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水見稜, 日下三蔵 / 創元SF文庫 (18件のレビュー)
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総合評価:
ryunico
1
1984年刊行の復活完全版
全部で8編の物語が収められていますが、「人類の敵としてM・Eが存在する」という共通項しかない、各切り口の違う作品が連綿とつづられる一冊でした。 私の気に入ったのは作品は『夢の浅瀬』と『憎悪の谷』。 約…30年前の作品とは思えない感触がある一方、登場人物の会話が妙にB級ハリウッド的だったりと 通読すると妙なでこぼこ感が残りました。 あと、読んでいて気持ちが晴れない。 宇宙というこれ以上ない広大な世界を舞台にしているのに、読み進めれば読み進めるほどインナーワールドにはまり込むような閉塞感を覚えました。 もともとSFジャンルが好き、という人なら読了できると思います。 文体にもほとんど癖がなくて読みやすいので。 ただ、普段SFを読まない人には、若干ハードルが高いかも。続きを読む
投稿日:2014.04.07
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もー
このレビューはネタバレを含みます
水見稜。1980年代のみに活躍し、作品数も10作に満たない作家でありながら、今でも名前を見ることがある。 特にこのマインドイーターは良いニュアンスで名前が出されているのを目にし、一度読んでみたいと思っていた。 読んでみた感想は「これが30年以上前の作品なのか」というもの。 MEとの壮絶な戦いを期待していた私には肩すかしではあったが、決して期待外れでは無く、人間の内面、特に弱い部分や気持ちの移ろいの描写はすばらしいものがあった。 近年のSFでは忘れられている感もある「地球を離れて人間は生きられるのか?」というテーマも含まれていて、宇宙から俯瞰して見た「生きる」とはどういう事かを考えさせられる。 また、評価の割に作家としての活動期間が短かったので、「もしかしたら早世されているのでは」と思っていたが、2011年の完全版出版時のコメントが載っており安心した。
投稿日:2024.02.08
凪野基
129:ついったで飛浩隆さんが解説を書いておられると話題になっていたので購入。難しかったですが、神林作品と同じニオイがするので読み返すごとに自分の中で解釈が変わってゆくような、そんな気もします。M・E…との戦闘に始まり、M・E=「Me」の暗示、ヒトの誕生で終焉を迎えるこの作品に込められたものはあまりに多く、一度読んだだけではとても理解が追いつかない、というのが本音。ただただ圧倒的。大切に、何度も読みたい。続きを読む
投稿日:2018.10.08
まえすとろ
宇宙へ進出した人類に襲い掛かり精神を破壊し、その肉体を異質なものに変化させる鉱物意識体マインド・イーター(M・E)と人類との攻防を基本設定に8話から成る短編は、宇宙と人間、感性と感情、生と死という哲学…的テーマを通して、人はなぜフィクションを求めるのか?、SFとは何か?という問いを読者に投げかける。 1980年日本SF小説の全盛期において小松左京、筒井康隆らも盛んに作品の題材に取りあげたテーマ。その≪文系SF小説≫の中においても本書は今なお傑作を謳われる一作であり、30年前の作品とは思えない全く古さを感じさせない文体と構成は見事。 1984年にハヤカワJA文庫で刊行され長い間絶版になっていた本書に未収録の2話を加えた「完全版」。続きを読む
投稿日:2015.10.16
toca
1984年に刊行された短編連作の完全版だが、著者は現在、作家としての活動は全く行っていないようだ。 面白かっただけに新作が発表される気配すら無いのは残念……。
投稿日:2014.04.27
つばさ
読後感がすっきりするってわけじゃないのだけど、もう一度読み返したいと強く思える作品。 マインドイーター、M.E。それってつまり「私」なのだ、という後書きに痺れた。
投稿日:2014.04.09
koutaquarter
幕切れがあまりにも唐突な作品群だった。意図してそう書かれたものなのだろうが、描かれていない部分が多くてなんとももどかしい。あとがきに至ってその理由らしきものが書かれているが、つまり物語そのものは収斂さ…せず、切り取られた場面の雰囲気やその瞬間のキャラクタたちの感情、そこから想起されるイメージを楽しめばいい感じかね(その構成で損してるな、とも思う)。短編らしいとも言えるか。M・Eが「なんでわかってくれないんだ!?」って苛つくシーン全般と、ケインが作ってるのがキリスト像だと気付いたときが自分の中でのハイライト。 ハイテンションで解説書いてる飛さんの『象られた力』未読の人がもしいたら、ぜひ読んでみてほしいな。続きを読む
投稿日:2013.09.07
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