【感想】3001年終局への旅

アーサー・C・クラーク, 伊藤典夫 / ハヤカワ文庫SF
(26件のレビュー)

総合評価:

平均 3.4
1
10
8
3
0
  • 旅の終わり

    2001年から始まった旅も3001年の本作で終了。
    本作の主人公は「2001年宇宙の旅」で後半のディスカバリー号でボーマン船長と共にHALと戦った副長のフランク・プール。仮死状態になっていた彼は1000年かかって太陽系外に出て行くところを発見され蘇生させられる。そこでプールの目を通した3001年の人類とその生活環境が語られるのだが彼にとって「充分に発達した科学技術は魔法と見分けが付かない」ものだったのは慣性駆動。その他の軌道エレベーターやブレインキャップなどは想像の延長上にあったようだ。また1000年の歴史の中で宗教・戦争も克服した人類は2001年頃が一番最悪であったことをプールに対して語る。そんなに悪くなかったし努力していたと反論するプールにはかなり援護したくなった。クラークはここで2001年の人類と3001年の人類とのギャップを説明しておりこの事が物語の後半の展開に大きく影響して来る。

    アフリカのモノリス(TMA0)、月のモノリス(TMA1)、木星のモノリス(TMA2)、木星の太陽化(ルシファー)、エウロパ人、ボーマン船長、HAL。今までのシリーズで語られて来たものが後半すべて結びついて真相が明らかになった時、プールと人類はある決断に迫られる。

    最終話なので謎を回収する必要があるのはわかるのですが真相がわかってもイマイチ盛り上がらなかったなあ。またそんな簡単な攻撃が効くのかとも思った。意外とあっけない結末に拍子抜けしたのは確かだ。何はともあれ2001年に提示された謎の結末を知りたければ本書を読んでみてください。
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    投稿日:2014.04.08

  • シリーズ最終作

    シリーズ完結編というよりは最終作というべきか。(タイトルはファイナル・オデッセイとなっているものの、このさらに続編というのもあり得たストーリーである。)
    ここでは「2001年宇宙の旅」でコンピューターHAL9000の反乱により死亡し(たと思われ)、宇宙空間を漂っていったフランク・プールが発見され、蘇生するところから始まる。
    フランク・プールを主人公にして、1000年後の世界が真実味を持って描かれる。
    そして、今作では、かつてモノリスを地球に設置した存在が問題となる。
    かつて人類を進化に導いた存在は、その成果(つまり地球人類)をどう評価するのか?
    2001年以降の続編を読んできたら、これも読まずにいられないでしょう。
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    投稿日:2014.02.01

  • アーサー・C・クラークさんのモノリスに対する回答ですね。

    2001年宇宙の旅は映画が有名でその謎を知りたくて読んだ方も多いと思います。
    でも3001年となると映画化もされてないし、今ひとつあの謎だったモノリスがその後
    どうなったかまでは関心が行かないのかもしれません。そういう私も2001年を始めて読んでから
    この3001年を読むまでには30年の月日が流れてしまった。そのうち読もうとして後回しに
    していた結果ようやくモノリスに対する謎が解明され。人類は300万年前に仕掛けられた罠を
    回避できるところまで進化したのかもしれない。クラークさんが亡くなったことにより
    このシリーズはここで完結します。人類とあなたに素晴らしい未来が訪れることを祈ろう。
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    投稿日:2015.07.12

  • 勝手に、もう少し3001年の描写を期待してたのですが

    2001年を映画と本で、2010年を映画で観たレベルで、途中をコンプリートしておりませんが、巨匠の描く3001年が見たくて読みました。
    結構抑えめで控えめな感じの人類の発展って感じでしたが、途中から(巨匠も「パクリじゃないから」とあとがきしてる)どっかで観た話になっちゃったかな、勝手に期待してた3001年の話は腹5分目ぐらいでした(^^;A。
    私は、某アニメ作品を思い出してしまいましたですよ、そっちも木星”使って”ましたが。
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    投稿日:2018.05.05

ブクログレビュー

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  • oriduru1970

    oriduru1970

    最初に出てきた宇宙船の船長はチャンドラー。ハルを開発した博士もチャンドラーじゃなかったっけ?親戚かな?とハルの生みの親の方のチャンドラーをぐぐってみると、本名はシバサブラマニアン・チャンドラセガランピライだった。たぶん誰もインド系の人の本名をきちんと発音できなかったので、チャンドラー博士と呼ばれていたんだろうな。

    3001年には握手という習慣は失われていて、英語はラテン語レベルの死語になっているらしい。特別教養のある一握りの人だけが読み書きできる。おもしろいな。

    stir crazy 長い刑務所暮らしで気が変になること。
    これは拘禁反応と関わりのある言葉なのかな?

    3001年宇宙の旅は2001年と同じくらいおもしろい。
    科学的にも社会的にも道徳的にもあらゆる分野で現代よりも遥かに進歩した時代が描かれているけれど、医師や高度な技術者は必ず男性で補佐的な立場の看護師などは全員が女性など、この話が書かれた90年代のジェンダー規範を、作者自身が乗り越えられていないことが透けて見えるところも含めてなかなかおもしろい。

    アーサー・C・クラークがスタートレックの大ファンだということがわかった。見たことはないけれど、題名はよく聞くドラマだ。ドラマだよね?
    おもしろいのかな?

    読み終えてみると、やっぱり2001年が完成度高過ぎた。
    奇跡の復活を遂げたプールが、31世紀の世界での生き方を学んで、愛する人を見つけ、社会的役割と地位を手に入れるところまでで本の9割が終わった。
    このままめでたしめでたしで終わるのかと思ったら、モノリスを設置した知的生命体が、千年前の情報をもとに人類は野蛮すぎて生きる価値が無いので滅ぼそうと決めたという知らせがフランク・ボーマンとハルの集合体からもたらされる。
    人類はその脅威に対して、封じられたコンピュータウイルスで対抗することに決め、とりあえずは千年の猶予を得た、という所で終わった。
    全体を通して淡々とスムーズに話が進み、未来の人類は超科学のおかげでものすごく賢くなって感情に振り回されたりしないという設定なので感情的なぶつかり合いなどの描写もなく…だしはしっかり取ってあるけど薄味のおかゆを食べていたら、お椀の底にエビが一個あったという感じの読後感だった。
    つまり…めでたしめでたしだということだよね?少なくともフランク・プールにとっては。
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    投稿日:2024.04.08

  • しゅうこ

    しゅうこ

    このレビューはネタバレを含みます

    SFを読みたい夏だった…(もう9月)
    読みたい本(アンドロイドは電気羊の夢を見るか?)がまだ手に入らないので、積んでいたこれを読むことにしたのだった。以前2061年まで読んだが、ちょっと疲れたのでこれだけ残しておいて、気が向いたら読むことにしていたのをやっと読めた。2061年はレビューを2016年に書いているね…長い間積んでしまったね…ようやく会えたねプール…

    一応、フランク・プールが主人公というのは読む前から知ってて、だから3001年ではボーマンとプールが再会するだろう、してくれという希望を持って読み始めて、そこだけを目指して読み進めた本であった。
    よかった。それだけで高評価。

    モノリスは人類がどうこうできるものじゃないというのを1000年先の未来でも貫いて欲しかったが、人類を超越してしまっているボーマンが介入したから仕方ないかな。
    ハルとボーマンは、二人ともすごく大事にされたキャラクターなんやろなとは思ったが、最後はもう少し救いが欲しかったな。

    ところでフロイドはどうなったん?

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    投稿日:2023.09.22

  • サイトム

    サイトム

    このレビューはネタバレを含みます

    電子版で読み終わる。クラークはいい。最初にまさかの復活があり、軌道エレベーターが発展したようなスペースタウンがでてくる。それから、エウロパ探査、モノリスの破壊、IT技術の洞察など。クラークは面白い。1997年著

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    投稿日:2022.05.11

  • ふるえるワカメちゃん

    ふるえるワカメちゃん

    SF気分な最近、読み直したい本。たしか「カモメのジョナサン」みたいな宗教的な印象を受けた。他のシリーズ作品は読んでいない。

    投稿日:2020.09.30

  • huitre

    huitre

    オデッセイ4部作の最終作。

    2001年宇宙の旅から1000年後の第4ミレニアムが始まった時代が舞台となる。2061年の最後の章が3001年となっているので、2061年の続編かとも思われるが、作者のクラーク氏としては独立した作品だということだ。
    登場人物や、内容の描写に関しては、オデッセイ前3作を引き継いではいるが、4部作品はそれぞれ独立したものとしている。今回は最終作なので、全てが明らかになると思われたが、読後の感想としてはなんとなくはぐらかされた感じもある。しかし、今回再び2001年で活躍した人物が帰って来たのは驚きだった。

    1000年後の世界というのはどんなだろうか。自分にはちょっと想像もつかないし、プールの「2001年の時代に投げ込まれた11世紀人でなくて良かった...」という台詞も、自分にとっては疑問だったが、クラークの作品というのは、未来がなぜか本当にそんな風に存在しているように、感じさせてくれる不思議さがある。まあ、もちろん21世紀初頭の現在、木星は存在しているし、ルシファーもないが、それだけ細部にもこだわって作品を書いていたのだろう。

    全体的に読み応えがあって、面白かった。最後の典拠と謝辞は、作品を理解する上で非常に役に立つものだったと思う。
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    投稿日:2019.08.11

  • hu-tarou

    hu-tarou

    このレビューはネタバレを含みます

    このSF小説は、同シリーズ第四部あり最終巻です。
    第一部ともいわれる「2001年宇宙の旅」で宇宙の彼方に消えたはずの人物が戻りまして、千年紀を超えた中でも生活する中大団円へと。

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    投稿日:2018.10.30

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