【感想】満つる月の如し 仏師・定朝

澤田瞳子 / 徳間文庫
(10件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
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4
2
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0
  • 御仏はどこにいるのか? 人心の内にある弱さと苦悩をあますところなく描き出した、歴史エンターティメント

    時は、藤原道長の御世。御仏はどこにいるのか?御仏を彫るだけで本当に人を助けることができるのか?苦悩する仏師定朝。片や、彼の仏像に魅入られ、定朝を説得し、仏師として起たせることに成功する内供奉隆範。
    がて考えの相違から袂を分かってしまうのだが・・・・・。
    一方、宮城内での敦明親王の乱暴狼藉。でありながら彼を信じる中務。
    権謀術数の渦の巻きこまれ悲しい結末に。
    時代背景からか、人物関係がややこしく最初は読みにくいと感じたが、定朝が、仏師として活躍し始めたところから、宮城内でおこる事件、人間関係のストーリーの展開がてんぽよくすすみ一気によめました。
    歴史小説というとどうしても戦国武将のいうイメージですが、仏師を取り上げ
    人間の内面に入り込んだ異色の小説ですが、まったく違和感なくはいりこめました。

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    投稿日:2016.07.24

ブクログレビュー

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  • なおき

    なおき

    時は平安中期、藤原道長全盛の時代の話。主人公は仏師定朝と内供部の僧侶隆範。彼ら2人の視線を通じて平安時代の情勢、仏教感、貴族の権謀術数、市井の暮らしぶりなどが描かれています。時は末法の世が近く、平安京の治安は最悪と言っていい状況。その中での仏教の役割とはどいうものだったのでしょう。仏教があるからこそ救われる心と、所詮宗教では病気を治癒できない冷酷な事実と、仏師や僧侶という登場人物を通じて考えさせられるものがあります。貴族の優雅な暮らしの影で、多くの市民が野垂れ死ぬ世の中。そこに一筋の光を届けるのは、仏教や仏像なのでしょうか。それとも仏教を信じる人の心にあるのでしょうか。続きを読む

    投稿日:2023.12.31

  • sky

    sky

    藤原道長人生終盤頃の時代背景。平安時代の仏教、貴族や庶民の仏教感をわかりやすく物語られていた。
    仏師の定朝の若い頃から平等院鳳凰堂に阿弥陀如来像を安置する晩年期頃までが舞台。

    登場人物 中務。他登場人物(定期、敦明、隆範、彰子、道雅…)の心に宿ることとなる菩薩な存在の偉大さに愛を越える慈悲をみた気になった。

    又読み返したいと思う小説だ。
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    投稿日:2023.04.12

  • Ryohei

    Ryohei

    大好きな澤田瞳子さんの作品だが本作はいまいち。最近造仏の話を読んでいたので定朝にとても興味を持っていただけに主人公(で良いのか?)の定朝の造形が少し物足りなく感じた。

    本作は若き日の定朝とそれを支える内供奉の隆範の交流から始まるも早々に身分を背景に二人の仲は亀裂。そこから中務と敦明親王を巡るドタバタ騒動を経て定朝が本当の仏の姿を見つけるというストーリー。思い返しても「事件」と定朝の成長の繋がりは無理があるように感じる。「本当の仏の姿」を模索し成長していく定朝を正面から描いて欲しかったなという思い。

    本作に登場する彰子の存在が非常に気になった。どちらかと言うと悲劇の中宮定子のライバルというイメージであまり良い印象はなかったが、本作でもキャラが立っており、「国母」というパワーワードも強烈に残った。冲方丁さんの『月と日の后』を読みたいと思う。
    続きを読む

    投稿日:2022.02.02

  • hosinotuki

    hosinotuki

    このレビューはネタバレを含みます

    平等院の阿弥陀如来像へと至る仏師定朝の軌跡を藤原道長全盛の時代の中で描く.延暦寺の僧侶隆範との関係,関わってくる貴族の横暴,国母彰子の苦悩,貧しい人々の救いなどたくさんの登場人物のそれぞれがそれぞれの苦しみに喘いでいる末法の世が現れている.読みながらとても息苦しく感じた.
    敦明親王の苦悩にみんなが同情しているが,この甘ったれの大人子供に腹が立って仕方なかった.みんなお前のせいだ!と言ってやりたい.

    レビューの続きを読む

    投稿日:2021.10.21

  • ted3

    ted3

    登場人物が多すぎて、途中でわけわからなくなりました。そんなに多くの登場人物は物語上、必要でしょうか。描写も詳細で割と物語に入れるかと思ったのですが、読むのは断念しました。

    投稿日:2021.10.11

  • :*:♪・゜’☆…((φ(‘ー’*)

    :*:♪・゜’☆…((φ(‘ー’*)

    平等院鳳凰堂にて若き日の自分を思い出す定朝。
    阿弥陀仏を見るとき、この物語を思い出してうるっとくるんだろうなあ( ´^`° )
    それぞれが違う理由でこの世の地獄にいらだつ。
    そしてちょっとずつかみ合わなくなり疎遠になったり、ふとしたきっかけで近づいた人との縁で人生が開けたり。

    仏像など作っても世の中は救われないという心中を吐露した定朝に「おぬしは愚かじゃ」と語った甘楽丸の言葉が素晴らしかった。
    隆範の牛飼童滝緒、彰子の女童小諾(こなぎ)といった端役も光る温かい話。
    ほぼ1000年前の話だなあ。末法の世は先年続くのか
    続きを読む

    投稿日:2021.09.26

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