのかと(結婚詐欺や戸籍偽造、パスポート偽造等に利用されるとか。単に著者が記載しなかっただけ?)という疑問が一点。
    ※2021年2月には審議会にて嫡出推定に関する法改正の試案のとりまとめが行われたようなので、2015年以降少しずつではあるが動きつつはあるみたい。
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    投稿日:2021.04.05

  • kyuri24

    kyuri24

    おそらく2010年代に入ってから初めて出た、日本の『無戸籍者』問題に関する本。

    現在日本には分かっているだけで600人強、推定だと1万人の無戸籍者がいると言われています。また文科省が今年史上初めて実施した調査によると、全国の小中学校には少なくとも142名の無戸籍児童がいることが確認されています。

    本書は、筆者が無戸籍者の方とその家族に行ったインタビュー(第一~三章)と、無戸籍問題が未だ解決されない理由の考察(第四、五章)で構成されています。知れば知るほどこの問題は難しい。日本の民法が実情と合わなくなっていることを感じさせられます。なんでDNA鑑定で親子鑑定が科学的に証明できるの時代に、民法772条(離婚後300日以内に生まれた子は前夫(婚姻中の場合は夫)の子と推定する)が優先されるのか理解に苦しむ・・・。

    第四章では無戸籍問題の報道において最も登場頻度の高い有識者である、早稲田大学の棚村教授(専門は家族法)へのインタビューも掲載されています。その中で教授がおっしゃった、次の言葉が印象に残りました。これって無戸籍問題だけでなく、日本が抱える様々な問題に共通していると思うのです。
    「日本は経済優先で、標準と違う人たちに対して、全然優しくないですよね。ついてこられないお前たちが悪いんだと、問題を抱えている人たちを切り捨てていく。家族の問題も置き去りにしてね。その結果、どんどん格差は広がり、家族も無縁化して孤立していく。」(p191)
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    投稿日:2015.10.06

  • ワサキ

    ワサキ

    かなり衝撃的でした。無国籍の外国人が日本で子供を産んでも戸籍が取れて、日本人になれるのだけど、日本人同士から産まれた子供も、タイミングによっては戸籍が取れないのだと。戸籍が取れない人は学校にも通えず、選挙権もなく、保険もなく、日本人とみなされていないのだ。完全に政治の怠慢であり、法案を潰した故中川一郎氏を心から軽蔑する。そして応援している稲田朋美氏もネガティブな立場だと知って、かなり驚いた。300日ルールを廃することや、市区町村の権限で戸籍に足すことによって誰が不利益を被るだろうか?
    全く理解できないことが多すぎる。
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    投稿日:2015.09.28

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