【感想】富士学校まめたん研究分室

芝村裕吏 / ハヤカワ文庫JA
(29件のレビュー)

総合評価:

平均 3.2
2
9
9
3
2
  • SF自衛隊装備開発話。+ラブコメ的な。

    2020年頃の近未来日本、重度コミュ障の30独身工学女の技官が、不当に閑職へ飛ばされた復讐に、新装備の研究開発で自分の有用性を証明してから辞表を叩きつけてやる、というかなり後ろ向きな出だしで物語が始まる。
    普通科の一部代替を目指したロボットが開発されるのだが、、自衛隊の装備にまつわる独特の事情を織り交ぜた、装備開発の思考的な流れがとても面白かった。著者はそれなりにファンタジーが入っているというが、既存技術を寄せ集めて低コストを目指したりと、なんとなく実現しそうな余地がリアルさを感じた。何より単機では低性能だが、複数機の高度なネットワーク化による能力の相互補完は、ガ○ダムのような高性能ワンオフとは違うSFロボット像を感じられる。
    終盤に期せずして実戦の機会に遭い、その際にロボットが相手だと心理的に呵責がなく、過度に反撃を受けたり、ロボットはロボットで呵責なく反撃して死傷者が多めに出たりと、戦場心理の描写がなされていて、著者はよくよく情報収集して作品を作っているな、と感心する。
    作中は主人公の独白で進むが、主人公の性格が相当クセがあるので、そこで好みが分かれるかも。
    ちなみに星海社の同著者によるマージナル・オペレーションと全く同じ世界と時間軸の作品。
    続きを読む

    投稿日:2014.03.09

  • わーい多脚戦車だー!

    「わーい多脚戦車だー!」と思ってページを開いたらアラサー喪女の独白が始まってヤダー!と言う流れ。

    兵器開発をコンセプトからくみ上げていくあたりはわくわくします。
    「予算」の話なんておもしろくないものですが、既存技術を使うあたりが物語へのめり込ませてくれます。
    国際情勢の緊張は読んでいても不安をかき立てます。
    「どのタイミングで戦車を量産するか」も興味深かったです。

    物語の中盤あたりで、知らない女性の名前が出てきて「誰!?」となりました。
    続きを読む

    投稿日:2014.03.29

  • ちょっと有川風味

    天才級こじらせ系リケジョ(研究大好きっ子)が兵器開発で有川サンちっくな甘み物語を展開、自衛隊の装備調達の流れもよく分かります。

    投稿日:2014.10.18

ブクログレビュー

"powered by"

  • nyonboo48

    nyonboo48

    このレビューはネタバレを含みます

    せっかく造形したアラサー工学系女子なのに、すんなり信士くんとうまく行ってしまうのにはちょっと残念な感じ。主要登場人物が少ないからある程度仕方がないことか。あとがきにもあるように、物語自体は創作なのだろうけれど、自衛隊や近隣諸国との歴史のifはなかなか興味深かった。本書が書かれた当時はたしかにこんな未来もあるかもしれないという気がしていた。まめたんの六本足の説明を読んで、昆虫やタチコマが同じく六本足なのに納得した。ラストのあたりのネットワークで情報を共有する姿はまさにタチコマと同じで、未来のロボット像を見た気がした。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2020.09.21

  • るこ

    るこ

    SF。恋愛。ミリタリー。
    ストーリーはわりと真面目、けど基本はラブコメ。
    軽く読めて良いし、個人的に女性研究者に憧れているので、主人公にも感情移入しやすかった。
    『セルフ・クラフト・ワールド』に続き、この作品もなかなか好み。他の作品も読みたい。

    "ロボットが戦場に出るのは、もうSFの話ではない"(317ページ)
    SFと時代の流れについて考えさせられる、この一文が印象的。
    続きを読む

    投稿日:2019.01.22

  • うみ

    うみ

    評価が低いのは、お話がつまらなかったからでは無く、恋愛モードの分量が予想外に多かった上、読んでて(身につまされるものがあって?)辛かったから。客観的には☆四つくらいかな?

    投稿日:2018.10.14

  • より

    より

    図書館で。
    兵器の開発のお話なので仮想敵国が出てくるのはまあそうなんだろうけどやっぱり日本人はアメリカ追従というか欧米の方に寄り添いたいんだな~ってのが感想。たまにはアジア対欧米みたいなのも設定としてあったら面白いと思うんだけどまあアジア諸国の方が仲間に入れてくれないかもな。

    主人公の女性は頭は良い設定なんですが大人にしてはバカだし、メンタルお子様だし色々とメンドクサイので読んでいて疲れました。モジョだの女性らしくないだのゴニョゴニョ言ってますが彼女はすごく女性らしい女性だと思うんだなぁ。アラサーアラサーうるさいし、自意識過剰というか。学生時代は研究室に住んでたぐらいなら化粧なんかしてなかったんじゃないのか?とツッコミを入れたい所だけどまあ社会人になると違うのか?ウウムゥ。彼女の乙女乙女した思考が入ると他のエピソードがストップするのでお話のテンポが悪くなるし。

    恋に恋する乙女が窓際に追いやられたので悔しいからローコストで大量生産可能な兵器開発しちゃえ~ってアイディアは面白いけれども色々とツッコミ入れたくはなる。就職後すぐに国費で留学させて、その間SPモドキが付くぐらいの人材を帰国後大した仕事もさせてなかったのが謎だし、そういう意味で大した実績もない彼女が個人で開発を始めたプロジェクトを最初から重要視しているのも理解不能だし。
    恋愛モノと開発は分けた方が良かったんじゃないのかな~なんて思ったりしました。
    続きを読む

    投稿日:2018.05.01

  • 読生

    読生

    人の命が何より重いこの国で、戦争をするために人の命を軽くする。
    二人の関係が進んでいくと同時に、着々と進められる戦争の準備、人を殺すための準備。
    不器用ながらも進む恋愛、語られる将来、そこに人殺しの未来が透けて見えるのがかなりつらい。
    しかしそれこそが兵器を作るということ。
    続きを読む

    投稿日:2017.07.15

  • ayase_mina

    ayase_mina

    混沌は好き、曖昧は嫌い、主人公の綾乃を表現する為の代表的な文句です。
    コミュニティ障害的な工学女子が、恋に混沌としながら、すぐに研究に逃げ込み熱中するのが可愛いですよね。
    自衛隊ものなので研究が自走式戦車という所も、面白いです。
    最後の方で、恋愛の混沌が解けて行く様子と、曖昧は嫌いというパワーが炸裂するのが爽快です。
    スイートスイートハッピーエンドですよ。
    続きを読む

    投稿日:2017.06.06

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。