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紀貫之, 西山秀人 / 角川ソフィア文庫 (17件のレビュー)
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総合評価:
間 文理
1
有益な、フォーマットでした。
学校時代、古文をほとんどパスして、最小限の資源で単位を取った私には、最適のフォーマットです。 飛ばしたくなるのを我慢して、本文(古文の部分)も読みました。私にも我慢して読める程度の長さにまとめられてい…ます。 そして、ここに記載されている人と人の関わり・交わりを(解説に助けられながら)味わいつつ、確かに人は1000年前と同じと人だと、嬉しいやら悲しいやら。 このシリーズ、読破してしまうかも。続きを読む
投稿日:2017.03.02
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たかちゃんマン
平安中期に描かれた航海の日記。ひらがなを用いた新しい文学。日記の中では、早く都に戻りたいとの思いと、戻れないもどかしさが鮮明に描かれている。また、土佐国で亡くした娘への追慕の念が多く語られており、これ…は『土佐日記』そのものの主題であるともいわれている。 特に、海が荒れ神様に奉納させるシーンが印象的。いつの時代にもずる賢い人はいるんだなぁ。続きを読む
投稿日:2024.02.14
司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)
「古典を難しく感じるのは、時代背景が分からないと作品の内容が理解できないところにある。ビギナーズ・クラシックスシリーズでは古典の原文→その現代語訳→さらにその部分の解説という構成になっているので、当時…の風習などを理解しつつ、原文の雰囲気を味わいながら古典に親しむことが出来る。」 (大居雄一『身になる読書術』の紹介より。続きを読む
投稿日:2024.01.14
oriduru1970
空を漕ぐ船 影見れば 波の底なる ひさかたの 空漕ぎわたる 我ぞわびしき (水に映る月影を見ると、波の底に大空が映っているが、その空を漕いで行く私は、何とちっぽけで頼りない存在なのか) 廬山寺 ろざ…んじ 京都にあるお寺。紫式部の邸宅跡と言われている。 昔の旅行は本当に大変だ。海賊の心配をしたり、天候のために何日も足止めされたり… 「わだの泊の別れの所」での段で、在原業平の名前が出てきて驚いた。 故在原業平だって。死んでる… 在原業平は平安前期の人で、紀貫之は平安前期から中期にかけての人。 それに紀貫之が前の世の優れた歌人たちを六歌仙と名付けたのだから、同じ時代の人ではないというのは、考えてみれば当然だった。 さらに言えば、在原業平の北の方は紀一族の女性だったか。紀貫之にとっては名高い親戚という位置づけだったのかな? 人はなぜ歌を詠むのか? 「思ふことに堪へぬ時のわざ」 土佐の国から京まで、今の高知県から京都までか。 紀貫之一行が京にたどり着いた章では、一緒に帰京したかのようにほっとした。55日間の冬の旅だ。続きを読む
投稿日:2023.11.15
nao
教科書に載ってて存在は知ってるけど内容はよく分からないから読んでみたいシリーズその1。 せっかちさんには向かなそう。土佐から帰京する船旅の、日記の体の文学だそう。でも船が悪天候やらなんやらかんやらで、…遅々として進まない。まだ同じ場所で停泊しなければいけない、そんな船上の人たちの不満や不安が伝染するようで、あーもう早く!と思ってしまう。 読者は作者が本当は男だと分かっている前提で女性のフリして女もしてみんとてするなりと書いていたらしい。一種のギャグのようだけど、当時からそういうのってあったんだなあと、平安時代がちょっと身近に思った。 紀貫之さんは和歌の名手のようで、至る所で上手かったり下手だったりする歌が散りばめられている。文学のミュージカルみたい。続きを読む
投稿日:2023.09.27
☆ベルガモット☆
ほむほむ短歌会の皆で鑑賞した紀貫之特集の番組で紹介された土佐日記。読まなくちゃとしばらく積読状態でした、なんとか読了。 四国の高知から任期を終えてあとの京の都へ帰るまでの、想像を絶する船での移動旅日…記(約五十五日間、ある年の十二月二十一日から二月十六日)。 現代訳、原文、解説、時々コラムの構成なので比較的読みやすい。付録に和歌歌謡初句索引、巻末に旅程地図がありそちらをたどりながら道中移動を体感できる。 コラム欄を抜粋。「歌集」でなく「家集」個人の歌を集めた私的な歌集のこと、歌人の家に代々伝わる父祖の歌集という意識が強かったとのこと。歌合とは紅白歌合戦のように二チームに分かれて和歌の優劣を競う文学的遊戯で、チーム名は赤白でなく左右で一首ずつ歌を出し合い勝負を競う。古典文学は、書き写して転写を重ねて残され、自筆本はほぼない状態で読み違いや間違いだらけの写本の可能性もあるとのこと。解説によると、著名は実は『土左日記』らしい。 特に好きな歌を抜粋。 池に住む住人からの贈り物と一緒に添えられた和歌 <浅茅生の野辺にしあれば水もなき池に摘みつる若菜なりけり> 別れをしのぶ幼子が詠んだ歌 <行く人もとまるも袖の涙川汀のみこそ濡れまさりけれ> 風も波もやまず二十五日以上も停泊して焦る様子を詠う 波も雪に見えるくらい途方に暮れている様子 <霜だにも置かぬかたぞといふなれど波の中には雪ぞ降りける> 海賊の噂を聞きつつ船を出すことになった嬉しさを詠う <追ひ風の吹きぬる時は行く船の帆手うちてこそうれしかりけれ> 梶取の無茶ぶりな要求に呆れている様子 大事な鏡を投げ入れたら海が穏やかになったらしい <ちはやぶる神の心を荒るる海に鏡を入れてかつ見つるかな> 無事に京に入り桂川を見てしんみり帰京の嬉しさに浸っている様子 <ひさかたの月に生ひたる桂川底なる影も変はらざりけり>続きを読む
投稿日:2023.06.08
張飛
平安時代の大歌人、紀貫之が女性になりすまして土佐から京の自宅を目指す旅を描いた日記文学の名作だ。 編者の「はじめに」を引用すると“笑いあり、涙あり、スリルあり、そして作品全編にただよう水の匂い。それ…が『土佐日記』の魅力” 時にはデーブ・スペクターにも負けないようなダジャレを繰り出し、紀貫之の堅いイメージがいい意味で崩れた。 また、この日記には様々な登場人物が詠む五十八首の和歌が出てきて和歌入門書としての側面もある。一番好きなのはこの和歌。 棹させど 底ひも知らぬ わたつみの 深き心を 君に見るかな (棹をさして知ろうとしても測り知れない大海のように、深いご厚意をあなた方には感じますよ) 土佐を去る紀貫之との別れを惜しみ、見送りに来てくれた人たちへ送った紀貫之の和歌だ。きっと貫之は関羽のように義理人情に厚い男だったのだろう。続きを読む
投稿日:2023.05.28
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