【感想】巨大翼竜は飛べたのか

佐藤克文 / 平凡社新書
(14件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
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4
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0
  • 翼竜の説明書ではない

    著者が、前書きで触れているように、この本は翼竜の説明書ではありません。著者が専門とする、野生動物に小型のセンサ-を装着し、その回収したデ-タを解析することによって得られる知見(バイオロギング)の解説書です。ペンギン、ウミガメ、ミズナギドリなどの解説が中心です。とくに、ミズナギドリ目の各種の鳥から得られた、体重、体や翼の型などの分析から、最終的に翼竜の飛翔能力に言及しています。鳥が飛ぶことの意味を改めて考えさせられました。続きを読む

    投稿日:2016.09.26

ブクログレビュー

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  • juntera

    juntera

    前著「ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ」も面白かったが、こちらはさらに楽しめた。カメとマンボウの相似形とか、羽ばたき周波数で採餌の結果を推定する方法とか、いろいろと面白い。例によって院生を騙して研究させる描写も秀逸で、これを研究すれば君も「ドクトルまんぼう」になれる、と口説く辺りでは吹いてしまった。前著で活躍した院生の楢崎友子嬢は今回も大活躍していて、その点も嬉しかった。続きを読む

    投稿日:2013.03.14

  • Spangle Maker

    Spangle Maker

    研究者魂が熱い。

    出版が2011年1月という、震災直前。そして著者の職場が大槌町。

    webで調べたところ、やはり東京大学大気海洋研究所附属国際沿岸海洋研究センターは津波に襲われて大被害を受けている

    著者は無事かと心配されたが、研究室のページによると、柏に職場を移しているとのことでほっとした。

    とはいえ、研究施設の被害は甚大なもの。一日も早い復旧を願う。
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    投稿日:2012.06.22

  • akiyama924

    akiyama924

    著者の佐藤先生は、京都大学大学院農学研究科水産学でウミガメの研究の成果で博士号を取ったそうです。

    水産学という学問は、食用にされる海や川の生き物をターゲットにするわけですから、ウミガメというのは異色だったそうです。
    けれど、データロガーという小型記録装置を取り付けて、その生き物の速度や加速度などの行動データを解析するバイオロギングサイエンス(動物が記録する科学)がやりたくてウミガメを選んだようです。

    その後、東京大学海洋研に所属し、様々な生き物の行動を計測し、その結果を分析したところ、タイトルにあるように巨大翼竜は(少なくとも継続して長時間は)飛べなかったという結論が論理的に導かれたというわけです。

    ★★★

    ちょっと面白かったのが、逆上がりの話。

     例えば、子供の頃に得意だった鉄棒が、大人になると苦手になったりする。子供の頃にはいとも簡単に逆上がりができたのに、小学生にお手本を示そうと思って久しぶりに鉄棒をしたら、逆上がりができなくなっている自分に気がついて愕然とした、そんな経験はないだろうか。これは、胴回りに醜く付着した脂肪層のせいだけではない。

     ─略─

     もしも、子供のときから全く体系が変わらぬまま、身長が2倍になったとしよう。筋力は筋断面積に比例するので、腕の筋肉は子供の頃に比べて、4倍の力を生み出すことができる。しかし、悲しいことに体重は8倍になってしまっている。結果的に、鉄棒する大人の体重を支えるだけの腕の筋力は圧倒的に不足することになる。

    なるほどね。ついこの間、アイススケートで異様に足首に力が掛かって「こんなはずでは」と感じたのも足の筋肉の成長が2乗倍なのに比べて体重の増加が3乗倍だったからなのかな。

    ★★★

    さて、ジャンルは違えど、ソフトウェアでもデータロガーの考え方はありますね。
    メトリクスというやつです。

    昨年のSQiP研究会で、IBMの細川さんや、ソニーの永田さんが率いるレビュー分科会では、『間接的メトリクスを用いて欠陥予測を行うレビュー方法の提案』というタイトルで、プロジェクトのコンテキストに目を向けた間接的データからどこをレビューすると効率的かというユニークな研究をしていました。

    とても、面白い研究で、きちんと相関が検証されるデータがそろえば、この本のように『巨大プロジェクトはリリースできたのか』といったタイトルでまとめられるんじゃないかなぁと思いました。


    # 今回の、東日本大震災で、佐藤先生の研究室も被災されたとのことです。「津波によって、全ての紙資料とHDやCDに保存したデータが無くなった」という一文を読んで涙がでそうになりました。かける言葉もありません。
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    投稿日:2012.04.30

  • おかにゃん

    おかにゃん

    動物の体のつくりと行動の相関関係が緻密なデータで明らかにされていって、緻密なデータの部分はさっぱり??でしたが、おもしろかった。
    ウミガメからペンギン、アホウドリときて翼竜にまで広がっていく好奇心が、楽しそうでよい♪
    この先生、研究所が大槌町にあってご自宅が釜石だそうで・・・。あとがきに「2010年12月、この時期にしては妙に暖かい岩手県三陸沿岸にて」って書いてあるのが怖い…(津波で研究所にあったデータ等は流されちゃったけど、学生さん方もご無事だそうです)
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    投稿日:2012.04.30

  • kaba2004

    kaba2004

    種や生活環境の違いを越えて生き物たちの「サイズ」と「はばたき」に注目して比較研究された内容で、タイトルの巨大翼竜もこの関連で出てくる

    投稿日:2012.03.21

  • ogipooh

    ogipooh

    巨大翼竜は飛べたのか。
    飛び続けられなかったというのが結論。
    それを色んな動物のデータを元に導く。

    僕の好きな学者偏愛物。大学の教授らしい研究ジャンルへの愛に満ちている。愛は暴走もするのだが、それも傍からみれば微笑ましい。

    本著も学者の研究論文よろしく様々なデータが羅列されている。僕のような文系人間は、気持ちよく飛ばせばよい。データなど、結論を導くための接続詞に過ぎない。

    最終章だけ読んでもわかるし、データを取るためのルポの部分だけ読んでも充分楽しい。
    続きを読む

    投稿日:2012.02.13

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