【感想】魍魎の匣(3)【電子百鬼夜行】

京極夏彦 / 講談社文庫
(3件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
2
0
1
0
0
  • 幸せとは何か。

    ノベルズ版以来の再読。御筥様への畳み掛けるような憑物落し。匣詰め頼子のインパクトと共に、うっかりコミカライズでの青木君の苺柄のパジャマを思い出してしまって気が緩みかけた…のも束の間、舞台は美馬坂近代醫學研究所へと変わり、空気は重苦しくなっていく。美馬坂幸四郎の狂気。久保竣公の執着から絶望、苦痛と怒りに壊れていく様にゾッとする。そういえばシリーズで最も怖いと思ったのもこの作品だった。酷く息苦しい。関口の危うさも相変わらずで。破局を迎えるしかない幕引きであった。幸せとは何か。そして、雨宮はどこまで…。続きを読む

    投稿日:2017.04.29

  • 奇妙な事件

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    (あらすじ)
    「少女殺害未遂事件」、「連続バラバラ殺人事件」、「少女誘拐事件」、一見異なる3つの事件は『御筥様』なる謎の教団へと結びつく。果たして、これらの因果関係とは?そして、犯行は一体誰によるものなのか?刑事、陰陽師、作家、雑誌編集者、探偵の5人を中心に描かれるミステリー小説。
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    一応推理ものであり、トリックやその解明も理論的とは言えますが、いくら我々が推理しようが、衝撃のラストに辿り着く事は出来ないでしょう。寧ろ、ただひたすら深まる謎と、張り巡らされる伏線に浸りながら読むのが良いと思います。

    ただ、謎を提示した後、話が一度登場人物の難解な持論展開へとずれ、しかもそれを非常に長く丁寧に語るという事が度々あるので、せっかちな方はその都度歯痒い思いをするかもしれません。
    自分も、読んでいて流石に疲れたと感じた場面はありました。ところが、そう言った長文を読む事に心が折れそうになるちょうど上手いタイミングで、物語は新たな展開を見せ、時にそれは全く予想だにしない方向であり、結局最後まで面白く読めてしまいます。

    もちろん、本筋からずれた話全てが退屈であった訳でなく、霊能者の存在意義や、一般的に犯行の動機と呼ばれるも犯罪心理を憑き物として捉える解釈など、興味深いものも多々ありました。

    登場人物たちの一人一人の個性も、上手に書き分けられていて、それだけでも面白い作品です。
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    投稿日:2013.09.24

  • 京極夏彦による百鬼夜行シリーズ第2弾3冊目にして最終巻!

    いよいよ全ての謎が明らかになる。時折挟まれる不気味なモノローグの真の意味、それぞれの事件のつながりとその真相、物語に配置された登場人物の一人一人に至るまできちんと意味を持たせ、最後まで丹念に紡ぎ上げられていく。この完成度の高さはどうだ。
    猟奇的な事件を猟奇的なままで終わらせないところもさすがである。一見あり得ないと思えることも科学や医学の進歩によって有り得るのだということを再認識させられる。
    ボリュームはかなりのものだが、それを忘れるくらい没入できる。
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    投稿日:2015.12.26

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