【感想】これが物理学だ! マサチューセッツ工科大学「感動」講義

ウォルター・ルーウィン, 東江一紀 / 文藝春秋
(63件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
12
22
10
5
0
  • 実験物理学者の名講義

    MITで一般教養の物理をやっている先生による本。講義の様子はMITのサイトで動画が公開されており、本書中にリンクもふくまれています。前半はその授業に準じていて、後半は専門であるX線天文学の歴史をみずからの体験で語っています。その後半はちょっと難しいといえば難しいですが、十分に理解できなくても読み物としてたのしめるので心配いらないでしょう。

    ヒッグス粒子がノーベル賞の対象になったとき、理論物理学者と実験物理学者のどちらに賞が送られるべきか(実際は「理論」のほうでした)議論されているのを見かけて、両者がけっこう分業のようなかんじになっていることを知ったのですが、著者は実験物理学者のほうです。だからか、虹とかワイングラスの共鳴とか長縄跳びとか身近な現象に根ざした話がおおくて素人にもしたしみやすいです。とにかく測定の精度の大事さを強調するところも実験屋さんならでは。

    たとえば年周視差で恒星との距離をはかるのですが、もっともご近所のプロキシマ・ケンタウリ(4.3光年)でも年周視差は0.76秒角しかないのです。ちなみに1秒角=月を1,800枚にスライスしたときの角度。いかに物理学者たちが観測精度を向上させるのに苦心しているかがよくイメージできます。そんなふうに物理学の現場の感じがわかる事例がたくさんあげられている本です。
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    投稿日:2014.07.20

  • 縦書きで読む物理は頭に入ってきやすい

    物理と聞くだけで眠気が襲ってくる・・・

    そんな人でも楽しく読み進められる本だと思います。

    教科書では、まず物理の法則を説明して、
    それから身近な例を紹介しますが、
    この本では、まず身近な例を紹介してから
    説明にするっと入っていきます。

    ところどころでMITでのエピソードも書いてあったりして、
    それもそれで興味深いものです。

    そしてこの本を何よりも面白くしているのは、
    文章だけじゃなくて講義で行った実験の映像も
    ウェブで見られるようになっていることです(英語ですが)。

    アンドロイドで読む場合などは特に、同時並行で実験を見ることができて
    読書体験を超えた読書になることでしょう。

    文の調子が翻訳口調なのは少し気になる方がいるかもしれませんが
    それでも、著者の物理への愛が感じられる一冊になっています。
    続きを読む

    投稿日:2014.07.18

  • 体験する美しい物理入門

    数式ではなく実際に体験しながら物理の美しさがわかる良い本です。
    物理を初めて学ぶ人には物理の楽しさがわかる本です。
    物理を学んだ人には物理の美しさがわかる良い本です。

    投稿日:2015.04.08

ブクログレビュー

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  • yone97

    yone97

    物理の面白さを実験中心に分かりやすく書かれている。特にX線天文学、中性子星、ブラックホールh集中して記されている。レイリー散乱、虹、ひも理論、プラズマ、Maxwell方程式、渦電流、赤方偏移は実生活にも即したものだ。今一度思い出していきたい。続きを読む

    投稿日:2024.03.03

  • gunmake

    gunmake

    マサチューセッツ工科大学のルーウィン教授の物理学の講座を収録したもの。1章 物理学を学ぶことの特権 2章 物理学は測定できなければならない。 3章 息を呑むほど美しいニュートンの法則 4章 人間はどこまで深く潜ることができるのか 5章 虹の彼方に 6章 ビックバンはどんな音がしたのか 7章 電気の奇跡 8章 磁力のミステリー 9章 エネルギー保存の法則 10章 まったく新しい天文学の誕生 11章 気球で宇宙からのX線をとらえる 12章 中性子星から部落ホールへ 13天空の舞踏 14章 謎のX線爆発 最終章 世界が違って見えてくる

    物理を理解しているのとそうではないのでは世の中の見え方が根本的に違ってくる。
    続きを読む

    投稿日:2021.10.18

  • すう

    すう

    科学者らしく、実際の実験などについて、できるだけ正確に伝えようとしているのはよくわかるのだが、それがどんなものであったかという想像すらできないのは、もちろん読者の理解力の低さもあるのだろうが、こういう種類の説明は、文字で「読む」のではなく、映像で「見る」ようにすべきなのであろう。続きを読む

    投稿日:2021.09.24

  • og

    og

    1〜9講は物理学の幅広い基本、10〜14講は著者の専門分野であるX線天文学について。やや難易度高めで読み切るのは大変だった。(2014年に読み始めたが途中で長らく放置して、読み終えたのは7年後…)

    投稿日:2021.04.24

  • herbtea

    herbtea

    MITで動画で無料公開しているウォルター・ルーウィン教授の物理学入門の講義の一部をテキスト化したものです。確かに彼の講義が魅力的でわかりやすい事は伝わってきますがでもテキストはテキストであって、彼が体を張って証明する実験の数々は映像で見るのとは迫力が違うというのが正直な印象です。これを読んでからだと英語の動画でもなんとなく中身はわかりますので補助テキスト的に読むのがいいのかもしれません。「白熱教室」を見逃してしまったのですがこれを読んでDVDを見てみたいと思いました。続きを読む

    投稿日:2019.06.14

  • mysterymanbo

    mysterymanbo

    生で受講できた当時のMITの学生は幸せでした。
    とはいえ、我々も本書と紹介されているビデオをみることで、同じように学ぶことが可能です。
    そして、その内容は知的好奇心をくすぐり素晴らしい。
    例えば、私は注意されたことも教えてもらったこともなかった生活に潜む危険な行為の1つとして、トースターに食パンが詰まった時にフォークやナイフで引っ張り出すのは感電死の危険性がある(必ずプラグを抜いてから)など。(P209)
    人に直撃すれば確実に死ぬあの莫大なエネルギーの塊のような落雷について、1回の落雷の総エネルギーは100ワットの電球が1か月消費するエネルギーと同じ、つまり稲妻のエネルギーを再生エネルギーとして取り込もうとするのはあまり意味がない。(P210)
    また、雷雨が去った後の空気がおいしく感じるのは、直後にオゾンが生成されたため。(P211)
    地球の地軸近辺の磁場にオーロラが発生するのは、太陽風が磁場が最も強いところに入り込むから(光を作る荷電粒子が空気中に増える)や、この磁場こそが地球の大気圏と水を太陽風から守ってくれている。(P224)
    体温が37℃の人なら1日1千万ジュール(1カロリーは1gの水を1℃上げるのに必要なエネルギーで、約4.2ジュール)発熱に使われており、2400キロカロリーの食事摂取が必要となる、3階にあるオフィイスに1日5回階段で往復して消費されるエネルギーは約35000ジュール(1日発熱量の0.35%)だと知ればバカバカしくなるだろう。(P256)
    そして、本書の眼目は、物理学と芸術との相似性の指摘です。
    ゴッホやマティス、モネ、ドガ、ピサロ、ルノアールでさえ、初めて作品が発表された当時は批評家から物笑いにされた過去があり、年代を経てその価値や美しさが認められるようになったのは、彼らの新しい題材、形式、素材、観点、技法、色調などが時代を屈服させたためであり、その革新性こそ物理における新しい発見に匹敵する。(P382)
    真摯に物理学に向き合う著者だからこそ書けた奇跡の1冊です。
    とはいえ、その後のオンライン講座でのセクハラ行為でMITの終身名誉職を解かれたというニュースは残念でなりません。
    続きを読む

    投稿日:2019.03.31

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