人間にとって科学とは何か(新潮選書)
村上陽一郎(著)
/新潮選書
作品情報
純粋な知的探究から発して二百年、近代科学は社会を根底から変え、科学もまた権力や利潤の原理に歪められた。人類史の転換点に立つ私たちのとるべき道とは? 地球環境、エネルギー問題、生命倫理――専門家だけに委ねず、「生活者」の立場で参加し、考え、意志決定することが必要だ。科学と社会の新たな関係が拓く可能性を示す。
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商品情報
- シリーズ
- 人間にとって科学とは何か(新潮選書)
- 著者
- 村上陽一郎
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 数学・物理学・化学
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮選書
- 書籍発売日
- 2010.06.25
- Reader Store発売日
- 2023.10.06
- ファイルサイズ
- 9.4MB
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この作品のレビュー
平均 4.1 (15件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
図書館でみつけて、即座に借りました。なにしろ、村上陽一郎さんには、進路に悩んでいた若い頃に「科学者とは何か」でずいぶんと助けていただきましたので。
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結論は常識的で、「科学イコール役に立つ、という軸だけで科学を考えるのはやめよう。もっと根源的な意味がある筈だから。そしてみんなで科学リテラシーを身につけよう」というものでした。
この本で感心したのは、第3章「医療における新たな制度」のところです。
村上さんは、医師-患者関係について、「患者」が「医者」と対等になるような関係を理想としているようですが、その論拠が秀逸なのです。
まず、「社会においては文明の進捗具合によって疾病構造が変化する」という考え方を紹介します。
それは、「文明の第一段階」では主たる死因は「消化器系の感染症」、「第二段階」では「呼吸器系感染症」、「第三段階」では「生活習慣病」、そして最終段階で「社会的不適合」になる、というものです。
これは説得力があります。
未開な社会ではコレラとか腸チフスとかで亡くなる人が多くって、少し進むと肺炎とか結核とかになって、さらに進むとメタボ系=動脈硬化系(脳卒中、心筋梗塞)とがんになって、その先にはおそらく「自殺」がくる。
第一、第二段階の「感染症」が主体で会った頃の医療関係は、医療の力が非常に強かったから、関係も医療者側が強かった。しかし、第三段階になってくると、「患者」の力がないと、たとえば糖尿病を落ち着けるのには本人の努力による運動とダイエットが不可欠であるように、病気をコントロールすることができない。
こういう時代では、「患者学」というのも必要だ。
という訳です。
生活習慣病を見る医者と、感染症をみる医者とでは、医者のできることに差があるという着眼点に感心しました。
ただ、村上さんは「がん」も「生活習慣病」と同列に論じようとしていたけど、「がん」はどっちかというと「感染症」に近いんじゃないかな、とは思いました。だから「がん」の治療方法についての自己学習を推奨する考え方については、ちょっと違うと思いました。
あと、最後の方にでてくる「現場荒らし」の科学者(自分に都合の良い研究結果がでるまで「現場」にいて、結果がでたらオサラバしてしまう研究者)の問題提起にもフックしました。研究者を「ビジター型」と「レジデント型」に分けて考えようという向きもあるそうです。
この考え方って、そのまま医者の世界にあてはまりますよね。開業医や、その病院に長く勤める勤務医は「レジデント型」、数年でどんどん移っていく医者たち(研修医や、ローテーションが決まっている大学系の医者とか)が「ビジター型」。
自分が、「レジデント型」から「ビジター型」になってしまうことに関して、屈託があるってこともすごく自覚しました。まあ、どっちがいいということではなくて、それぞれに得意分野を開拓していこうよということになるんだと(アタマでは)思うんだけど、僕の「中の人」は結構頑固で、なかなかその考えを「うん」と言ってくれず苦労しました。
長くなってしまいましたが、結論は、「村上さんは今回も僕を助けてくれた」ということでした。投稿日:2011.07.24
このレビューはネタバレを含みます
p.118-119 "Act of God"であったようなものがリスクに変わる、つまり科学技術が進歩すればするほどリスクは増大します。(略)社会学者ニコラス・ルーマンの「リスク社会論」はまさしくそのこ…とを明示しています。続きを読む
レビューの続きを読む投稿日:2022.12.30
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