【感想】時の塔

レイ・カミングズ, 川口正吉 / グーテンベルク21
(1件のレビュー)

総合評価:

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  • 冒険SF小説の古典

     作者のカミングスは、1887年ニューヨーク生まれのSF作家であるが、なんとあの発明王エジソンの秘書を5年間務めたという。本作は1929年に書かれた古典SFである。
     「時の塔」と呼ばれる塔の形をしたタイムマシンで未来からやって来た少女が、悪人ターバーの病院に監禁されてしまう。それを主人公のエドと親友のアラン、そしてその妹のナネットが救い出すのだが、その代償にナネットがターバーに捕まってしまう。
     なぜかターバーもタイムマシンを所持しており、地球征服の野望に燃え、以前からナネットと結婚しようと目論んでいたのだ。ところが主人公のエドとナネットは相思相愛の仲であり、ナネットを取り返すべくエドとアランの長い旅路が始まるのであった。

     はじめはSFというよりも、こじんまりとした冒険小説のような佇まいであった。ところが太古の時代から超未来へ、そして未来でのターバーとの戦いが始まると、俄然スケールが大きくなってくる。映画にしても良いのではと思ったが、現代では古典SFとなってしまい、かなり古臭いストーリー展開なので、現代風にアレンジする必要があるかもしれない。
     またタイムトラベルものとしても、まだまだ単純でタイムパラドックスなども考慮されておらず、単に冒険を広げるためにタイムマシンを利用しただけに留まっている。まあこの時代のSFなので仕方がないと言えばそれまでであるが、タイムトラベルファンには、ちょこっとばかり物足りないかもしれない。
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    投稿日:2023.12.06

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