【感想】エル・シオン

香月日輪 / 徳間文庫
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
5
3
1
3
0
  • ファンム・アレースを読んだ方も、これからの方も。

    香月先生のファンタジー。ファンム・アレースの前日(はるか過去)譚になります。(たぶん)義賊がうっかり神霊の封印を・・・、そして世界を救う という壮大なお話し。ヒトがヒトの力で世界を救うことがいいんですよ。カッコよくて、ちょっと間が抜けていて、熱い想いを秘めたキャラクターが香月先生らしくてとてもいいんです。やっぱりカミサマって奴は、基本傍観者でお願いしたい(アマテラスみたいに・・・)というのは、ヒトの思い上がりかな?両作を読むと、ああ、なるほど、という箇所がたくさんあって、読み直しの楽しみがふえるのです。

    ところで、このみなさんのレビューが読めるってとってもいいですよね。読書って、作者の思いを受け取る行為だと思うんですけど、そこにどうしても読者の主観が介在するじゃないですか。でも、他の方のレビューを読むことで、あっ、こんな見方があったんだと気づかされることがたくさんあります。気に入った本は何度も読み直す方なので、みなさんのレビューが読書の一部になっているんです。みなさんありがとうございます。良いお年をお迎えください。
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    投稿日:2016.12.23

ブクログレビュー

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  • tk

    tk

    児童向け文庫で出ていた3巻を一冊にまとめて復刊したもの。
    青年×少年の組み合わせが好きで、表紙に惹かれて読んだ(香月日輪さんって、全部の作品を読んだわけではないが、子供のキャラや年上×子供の組み合わせが好きなのかなと思う)。
    で、その観点から見ると、青年はまだ少年と呼べるような年齢で、子供の方は人外長命種で見た目通りの無邪気さと達観した聡明さを持っている。思ってたんと違ったけどまあこれはこれで…。
    あと青年の疑似妊娠展開みたいなのがある。一瞬だけ女体化もする。疑似母子っていうか、家族や故郷への愛情をバルキスがフップへ教えたんだろうと思う。

    子供向けという事でかんたんな文章、強そうで魅力的なキャラがどんどん出てくる派手な展開。ページ数の制限のためか、主人公二人を含め一人一人を深堀りしていないのがもったいない。

    フップはジーニー(アラジンの)でありドラえもん。ラストのあらすじも概ね『さようならドラえもん』。
    しかし、ドラえもんが助けてくれなくとも人間の力だけで夢を実現させていく…というのは良いんだけど、危ない力だから眠っているうちに封印しちゃおう、というのはかなりフップがかわいそう。
    人間にとって必要とか、危険とか、正体不明とか、そういうの無視して二人仲良く平和に家族として暮らして欲しかった。

    あとバルキスはイケメンだし、身軽で超強くて鼠小僧みたいな義賊だし、やはりドラえもんのストーリーの感動や説得力はだめだめなのび太君だからこそだな…ドラえもんの感想になっちゃった…。

    ドランフルとトネールには生き残って欲しかった。さまざまな種族が共存してゆく世界に、かつて圧政を敷いた亡国の人間が生きていてもよかったじゃん。

    中学生の頃、図書室にあった妖怪アパートと大江戸妖怪かわら版を、読書好きな友達から勧められて一緒に楽しく読んだのを覚えていて、その香月日輪さんが2014年に亡くなっていたのを知った。哀悼。
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    投稿日:2024.03.29

  • nao

    nao

    キャラ設定がよく分からん。イケメン盗賊かと思ったらコソドロの様な口調だし。大人しそうな可愛い魔王君はウーーッ!ヤァ!ってハイテンションだし。世界観も微妙。のめり込む程ではなかった。表紙にやられたかな。

    投稿日:2023.05.28

  • isutabi

    isutabi

    【感想】中二っぽくもあり、紋切り型の設定とキャラクタと、ひねりなくストレートであっさりな展開。唐突なところも多いけどむしろ読みやすさにつながってるかも。けっこう厚いけど三時間くらいで読めるでしょう。関係ないけどパターンはマンガの「マギ」に近いかも。

    【内容】誰も封印を解くことができなかった魔王である少年の姿をした神霊フップの封印を盗賊バルキスが解いてしまったらしい。四次元バッグからそのものの名前を唱えながら取り出すアイテムであらゆる願いを叶えるどこかの青いタヌキのようだが無邪気で善悪の境界も持ち合わせていないフップを教育せねばならないと誓うバルキスなのだったが当然ながらそういう便利な存在は狙われるのだった。

    【一行目】ドン!! ――そのひと太刀でロエヴ王の首がはねとばされた。教会の床が王の血に染まる。

    ▼簡単なメモ

    【アーチェ】シクパナの子ども。路上生活を四年続けている。
    【アリエト】バルキスの母。腕のいい薬師。
    【ヴァール】ペルソナ僧。
    【ヴォワザン】ドオブレの支配する戦闘国家。オルムランデ占領後六十余年で帝国と呼ばれ東のメソド、西のエレアザールに次ぐ勢力となった。
    【エル・シオン】「幻の都」という意味らしい。ここではまず滅ぼされる前のオルムランデのことだと思われる。そして新しくできた国の。
    【オク】マグダレの狼メンバー。十四、五歳の猫目族の少女。
    【オストラム】ペルソナ僧。
    【薬師】薬を調合し魔術で効果を高める魔道士。
    【凶鳥/ケライノ】ルックスのおぞましい鳥。
    【狼王】「マグダレの狼」とも呼ばれるゲリラ。オルムランデを占領するヴォワザンの輸送品を狙う。
    【オフィエル】マグダレの狼メンバー。蛇面人身種(ウパナンダ)。
    【オラージュ】マグダレの狼のとこにいる牝馬。バルキスと対決する。
    【オルムランデ】ヴォワザンに滅ぼされ占領された。
    【ガルニエ】獣人。ドオブレの配下。
    【クプクプ】アーチェの相棒の犬。
    【グライエヴォ】ヴォワザンの帝都。
    【サーガラ】獣人。ドオブレの配下。蛇面人身種(ウパナンダ)。
    【サヴェリ】町の修理屋。裏の顔はバルキスが盗んできたものをさばく「裏の仕事人(ネゴシオン)」。
    【サラサ】バルキスの愛馬。
    【サンニ】ドオブレの息子。脆弱にして無能。
    【ジーヴェリア国】ヴォワザンが挙兵し狙っていると思われる。
    【ジード】マグダレの狼のメンバーと思われる。
    【ジェガード】オルムランデのヴォワザン総督。
    【シクパナ】エキゾチックな港町。重要な地点であり帝国圧政下でも活気に満ちている。さまざまな種族が暮らしている。
    【シグマ】魔道士。もしかしたらバルキスの父? 少なくともなんらかの関係者ではあるらしい。
    【シバの小枝】噛むと刺激があるらしい。たばこみたいな感じか。
    【ジャーマイ】サンニ皇帝つきの第一秘書。
    【精霊】四大精霊は、火、水、土、風。
    【セディール】オルムランデ、メルヴェイユ寺院の大主教。ドオブレに殺された。どうやらある人物の祖父だったようだ。
    【宝】《お宝なんてものは、この手にしっかりとにぎれるもののことさ。》p.32
    【鳥人族/ちょうじんぞく】風に乗って空を飛ぶことができる妖精族。
    【ドオブレ】ヴォワザンの王。世界征服を狙う。「奇襲の天才」と呼ばれた兵法者でもある。
    【ドランフル】ドオブレの孫、サンニの息子。父親よりはマシな武将。勇猛だが政治的な技量は持ち合わせていない。
    【ナリー】フップの五百年前のマスター。三歳の女の子。たぶんいまはいない。
    【妖精族/ニンフェウム】自然の「気」にそって暮らしている「森のひと」。見た目は人族と変わらないが四大精霊と引き合う。
    【ハギス】マグダレの狼メンバー。元船乗りで力持ち。歌声もしぶい。
    【パツク族】植物を育てる力に秀で森とともに暮らす妖精族。
    【ハトゥール】魔剣士。もしかしたらバルキスの父。
    【バビロン】偉大なる白魔道士。六百年生きている。その気になれば神にもなれるらしいが人間でいる。
    【パルーシア】失われた超古代国家。住民は他の星に移住した。
    【バルキス】神聖鳥(シモルグ・アンカ)と呼ばれる盗賊。美声で歌が上手い。青灰色の瞳は父ゆずりらしい。
    【人面鳥/ハルビュア】メルヴェイユ寺院にたくさんいる。魔物としての脅威は小さい。
    【ファビュラ】ロンバルドの女性だけの部族カリーシュ族の族長。
    【ファレグ】マグダレの狼の軍師。
    【フォン】正体不明、放浪魔道士(トルヴァドーレ)の男。名前は「風」という意味で偽名っぽい。アリエトと情を交わした。バルキスの父。
    【フップ】神霊(ジンニー)。子どもの姿をしている。メルヴェイユ寺院に五百年封じられていた。魔王との関係は不明だがたぶん本人。表紙カバー絵の印象とは異なりなかなか利かん坊な感じ。性格も小さな子ども。悪の手に落ちたらえらいことになりそうではある。肩から下げたがま口バッグ(四次元バッグ)からさまざまなものを取り出し願いをかなえる。いちいちアイテム名を叫ぶしどこかの青いタヌキみたいだ。
    【獣人/ベート】妖精族のひとつ。多くは魔界や仙界からの流民。長命。
    【ベトール】マグダレの狼のメンバーと思われる。半獣人。
    【ベルゼブル】黄金(ルビオ)のベルゼブル。魔界の女。ドオブレの師匠。
    【ペルソナ僧】ウロボロス僧会の最高位の僧。
    【魔王】封印されている。
    【ミスパル】シクパナの高官。
    【めぐむ】《どんなに過酷であろうと、自力でのりこえることこそが、ひとの生きる証であり、力となるのだ。けっして他人が「高み」から手をさしのべてはいけないのだ。》p.149
    【メッシナ人】大地の気を身体に取り入れ身体能力を強化できる妖精族。
    【メルヴェイユ寺院】魔法が封印されているという噂。今では誰も興味を抱いていない。
    【半獣人/モルフォーラ】普段は人間の姿をしていて状況によって変身できる。
    【霊剣】バルキスが母のアリエトからもらった。アリエトはその父からもらったようだ。
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    投稿日:2022.07.26

  • もっこ

    もっこ

    表紙買いです(^◇^;)
    だって、美形の盗賊と可愛すぎる魔王だなんて
    見ただけでテンションあがるでしょ!
    王道のファンタジーではあるけど、これはどうなんだろう・・・

    可愛すぎる魔王はドラえもんのポケットをたすき掛けで装備
    ( ̄△ ̄;)エッ・・?
    あちらこちらで、どこかで見たような聞いたような設定が
    チラチラと見える。
    どうしたんだ?としか思えない内容。
    困った。マジで困った。
    世界観と話の流れはいいんですよ。
    問題は文章と進め方です。全くもってらしくない。
    ステキな世界観とお話を猛ダッシュで駆け抜けたから
    期待度満点で読んだこちらは置き去り感半端ない。
    別の本で口直しをしたいと思います。
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    投稿日:2022.01.03

  • tuppence

    tuppence

    このレビューはネタバレを含みます

    久々の香月さん。
    やっぱり大好き。
    バルキスとフップの絆に何度胸を熱くしたことか。
    サヴェリとの関係も素敵。
    そして、アーチェ。
    たった12歳で犬のクプクプを相棒にひたむきに生きる少年。
    復讐さえすれば幸せになれるものではないと分かっていたけれど、でも、アーチェが幸せに、無邪気に笑う日を願っていたのに。
    あのタイトルに恐れていた。そうでなければいいと、考えすぎであればいいと。
    最終決戦の展開にはドキドキが止まらない。
    負けるわけがないと思っていても、どう切り抜けるのかと。
    ラスト、バルキスの決意。ああ。
    それでも、あれは希望。そこへ向かうのは苦難の道であっても、きっとみんなの顔は明るい。

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    投稿日:2021.09.23

  • そねこ

    そねこ

    香月日輪さん特有の超スピード展開。でもこの人の超スピード展開は急激すぎてついていけないというようなものではなく、面白い。バルキスがフップと共に大きく成長していく姿は勇気に満ち溢れていた。復刻させたとの旨が最後に書かれており、そうしてもらえてよかったと思える作品だった。ただ、シグマの正体とバルキスの父親だけははっきり分からず。そこの伏線回収だけはしてもらいたかったかなぁ。続きを読む

    投稿日:2021.05.09

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