【感想】縄文人に学ぶ(新潮新書)

上田篤 / 新潮新書
(6件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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  • 母性原理の日本について

    一万年以上も続く縄文時代、日本列島では ほとんど争いもなく 生活技術にたけた人々が住んでいました。
    その縄文時代という魅力的な謎を求めて 多くの考古学者や、歴史家、社会学者、科学者が考察し、本にもあらわしてきましたが、この本は 建築家といういわば門外漢の立場から書かれています。
    その為、内容は多くの学術書に比べて 表層的で、独断的な意見に由来するものもあるのではないかと思われますが、「門外漢」の立場から専門の建築をはじめ 考古学、民俗学、社会学、文学とあらゆる分野にわたって、総合的に描かれています。
    しろうとの私にとっては 目のくらむような統計や用例が列記された学術書よりはるかによみやすいものでした。
    日本の社会の深層を読み取るうえで、ぜひ読んでおきたい一冊です。
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    投稿日:2016.01.19

ブクログレビュー

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  • 棚田 弘一

    棚田 弘一

    縄文時代の人間は「棍棒を持って獲物を追いかける野蛮な人種」というイメージを持たれがちだが、実際は芸術を嗜むこともあり(縄文土器のアート性)、食べるものも素材としては現代人とさほど変わらない物が多かったりしていて、彼らの文化に学ぶところは多い、という研究をした本。イザナキ、イザナミ、アマテラスといった神話の話も数多く登場する。

    自然と共に生きるが故の価値観や習慣が面白い。家畜よりも野生動物の肉を好んで食べたのは「動物の生命力ごと採り入れる」ためだとか、この時期は女が「家」の全てを取り仕切る母系社会であり、男は「通い婿」だったとか。また、人間同士で殺し合いや戦争はこの頃はなく、農耕文化が根付いた弥生時代以降から発生したのだとか。財産や領地の概念の登場が、人間を本質的に変えてしまったのだろうか。

    豊かさと便利さを追及し続けて、行き着いた先が逆に時間と情報に追われるようになった現代人と「何が本当の幸福か」を比較してみるのに適した本だ。
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    投稿日:2021.05.26

  • m0913

    m0913

    母性社会と父性社会の切り口による縄文人は改めて面白い。圧倒的に長期に栄えた縄文時代、自然観測民族が故に長く栄えたとは納得した。勾玉等の装飾が弥生以降に見られなかった理由にも言及。その理由は説得力があるかもしれない。続きを読む

    投稿日:2018.08.18

  • 「おやっさん」

    「おやっさん」

    長年、町家を中心に「日本人のすまい」を研究してきた著者が、万博の仕事で、岡本太郎氏と出会ったのを機に縄文時代に嵌ってしまった。
    それから、沖縄の続縄文時代との出逢いなどがあり、建築畑の人間が感動した縄文人の暮らしぶり。
    現代日本人とも深いつながりがあることも詳細に書かれている。
    歴史学者、考古学者の狭い範疇に収まってる考え方だけでは、1万2千年も続いた縄文文化の本質にせまることはできない。
    想像力を駆使し、色んな学問分野の合わせ技をますます期待したいところです。
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    投稿日:2016.03.28

  • harmonixy

    harmonixy

    自然体の縄文人は母系社会
    採集狩猟生活はシェアを基本として
    奪い合いの諍いを起こさない
    自分と相手の個性をつなぐことで視野を広くする
    不安恐怖を作り出して
    安全地帯を追い掛けるようなムダをしない
    腐ってしまうだけの余剰生産物と権利欲を作り出す
    農耕や牧畜などしない
    依存による搾取に怯えて物質主義の奴隷にならない
    やるべきことでやりたいことを自分で選択して
    今現在を愉しく冒険して暮らす

    権利や競争に明け暮れる成長型の父系社会と違い
    縄文社会は母系社会で持続型である
    父系原理社会は物質優先の縦社会で
    文明的進歩の行き着く先は依存支配と分離と破壊
    墓制原理社会は意識環境優先のトーラス型で
    意識の成長が目指すものは自律と調和と共生関係

    少し気になったのは
    同じ医者の安田徳太郎さんの研究を取り上げていないこと
    かなりツッコンだ「古代日本人の謎」と言う本を
    素通りしていること
    子育ての特徴である「オンブ」に触れていないのも気掛かり
    イロコイ族を引き合いに出して入るけれども
    現在持続中のホピ族に触れていないのも気になる

    母系制を貫いた彼らは侵略者と全面戦争したのだろうか?
    呑み込まれることで同化するとともに
    地に足のついた継続を果たしてきたのではないだろうか?
    名を捨て身をとったのではないか?
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    投稿日:2013.09.02

  • kj_ito

    kj_ito

    このレビューはネタバレを含みます

    近年「縄文時代」が見直されてきている。弥生時代に比べて圧倒的に長いこの時代は、教科書では弥生人に取って代わられた、劣った時代であったとされているが、どうもそうではないらしい。思ったよりも文化的で、現代の日本の文化に繋がる様々な風習がこの時代にすでに生まれていた形跡があるようだ。少々我田引水的で強引な説も見受けられるが、読み物として読んでいて楽しい。アメリカ先住民、アイヌなどに共通するその文化は、なにしろ1万年以上も続いたというからすごいものだ。

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    投稿日:2013.08.28

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