【感想】ふたりの距離の概算

米澤穂信 / 角川文庫
(361件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
69
160
88
5
1
  • 発想の勝利。

    二年生になった古典部一同。新入生は入部するやいなや―?

    おもしろいのは、奉太郎たちが神山高校のマラソン大会を走る「現在」と、仮入部した新入生の翻意までの顛末を辿った「過去」が、入れ替わり立ち代りすることで構成される形式。シリーズものだから許されるチャレンジが功を奏していて、新鮮。

    日常系のライトなミステリーとしても、学年が上がった古典部シリーズの新展開としても、納得の一冊。
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    投稿日:2013.11.01

  • 古典部シリーズ第五弾です

    入部する予定だった大日向と千反田のすれ違いを、マラソン大会で走りながら奉太郎がどうにかする話です。

    ミステリーは詳しくありませんが、この作品はジャンルとしては安楽椅子探偵に属するんだろうと思いますが、その状況を作り出しているのがマラソン大会というのが、おっと思わせます。本シリーズは全体を通して、題材が殺人や窃盗ではないため、主人公の取り得る行動に大きな自由があります。「ふたりの距離の概算」では存分に生かした形となっています。
    マラソンだと、推理に使える時間があり、場所もばらけるので、先頭の人間から順に後ろの人間まで1人ずつ聞いていくしかない。途中の描写もアクセントになり、読んでいて楽しいです。いいアイデアです。

    結末は本シリーズらしくほろ苦く終わっています

    結局、人間関係は変わらなかったわけですが、新入生の話ということで、月日が容赦なく過ぎていくのを感じました。ということは、最後は奉太郎達は卒業するわけですが、古典部はどうなるのかというのも気になるところです
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    投稿日:2013.10.27

  • シリーズ第5弾!

    主人公は高校2年生になり後輩ができました。
    入部するだろうと思っていた後輩が突然”入部しません”と言ってきた「謎」を解き明かすのが今回のお話です。
    血の流れないミステリーなので気楽に読めるのですが、よくもまぁこんな小さな(失礼かな?)ことをここまで
    掘り下げてしっかりとしたミステリーに仕上げられるもんだと感心してしまいます。
    このシリーズは主人公が高校を卒業するまでは続けると作者さんは言っているようです。
    高校生らしいさわやかさと、ちょっとイライラする奉太郎と千反田さんの今後が楽しみです。
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    投稿日:2015.05.04

  • 目を皿にして読んだのに、距離が縮まりませんでした……

    再読。シリーズの真骨頂。背筋の震える読書体験でした。
    問題提起から始まり、ミステリとしては「さぁ問題を解いてください」と言わんばかりの親切な立ち上がりだった筈です。
    それが幾ら読み進めても、目を皿のようにして描写を拾い集めても、何が糸口なのか、そもそも求める答えに関係のあるエピソードなのかすら解らない。
    そんな状況で解答編まで辿り着いてしまった時の悔しさとも感嘆ともつかない気持ちと言ったら!
    殺人の動機の様な解りやすい感情や事情ではありませんが、高校生の日常がテーマなので充分。
    卒業まで続けて欲しいシリーズです。
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    投稿日:2014.03.16

  • 読みやすくする気遣い

    小説が読みやすいというのはいいことですね。
    きっと、書く人はいろいろなことに気を使っているんでしょう。
    『クドリャフカの順番』では文集の残り冊数で、残りの本はどうなるんだろうと興味をひかれました。
    の本ではマラソンの残りキロ数が、問題解決の制限として書かれています。
    ただ時間を表示するのではないところが、洒落ていていいなあと思います。
    続きを読む

    投稿日:2016.08.15

  • 第5弾

    シリーズもので第5弾となります。1冊で完結するよう作られていますのでシリーズのはじめから読まなくても楽しめると思います。ただ、前作までに出た話題も出てきますのでそういったのが気になる方はシリーズはじめから読むことをお勧めします。(古典部シリーズは「氷菓」、「愚者のエンドロール」、「クドリャフカの順番」、「遠まわりする雛」、本作の順に発表されています。)続きを読む

    投稿日:2013.12.08

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ブクログレビュー

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  • kemechanyo

    kemechanyo

    このレビューはネタバレを含みます

    古典部シリーズ第5弾。
    タイトルのふたりの距離って、恋の進展かな?と期待してたら見事にスルーで、マラソンになぞらえた新キャラ後輩との距離でした。
    このシリーズも5作目ということもあり、古典部員間のお互いをわかりあえてる様子が微笑ましい。
    友だちとかとささいなことですれ違ってしまった時に奉太郎のように絡み合った誤解をやさしくほどいてくれる人がそばにいたらいいのになとうらやましく読んだ。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.05.27

  • inumaro

    inumaro

    構成といい、心理的な葛藤といい、とても繊細に作っているように感じた。ぼくは好き。途中から、ホータローの目的が大日向への引き留めだけではなく、千反田への誤解を解くことにスライドしているのがいいよね。

    ひとは、他人の人生にどのように関われるのか。友だちであるということは、どこまで相手にコミットしなければならないのか。大人になると、そういうことをあまり考えなくなる。この作品を読んで、疎遠になった友だちに会いたくなったよ。続きを読む

    投稿日:2024.05.12

  • あやぱん

    あやぱん

    古典シリーズ第5弾!
    珍しく短編じゃなかったですね。マラソン大会って私はした事ないですが、他の学校はあるんでしょうか?
    古典部シリーズはすごく好きでこちらも楽しく読みましたが、新入生のキャラがあまり好きなキャラではなくて。。。お話はすごく面白かったです!続きを読む

    投稿日:2024.05.04

  • えりな

    えりな

    大きな事件が起こらなくても日常に謎は溢れていて、どこに着目するのか、どうやって観察するのかによって他者との距離が縮まったり、遠のいたりするのかなと思った。
    言葉をたくさん持っていて、使いこなしている高校生たち、すてき!続きを読む

    投稿日:2024.03.18

  • めぐまま

    めぐまま

    恋愛をメインでは書いていないのに、たまに出る感じがなんともいえず良い。個人的には主人公が千反田さんが家に来たことがあることを隠すシーンがすごくよかった。

    投稿日:2024.03.03

  • Quint

    Quint

    途中はアニメで。今までの本と違い、描写や言動で小難しく遠回しな表現が多い。本を読み慣れない人には読みにくそう。でも話は先が読めないし、推理の組み立てが圧巻。すごく面白い!

    投稿日:2024.02.12

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