【感想】冷たい校舎の時は止まる(上)

辻村深月 / 講談社文庫
(659件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
147
257
176
27
5
  • 人を選ばず、おすすめしたくなる小説。

    読み始めて少し進んだあたりから、
    ぐんぐん、ひきつけられました。

    なにか、よくわからない、でも怖いことがおきてる……という
    ざわざわ感がなんともいえず、不気味で、ますます引き込まれました。

    心理描写が巧みなうえに、とても読みやすく、
    ハラハラドキドキしているうちに、
    結構なボリュームのはずの上巻を読み終えてしまいました。

    キャラクターひとりひとりも、それぞれしっかり物語を背負っていて、
    その描き分けと熱量に「これは力作」という印象を受けました。
    そして、ずいぶん昔になってしまったけれどすごく「学生時代にこんな風な仲間がいたら」なんていう気持ちにもなりました。
    ボリュームはあるけれど、これは人を選ばずにおすすめできる小説だと思います。
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    投稿日:2017.03.08

  • 女子高校生たちの心理と自殺者探しか

     辻村深月のミステリーで、第31回メフィスト賞受賞作である。主な登場人物は、青南学院高校3年生10人程度。別段実話でもないのに、その中の一人に作者と同姓同名の「辻村深月」がいるのは笑えるよね。
     ストーリーは、雪の降るある日、いつも通りに登校した8人の高校生が学校に閉じ込められてしまう。開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。寒々しい校舎の中からどうしても出ることができない。きっとこれは2ヶ月前に、学園祭の最中に死んだ同級生の精神世界の中なのだろうという推測。だが閉じ込められている8人全員が、その自殺した同級生の顔も名前も思い出せない。

     結局はこの自殺した同級生は、一体誰だったのだろうか、ということがこのミステリーの謎解きテーマである。それにしても、それだけのことを解明するために延々と物語は続いてゆくのだ。社会問題や恋愛などを描くわけでもなく、高校生の心理状態だけを克明に追いかけてゆく。普通の社会人にはかなり退屈な前半であった。ところが後半になって登場人物の過去の背景などが語られ、犯人らしき人物が登場してくると、俄然面白くなってくる。そして前半の10倍のスピードで一気に読み終わってしまった。まさに想像外の犯人とラストのどんでん返しは、流石にメフィスト賞受賞作だと唸ってしまった。

     もともとこの本を読むきっかけになったのは、タイトルの「時は止まる」がタイムトラベルものをイメージさせたからである。だがその期待は見事に裏切られてしまった。確かに時計は5時53分で止まっているのだが、それは同級生が自殺した時間であり、時を止めるというより幽霊の時間という感じだった。まあ犯人いや自殺した人物探し、ということではミステリーと言えるが、どちらかというと女子高校生たちの心理やいじめなどを巧みに描いた青春学園ドラマという趣でもあった。社会経験豊富な大人には、ちょっと物足りないが、中学生や高校生ならば大感動間違いなしであろう。
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    投稿日:2013.09.25

  • 特に中・高・大学生へ

    本の内容は紹介ページのとおりです。
    登場人物はほぼ大学受験を控えた高校3年生であり、彼らの抱える感情は学生ならば特異なものではなく、簡単に感情移入できると思います。
    詳しくは書けませんが伏線の張り方が非常に巧みであるため、上下巻を同時に買って間を空けず丁寧に読むことを強くおすすめします。
    読み終わった時必ず心に残るシーンがあると期待していいと思います。
    続きを読む

    投稿日:2013.09.24

  • だれ?

    思春期特有の学校生活での登場人物それぞれの悩みや葛藤。閉ざされた校舎という密室空間で過去が明らかになり、ひとり一人消えていく過程はミステリーとホラー感満載。「ホスト」は誰か目星は付けてるけれど、当たるかどうか早く下巻を読まねば!続きを読む

    投稿日:2013.09.26

  • 自分も閉じ込められたような感覚

    2ヶ月前に自殺したクラスメイト。冬の校舎に閉じ込められた8人の生徒が誰一人そのクラスメイトの名前を思い出せない。彼らとともにそれが誰なのかを探しながら丁寧に読み進めていきました。
    降りしきる雪、冷たい校舎、その中から出られない恐怖がひしひしと伝わってきます。
    時計が進み始めるとき起こる事件は生々しく残酷です。
    私の予想は見事に外れてしまいましたが、だからこそこんな結末を書いた辻村深月は凄い作家だと唸らずにはいられません。
    登場人物ひとりひとりがとても丁寧に描かれており、心理描写も素晴らしいです。
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    投稿日:2015.09.07

ブクログレビュー

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  • しおぱん

    しおぱん

    再読です。
    結末とか色々分かってからもう一度読むと、やっぱり違った良さがありますね。何回でも読みたい小説です。

    投稿日:2024.05.24

  • アリス38

    アリス38

    登場人物が多く、展開が遅く、入り込めずに読み終われなかった…設定が非現実的過ぎてよく分からない。

    妹は面白いので続きが読みたいと言っています。

    この後で読んだかがみの孤城は面白くて、同じ人が書いたのかとびっくり。続きを読む

    投稿日:2024.05.13

  • ひろぴ

    ひろぴ

    2024.05.03
    上巻だけでも結構な厚みのある作品。
    謎が深まる。
    著者と同じ名前のキャラクターが出るとは知らなかったのでものまね番組の「ご本人登場!?」的な驚きがあった。

    投稿日:2024.05.03

  • 溢れ出る涙

    溢れ出る涙

    著者の処女作ということだが、新人らしくないプロットと心理描写が秀逸だ。長大な作品だが、下巻を読み終えるのが楽しみであり、少し勿体無い気もする。

    投稿日:2024.05.01

  • にゃごさん

    にゃごさん

    学園もの。後半で感想は纏めようかと思います。
    取り敢えずここまでは面白かったです。この先でどんな展開になるのか、ちょっとまだ結末は読めてないですね。

    投稿日:2024.04.11

  • 湖永

    湖永

    雪が降るある日。
    かなり寒い朝の描写から始まる物語は、大学入試を控えた男女が2人ずつペアで登場し、学校へと入って行く。
    だが他の人の気配はなく、先生さえいない…
    あれっ、登校日だよねと誰もが思っている
    そのうち学校から出られなくなる。
    そして、10月の学園祭の最終日に自殺したのが誰だったのかを皆、思い出せなくなっている。
    何故、誰も死んだ同級生の顔も名前も忘れてしまったのか…

    もうこの辺りで気になって仕方がない。
    この8人以外、誰も出てこないのか?

    県下でも有数の進学校に通う彼らたちはもちろん優秀でありながら皆んな個性豊かでもある。
    家の事情もさまざまだからこそ悩みもある。

    どうなっていくのかと思いながら読み進める。
    1人ずつ少し前のことを思い出しながら心のうちを曝け出しながらいなくなる。

    充が、清水が、昭彦が、

    いなくなる。

    もう目が離せなく下巻へ。


    続きを読む

    投稿日:2024.04.01

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