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小谷野敦 / 新潮新書 (20件のレビュー)
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コウ
著者がこれまで読んできた、名作と呼ばれる小説を選定した本。冒頭で、文学には普遍的な価値基準は存在しない、と前置きしたうえで、名作本をいくつかの段階に分ける。著者の見解として、紫式部『源氏物語』、シェ…イクスピア作品、ホメロス『イリアス』、『オデッセイア』、そしてギリシャ悲劇(ちなみにギリシャ喜劇のほうは面白くないと考える。笑いは地域と時代によって通用しないからだという。)が最高峰の名作だという。先ほど述べたように、文学において普遍的な要素を求めるべきではないし、著者自身もこれらの作品が後世に読み継がれる保証はないと考える。それでも、近代の作品と比べると上記の作品のほうが長い時を経ても耐えているので、作品としては上手である。 その一方で、一般的に名作といわれる小説、たとえば夏目漱石『こころ』が本当に名作に値するのか本書の後半で検討する。たとえばドストエフスキー『罪と罰』、『カラマーゾフの兄弟』やダンテ『新曲』に関しては、キリスト教に馴染みのない人に深く理解できるのかと、著者は疑問を投げかける。それ以外にも有名な作品を批判するが、全体的に見て近代以降の作品が多い印象である。言い換えると、著者は読者に近代以前の名作を読むように推奨してるような気がする。続きを読む
投稿日:2024.04.03
裏竹秋
おもしろかった。突飛な意見もあるが、私には著者の意見は的を射てゐると思った。高校の時に買はされ、教科書で読まされたこゝろはつまらなかった。昔私は、自身にとってつまらなかったり理解できなかったりしても良…い作品はあると思ってゐた。いま考へると自己欺瞞だったのだらう。書き方がいやといふ他人の感想も解るが、よく勉強してゐて芯が通ってゐる事やその正直さを私は評価する。続きを読む
投稿日:2022.04.30
dai-4
またタイトルに惹かれて、つい読んでしまった小谷野作品。相変わらずの辛口批評が満載で、自分も受け付けなかった文学作品がけなされていると、何となく拠り所が見つけられたように感じてしまう。それが極論の効能な…んだろうけど、何だか辟易としてしまう自分もいて、正直、読んでいるうちにだんだん疲れてきました。続きを読む
投稿日:2020.07.06
ナリ
ブックオフで買って、速攻ブックオフに売り払った。 はしがきを読みだすと、「いわば」(だったと思う)があり、その数行後に「いわば」がまた使われている。 同じ言葉の連発に受けた印象は「文章雑だなー」。… 読む気がしなくなり、文学作品を著者の視点から批評する内容なので、どの作品のどのようにいいのかをちょっとチェックすればいいやとわりきった。 で、著者が一番いいと論じているのは「源氏物語」だ。理由は「とにかくいい」 だけである。 どのようにいいのかを読者は知りたいんだよ! もういいや、この本読まなくて。 いや、待てよ。本書のタイトルの「こころ」はどうなんだ?高校の教科書にもある日本文学における大作品をどう斬っているんだ? 要約「みんながいいって言うのが気に入らないからけなしたい」 マジかよ。天邪鬼なだけかよ。 そんな本書から得られたこともある。 「文学作品の評価は普遍的なものではない」 ってこと。昔に駄作といわれていても、現在では評価の高い作品もあるし、現在評価の高い、人気のある作品でも未来では駄作といわれることもあるかもしれない。 読む人の価値観がちがえば、その作品の評価も変わってくるってことです。 絵画の世界でゴッホの描いた絵は生前全く評価されていなかったけど、今は高額の値がついている。それと同じことが文学にもいえるんですね。 いや、芸術的なものだけじゃなく、もの、人の評価は全て普遍的じゃないんだな。続きを読む
投稿日:2015.08.03
long2ago
2015/5/1読了34 私もこころが名作だと思えず購入してしまった。著者ならではの文学論が書かれているが、一般論とは異なるように感じられ、なかなか刺激的。 作家によっては、偉大な作家かどうかさえ疑…われていたりするのだが、そんな作家の本でも著者は面白いと感じた本は面白いと言っている(例えばトーマス・マン) 私も自分が面白いと感じたものだけを面白いと言えるように、自分の中での明確な基準を持っていたいと感じた。続きを読む
投稿日:2015.05.05
キじばと。。
東西の古典文学の「だいたいは読み終えた」という著者が、おもしろかおもしろくないかを大胆に判定を下した読書案内です。 本書は作品自体のおもしろさを中心に評価しているのですが、それ以外にもたとえば白樺派…の作家たちがトルストイをどのように受け入れたのかといった、受容史的な観点からのおもしろさというものもあるはずで、本書にも随所にそうした薀蓄が示されているのですが、あまりアカデミックな文学研究に立ち入らないようにしているのか、そうした側面はほとんど切り捨てられているように思います。 たとえば、本書で著者が「好きではない」と述べている推理小説などの場合には、先行作品をどのように消化しているのかといった評価の観点もあるように思うのですが、そういうものは好事家に任せておけばいいので、本書のように単純な意味での作品のおもしろさをズバリ述べているのは、一つの見識ではあります。 もっとも著者は、「インターテクスチュアリティ」といった用語に代表されるような、非実証的なポストモダンの文学理論にどうしてもガマンがならないようで、そのことを考慮に入れておいた方がいいかもしれません。続きを読む
投稿日:2015.02.02
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