『こころ』は本当に名作か―正直者の名作案内―
小谷野敦(著)
/新潮新書
作品情報
文学に普遍的な基準はありません。面白いと思うかどうかは、読者の年齢や経験、趣味嗜好に左右されます。「もてない男」に恋愛小説が、そのケのない人に同性愛的文学がわからなくても、仕方のないこと。世評高い漱石の『こころ』やドストエフスキーは、本当に面白いのでしょうか? 読むべきは『源氏物語』か『金閣寺』か? 世界の古典を「大体読み終えた」著者が、ダメならダメと判定を下す、世界一正直な名作案内。
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この作品のレビュー
平均 3.3 (20件のレビュー)
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いま、ちまたでは女性お笑い芸人が占い師に洗脳された、という話題が持ちきりである。占いってのは、「こちらがわからない手段によって、こちらのことを知る」技法のことであり、事前調査とかコールドリーディングと…か視線の動きをみるとか、かまをかけて反応をみる、とか誰にでも当たるこという、とか様々な技法がある。
で、つまりは、それって、「人間を知る」方法なのであり、そのやり方をしらない人にとっては、「魔術師のように」みえる効果がある。
小谷野氏のこの本は、ある意味そういう「魔術師のように人間を知る」本であり、読んだほうがいい本であろう。
どういうことかといえば、「相手が好む本で相手がわかる」ってことで、たとえば「漱石が好き」という人は「母に愛されなかった」人であり、小林秀雄が好きって人は「母に愛された人」。
じゃあ、両方好きな人は「自己欺瞞に陥っているか嘘つきかどちらか」ってことで、これを知っただけでもこの本を読んだ価値があった。
志賀直哉好きはお坊ちゃん。
ワイルドが好きなひとは同性愛者。
ドストエフ好きーはキリスト教好き。
こういうの知っていると、占い師よろしく、相手の生活環境で好きな本がわかるようになるかも。
まあ、まあ、そもそも読書好きにしか通用しない占いだけどね。
人の生まれ育ちが読書の好みを左右するから、普遍的に面白い本なんてないという、まあ、よく考えると当たり前だが、そんなことをいうと評論家は飯が食えなくなってしまうから誰も言わなかったことをいったから「正直者の名作案内」というわけである。
だから、小谷野も、ここに上げた名作が普遍的な価値をもっているといっているわけでなく、あくまで好みだ、としているから正直だ。これによって、小谷野自身の人間がバレてしまうからだ。
結局のところ、自分をどの程度さらけ出したか、が小説の価値に大きく影響する。
で、「そんなとこまで見せちゃうひとっていままでいなかった」ってのが歴史的名作であり、でも、みんながみせちゃうと、いずれ読まれなくなるかもしれない、から、価値は普遍的ではありえないってことです。続きを読む投稿日:2012.03.19
著者がこれまで読んできた、名作と呼ばれる小説を選定した本。冒頭で、文学には普遍的な価値基準は存在しない、と前置きしたうえで、名作本をいくつかの段階に分ける。著者の見解として、紫式部『源氏物語』、シェ…イクスピア作品、ホメロス『イリアス』、『オデッセイア』、そしてギリシャ悲劇(ちなみにギリシャ喜劇のほうは面白くないと考える。笑いは地域と時代によって通用しないからだという。)が最高峰の名作だという。先ほど述べたように、文学において普遍的な要素を求めるべきではないし、著者自身もこれらの作品が後世に読み継がれる保証はないと考える。それでも、近代の作品と比べると上記の作品のほうが長い時を経ても耐えているので、作品としては上手である。
その一方で、一般的に名作といわれる小説、たとえば夏目漱石『こころ』が本当に名作に値するのか本書の後半で検討する。たとえばドストエフスキー『罪と罰』、『カラマーゾフの兄弟』やダンテ『新曲』に関しては、キリスト教に馴染みのない人に深く理解できるのかと、著者は疑問を投げかける。それ以外にも有名な作品を批判するが、全体的に見て近代以降の作品が多い印象である。言い換えると、著者は読者に近代以前の名作を読むように推奨してるような気がする。続きを読む投稿日:2024.04.03
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