【感想】金田一耕助ファイル2 本陣殺人事件

横溝正史 / 角川文庫
(172件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
33
65
54
5
1
  • マイベストミステリー

    私個人が考える、世界で最高峰のミステリーである。「本陣殺人事件」を読んだ時の衝撃は、今でも忘れられない。簡潔にして緻密にして大胆で、最後の一行を読み終わってから「あっ」と声をだして驚いたのは、後にも先にもこの一冊だけである。コナン・ドイルのホームズ物は読破してはいたが、ひょっとして、私が古典ミステリーをあまり読んでいないせいかと思い、近年「不連続殺人事件(坂口安吾)」、カーテン、アクロイド殺し、そして誰もいなくなった(アガサ・クリスティ)」、赤い館(ミルン)」、「黄色い部屋(ルルー)」、そしてエラリー・クイーンの悲劇シリーズ四作等等、読み返してから再読してみたが、すばらしさは鮮明になりこそすれ、色あせる事は決してなかった。
    横溝氏の作品の特色は、ご本人もおっしゃっている通りの「アクの強さ」である。自分が関西人だから、とご自身が分析されているが、残虐でおどろおどろしい殺人事件を舞台に、人間の愛憎やら古い日本の因習を相手に、金田一耕助が格闘する。そこで明かされる見事なトリックは勿論だけれど、緻密な筆使いと素晴らしい語り口も忘れてはいけない。
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    投稿日:2013.10.04

  • 金田一の幼馴染登場

    3中篇が収録されている
    ・本陣殺人事件

    そのトリックはうまくいくんだろうか?犯行動機はものすごく自分勝手でおもしろい。
    警察が金田一にムチャクチャ協力的だ。

    車井戸はなぜ軋る
    八つ墓村、本陣、これといつも似たような雰囲気の一族が出てくるのでごっちゃになる。これは双子のように似ている異母兄弟が出てくる話。
    真相はなかなか面白いが、ラスト新聞記事による解答編はちょっとずるい。

    黒猫亭事件
    犯罪動機やトリックはおもしろいが、手が込んでい過ぎて実現可能性がめちゃくちゃ低い。
    金田一の幼馴染風間が登場する。金田一を耕ちゃんと呼び、危ない時に助けてくれ、たくましい腕で抱きしめてくれる。なにそのBL。腐女子などいなかった時代に横溝正史は何を思ってこの場面を書いたのか。
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    投稿日:2013.09.25

  • 吉備路散策に必携

    岡山の横溝正史疎開先に訪れる際は絶対必携!
    清音駅から役場跡、そして一柳家のモデルとなったであろう場所(今は竹藪)まで実際の土地がそのまま作品内に出てくるので、読んでから歩くと事件がほんとにあった出来事じゃないのかと思うほどの臨場感を味わえる。続きを読む

    投稿日:2013.09.26

  • 良くも悪くも金田一耕助次第なシリーズという印象

    中短三編を収録。
    表題作は金田一氏初登場の回と聞きつけての購入でしたが「2巻」とはこれ如何に?
    さて余りに有名な作品故、初読とはいえ予備知識なり憶測なりを抱きつつの取り組みでした。
    意外だったのは、装丁やら映像作品等から受ける怖い印象はなく、むしろ探偵のコミカルで頼りなげな印象の強い、明るめの物語だった事です。
    ミステリとしては、家柄や風土が重視されがちの背景が故にトリックよりも動機が肝という所でしょうか。
    探偵が動機を見てきたかの様に語る姿が気にならなければ、論理的で重厚な謎解きを楽しめます。
    車井戸~がお勧め。
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    投稿日:2014.07.13

  • 雰囲気を楽しむ小説でした

    トリックとしては、なんじゃそれ?と感じましたが、読み物として十分に面白かったです。

    が、私は「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」の方がより面白いと感じました。

    投稿日:2015.03.27

ブクログレビュー

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  • kouhei1985

    kouhei1985

    江戸時代より続く旧家の婚礼の夜、新郎新婦が惨殺されて発見された。密室となった離れ座敷、悲鳴とともに聞こえてくる琴の音、得体のしれない三本指の男。岡山の農村で起こった不可解な事件に、金田一耕助が挑む。名探偵・金田一耕助の初登場作品。

    同じく農村で起こった殺人事件を書簡形式でつづった『車井戸はなぜ軋る』と、東京近郊で起こった「顔のない屍体」の事件を扱った『黒猫亭事件』の二編を併録。

    最初の二編は村や一族の来歴に加え、田舎の旧弊さが強調されていて、日本的な陰険で不気味な雰囲気がただよっている。どれも金田一耕助の行動が直接描かれているわけではないので、表立って活躍している印象がないのが意外だった。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.09

  • しおりはさみこ

    しおりはさみこ

    『陰摩羅鬼の瑕』を読んだら、どうしても『本陣殺人事件』が読みたくなってしまった。
    随分久し振りの再読だったので、金田一耕助シリーズの語り手がY氏……もとい、横溝正史本人と気付くのに少しかかってしまった。そうか、伝聞調でストーリーが進むのだったっけ。
    3編からなる1冊。表題の『本陣殺人事件』はまさしく『陰摩羅鬼の瑕』につながる部分がありつつも、趣きは180度違う。機械仕掛けのトリックも、物語の装飾如何で受け取る印象も深刻になる。琴と不審人物と雪……事件の背景としてこれ以上のものはないよなあ。
    『車井戸〜』も『黒猫亭〜』も、人間の業の深さというか、ムラ的因縁とか、その辺の湿っぽさが壮絶だ。謎やトリックはもちろんのこと、そういった人間的背景が時代感も伴って物語に陰影を与えてるように感じる。
    それにしても…………金田一耕助というキャラクターは、魅力的でずるいよなあ。事件の合間を飄々と飛び回る。「金田一耕助」だからこそ、この一連の事件簿はたまらなく面白いのだろう。他も改めて読み直してみようかな。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.24

  • 久能整

    久能整

     日本を代表する名探偵、金田一耕助のデビュー作「本陣殺人事件」を含む三編が収録された一冊。カーに影響を受けた鮮やかな密室トリックの「本陣殺人事件」は勿論、顔のない死体をテーマにした(一風変わった)「黒猫亭事件」も面白く、読みやすかった。続きを読む

    投稿日:2024.02.19

  • 香月

    香月


    1.おすすめする人
    →探偵小説が好き、日本文学を感じたい、
     ハラハラしたい

    2.内容
    →金田一耕助の絡む話が3話入っている短篇集。
     中でも「車井戸はなぜ斬る」は
     かなりゾッとした。
     人間の狂気が全面に現れた作品。
     没落貴族から復讐を受け、
     また復讐を受けた貴族も没落貴族へ堕ちて行く。
     名言が多数含まれている。
    続きを読む

    投稿日:2023.11.30

  • ユウキ

    ユウキ

    久保銀蔵や磯川警部といった金田一耕助シリーズの主要人物達が登場する作品。
    久保銀蔵は金田一の支援者で、本陣殺人事件の被害者である花嫁克子の叔父。
    私はこの銀蔵氏がとても好きなのだ。彼はこの時代にアメリカへ渡り苦学してカレッジを卒業している。渡航すること自体大変なことだろうに、さらにあちらで働き生活をしながら自力で学校を卒業したのだ。物語の人物だとしても、とても尊敬できる人物である。また、金田一がアメリカにいた頃に彼の学費の面倒をみたり、帰国後も何かと気にかけて援助をしたり、金田一が「おじさん」と呼ぶところを見ても彼と金田一の信頼関係がよく分かる。続きを読む

    投稿日:2023.11.26

  • yaziem

    yaziem

    このレビューはネタバレを含みます

    日本家屋での密室物理トリックを成立させた初作品。
    金田一探偵、初登場作。若い。
    登場人物が刑事も含めて素朴な感じがあって、時代を感じる。
    しかしトリックや伏線はさすがの名作。
    これをきっかけに他作も読みたくなる。

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    投稿日:2023.11.03

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