フランスの高校生が学んでいる10人の哲学者
シャルル・ペパン(著)
,永田千奈(訳)
/草思社
作品情報
2時間で読める西欧哲学入門。
よほどの覚悟がないと書けない本だ。
――内田樹氏推薦!
フランスの人気哲学者が、
プラトンからサルトルまでの西欧哲学者10人を
コンパクトかつ通史的に紹介したベストセラー教科書。
ギリシャ時代から近代までの哲学の流れが、面白いように理解できる。
欧米のエリートにとって、哲学は不可欠な教養だ。
フランスの高校では哲学が必修、
バカロレア(大学入学資格試験)では文系理系を問わず哲学の筆記試験が課される。
教養としての哲学を、フランスの教科書を読んで身に着けよう!
【目次】
まえがき
1 プラトン
2 アリストテレス
3 デカルト
4 スピノザ
5 カント
6 ヘーゲル
7 キルケゴール
8 ニーチェ
9 フロイト
10 サルトル
訳者あとがき
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この作品のレビュー
平均 3.7 (20件のレビュー)
-
「哲学とは死に方を学ぶことだ」
本書は、3ユーロというから日本円で500円以下で買える、低価格ブックレット。
フランスの高校生に向けた大学受験の参考書なんだけど、刊行後ベストセラーとなったというから、手にとったのは学生ばかりではな…いのだろう。
10人の哲学者の選定は必ずしも著者の意向を反映してないかもしれないが、ずいぶん変わっている。
最初にプラトン、アリストテレスと来て、次がいきなりデカルト(スコラ哲学は?)。フランスだからかサルトルは入っても、ロックやヒュームのイギリス経験論はなし(EU以外は排除?)。
そのくせフロイトが入っちゃってる。
参考書というと日本だとキータームの解説中心に終始するが、あちらの試験は論文が主なのかコンテクスト第一。
だから読み物として面白い。
なぜかわざわざ「現代なら完全にアウトな問題発言」を、10人それぞれに取り上げているのも、ちょっとない感じ。
デカルトの動物機械論やヘーゲルの「アフリカには歴史がない」など、眉をひそめるものが大半なのだが、著者は時に「同時代の人たちに投げかけたもので、すべての人たちに向けてではない」と弁護している。
ただ、ニーチェに関してはあまりも多すぎたのか、ひとこと「やりすぎです」と。
笑ってしまった。
10人の中ではスピノザとキルケゴールの所がいい。
特にキルケゴールは本当に心に残る文章だった。
「ヘーゲルは理性が信仰を育むとし、キルケゴールは、理性への絶望が信仰を生むとした。こざかしい理性は捨て、理屈をつけて安心したがるのをやめ、目を閉じて、神秘と向き合え。『すべてが停止し、思考が死に至り、言葉が沈黙し、もはや説明がつかないとき、ついに嵐が訪れる』。信仰へと『身投げする』理由が一つも思い当たらないとき、なぜ自分は今ここで覚悟を決めることになったのか、まったくわからないとき、幸せになれる理由が客観的には何も見つからないとき、私は初めて本当の喜びを見出す。
難解だろうか。確かに簡単ではない。これこそがパラドックスなのだ。理解も説明もいらない。もし、理解や説明が可能ならば、もはやパラドックスは存在せず、人生の神秘も再び、ヘーゲル的な総括のなかに消えてしまうだろう」
「信徒たちはしばしば、神を信じることを『選択』したと思い込んでいる。だが、彼らは『決断』のことを『選択』と言っているにすぎない。選択とは、理性的な論証に耳を傾け、論理的な結論を引き出すことである。決断とは、自身の内なる動きを感じ取り、時に理性を犠牲にしてでも心の声に従うことなのだ。これが『信仰の超理性への飛躍』なのである。神を信じなければならない理由などないのに、神を信じるのは私が自分で決めたからだ。それは宙に身を投げることであり、たとえそれがどんなに不条理で、常軌を逸したものであっても、神の命令に従い、息子を殺して貢ごうとしたアブラハムのようにふるまうことなのだ。キルケゴール自身が、突然、少なくとも表面上は明確な理由もなく、愛するレジーナ・オルセンとの婚約を破棄したのも、これと同じ事かもしれない。
どんな決断にも、宙に身を投じるような気持ち、自分の存在を強く意識させるような狂気と自由の瞬間があるはずだ。一方、理詰めで納得ずくの選択は正しいものであっても、味気ないのである」
信仰の飛躍だけが人を真理に近づけるのだが、同時に不条理を受け入れ、理性を捨てる覚悟がいる。
「信仰とは、すなわち絶望なのである」続きを読む投稿日:2022.10.29
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哲学に興味はあるけど入門書的なものを…と探してた時に出逢った1冊。うん面白い!ますます詳しく知りたくなった!今の時代ではアウトでしょ…の作者さんの解説を読んでて、偉大な哲学者さんまさかの言葉足らず?と…ちょっと身近に感じたり続きを読む
投稿日:2024.04.06
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