【感想】美姉の魔惑

櫻木充 / 双葉文庫
(1件のレビュー)

総合評価:

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  • 初めて読む中編官能小説として自信をもっておすすめ

    官能小説は単に、その性描写だけではなく、そこに至る過程の自然さ・説得力があってこそリアリティが感じられ高い評価が生まれます。しかし、ダラダラと設定を読まされては興ざめしてしまいます。さっさと卑猥な性描写へと移らなければダメなのです。

    この相反する条件を巧く書き分ける官能小説家として櫻木充は高い評価に値します。

    さて、本作『美姉の魔惑』(あねのまわく)はフェチの対象として「ストッキング」をモチーフにしています。「ピーンと伸びきったストッキングメッシュは、想像していたよりもずっとなめらかで、上質なビロード生地を撫でているような感触だった。」などと理性的に分析するかと思えば、「唾液と女汁にまみれたクロッチを亀頭にあてがい、愛しい美姉の沁みで鈴口を塞ぎ、ひたすら破廉恥な夢想に溺れこむ。」といった具合です。

    おそらく、ストッキングに強い興味をお持ちの方は少ないと思いますが、本作を読了後はきっと興味津々になるでしょう。

    「匂い」に対する好奇心・姉たちの目を盗み「使用済み下着」で秘かに性欲を満たしていく主人公のハラハラとした緊張感から、どんどん読み進めてしまいます。

    本作は5章からなりますが、短編集ではなく主人公と年上の女性二人の三角関係をベースにした中編官能小説です。きちんとしたプロットがありながら、各章きちんと性描写で盛り上げるそつない仕上がりです。

    短編集では、状況説明にどうしても無理が出てしまいますが、本作は、章を重ねることで得られる説得力のある内容としっかりとした性描写で自然な読後感を与えてくれるでしょう。

    オムニバス形式の寄せ集め短編集には真似のできない本格的な中編官能小説です。一気に読む必要は全然ありません。1章ごとに官能の山場があるので、今まで短編集しか読んでいないような官能小説初心者の方が初めて読む中編官能小説として自信をもっておすすめします。
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    投稿日:2013.10.05

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