【感想】もうダマされないための「科学」講義

菊池誠, 松永和紀, 伊勢田哲治, 平川秀幸 / 光文社新書
(44件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
10
14
13
1
0
  • 科学者にも読んで欲しい

    1章がニセ科学の概説、2章が科学の線引き問題についての解説と提言、3章が科学を伝えるメディアの問題、4章が科学技術コミュニケーションの歴史と課題、といった内容です。
    付録では震災後登場した放射線に関連するデマを紹介していて、荻上チキ(それぞれの章の前書きを担当しています)が『東日本大震災の流言・デマ』で言っていた「流言ワクチン」ですね。
    それぞれの章は独立した講義を元にしたものですので、どの章から読んでも問題無いでしょう。

    どの章も参考になる部分がたくさんありましたが、個人的に一番得るものが多かったのは4章でした。
    特に、人々にリスクの大きさとして認識されているのはリスクの「受け入れがたさ」である、という指摘には確かになぁと思いました。
    行政や科学者がここを理解しないと平行線の議論になってしまうんでしょうね。
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    投稿日:2014.09.05

  • 科学的な視点

    今,世間にあふれているさまざまな情報の中には,科学的に怪しいものも多々ある。わかっている人はそれらを「怪しい」と思うことができるが,信じてしまい,さらに周りの人に広めてしまう人たちというのも確実に存在している。
    そのような怪しい情報を「怪しい」と判断することができるための,バックグラウンドを育てていくことが必要なのだろう。
    また,リスクに関する考え方も重要だ。「発がん性物質」「放射線による被害」など,リスクの定量的な判断ができないと,「リスクがゼロではない」=「危険」という判断をしてしまいかねない。
    ぜひ,多くの人にこの本を読んで,科学的な視点を持ってもらいたい。
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    投稿日:2017.01.03

ブクログレビュー

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  • ritsuca

    ritsuca

    シノドス主催イベントの文字起こし…なのかな?
    身の回りの「科学」との付き合い方、科学を通しての行政や政治との付き合い方、などなど。
    科学だから正しい、ではない。批判的に見る目、考える心を。

    投稿日:2019.06.21

  • shifu0523

    shifu0523

    【目次】1章 科学と科学ではないもの 菊池誠/2章 科学の拡大と科学哲学の使い道 伊勢田哲治/3章 報道はどのように科学をゆがめるのか 松永和紀/4章 3・11以降の科学技術コミュニケーションの課題 平川秀幸/付録 放射性物質をめぐるあやしい情報と不安に付け込む人たち 片瀬久美子続きを読む

    投稿日:2019.01.17

  • akio1977

    akio1977

    5人の科学者、サイエンスライターがそれぞれの立場から「科学」について語ります。
    これを読んだから騙されないようにはならないですが、近年の「科学」周辺のトピックや考え方に触れる事ができて、面白く読めました。

    それぞれ、印象に残ったことを覚書。

    1.科学と科学でないもの(菊池誠)
    ・疫学的思考の重要さ。
    例えば、「やった・やらない」「効果あり・効果なし」をクロスさせた場合、「やらない」×「効果なし」が、見落とされがち。
    ・道徳を決めるのは、物質の性質ではない。歴史や文化。

    2.科学の拡大と科学哲学の使い道(伊勢田哲治)
    ・科学はモード1からモード2へと移り変わつつある。環境学、情報学など。
    モード2では、「問題解決」への有効性が大事。また、大学、自治体、企業など様々な主体との協同が不可欠。
    ・科学か、科学でないかを主張の「内容」ではなく、「態度」で考えて判断する。科学の定義で外せないポイントは「信頼性」。主張が「信頼」を得るために、どのような手段を用いているのか。

    3.報道はどのように科学をゆがめるか
    ・科学には不確実性が伴う。ゼロリスクにはならない。程度や量の考え方が大事。リスクとメリットについて、どこで折り合いをつけるのか。

    4.3・11以降の科学技術コミュニケーションの課題
    ・「トランスサイエンス」という領域。科学の分野ではあるが、科学だけでは解決できない領域が拡大している。
    ・「欠如モデル」というアプローチ方法が時代にそぐわなくなっている。科学者が市民を啓蒙するというアプローチではなく、科学が伴う意思決定に市民が関わる場を。
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    投稿日:2018.12.16

  • yoshio2018

    yoshio2018

    科学と疑似科学の違いはなにか。科学とモード2科学。報道による科学のゆがみ。3.11以降の科学Communicationは科学知識の理解から対話へ。トランスサイエンス「科学に問うことはできるが、科学では答えを出せない問題群」の扱い。科学に対する態度を整理してもらった。続きを読む

    投稿日:2018.10.11

  • lutana2

    lutana2

    現代の科学を取り巻く問題が具体例とともに凝縮された良書だが、若干想定読者が絞り切れていない感あり。科学になじみのない人は付録、3、1、2、4章、科学に関わる人はその逆の順で読むと比較的読みやすいかも。

    投稿日:2018.05.27

  • uu-tenishite

    uu-tenishite

    BSE問題や原発事故を通して,科学者にダマされたと思うのはなぜか。それは,科学の力が必要であるものの,それだけでは解決できない社会と深く関係した問題を科学の領域だけで結論づけているからである。ダマさない,ダマされないために,科学者とわたしたちはどのようにあるべきか。社会と深く結びついた科学の姿を浮かび上がらせてくれる本である。

    *推薦者(地教)A.O
    *所蔵情報
    http://opac.lib.utsunomiya-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB06823367?caller=xc-search
    続きを読む

    投稿日:2016.07.27

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