ねこぢる大全 上
ねこぢる(著)
/文春デジタル漫画館
作品情報
没後20年を記念して、夭逝した天才漫画家ねこぢるの全作品を電子化!
一目見たら決して忘れられないキュートなネコ姉弟「にゃーこ」と「にゃっ太」が帰ってきた。「しっこ、ちっこ、ぴゅー、しゅー♪ アホ、バカ、死ね!!」。可愛いのにザンコク、下品なのに深遠、淡々としながらも超エキセントリック。1990年にデビューし、98年に31歳で死去するまでに描いた全作品を、上下巻1600ページに収めた超永久保存版。ラルク・アン・シェルのhydeをはじめ松尾スズキや中川翔子など多くのクリエイターが熱狂的に支持した、珠玉の作品群が電子書籍として甦る。
上巻では、月刊「ガロ」でのデビュー作『ねこぢるうどん』、日常を猫目で「じぃーっ」と見つめたエッセイマンガ『ぢるぢる日記』、特殊漫画家・根本敬が「俗や日常の遠い彼方に魂が飛んだ」と絶賛する『つなみ』など約800ページを収録。
(上巻の内容)
ねこぢるうどん/ぢるぢる日記/ねこぢるだんご/ねこぢるせんべい/ぢるぢるご近所日記/つなみ/半魚人/かちく/ねこちゃん/ぢるぢる恐怖体験/ぢるぢるばなし/ぢるぢる新入社員他
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商品情報
- シリーズ
- ねこぢる大全 上
- 著者
- ねこぢる
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春デジタル漫画館
- 書籍発売日
- 2008.10.30
- Reader Store発売日
- 2018.10.26
- ファイルサイズ
- 210.1MB
- ページ数
- 800ページ
※この商品はタブレットなど大きなディスプレイを備えた機器で読むことに適しています。
文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
この作品のレビュー
平均 4.5 (7件のレビュー)
-
表紙のネコの兄弟の日常?とか、
作者のエッセイ漫画とか。
面白いですがとてつもなく残酷です。
「本当は怖いグリム童話」とか目じゃないです。
読むとお腹のあたりがキリキリします。
そこがいいんだと思い…ます。続きを読む投稿日:2011.10.25
デビュー作で幕を開ける『ねこぢるうどん』から、作者ねこぢるの遺作とも言え、日常の視点を捉えた『ぢるぢる日記』、アニメ作品『ねこぢる劇場』での衝撃作、「かちく」を含む長編三篇が収録された、胃がキリキリし…始める鋭作『ねこぢるだんご』、見開き二ページに収まった大量の狂気を堪能できる『ねこぢるせんべい』、その他エッセイで構成された800ページ近いボリュームの『ねこじる大全・上巻』。
ようやく大全に手を出しました。ほとんど読んだ作品でしたが、何度読んだってその世界に戦慄し、嗜虐心がくすっと笑います。
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【ねこぢるだんごの感想】
「イカしたおっさんがあばれてるよ」
「にゃ?」
「もう10人ぐらいころしてるよ はやく はやく」
「にゃー」
ねこぢる劇場での衝撃話「かちく」が収録されている作品集。ねこぢるの作品の中でも特にクセが強く、残酷で酸鼻極まりない作品が「ねこぢるだんご」には収録されている印象を受ける。「半魚人」「かちく」はさることながら、「のらじじいの巻」「たぬきがりの巻」「けんかの巻」などの差別的でバイオレンスな作品たちが並んで配置されているので、一度に読むのには勇気がいるのかもしれない。が、他の感想にも書いた通り、ねこぢるの作品にはどこか別の温かさがあり、「ねこぢるだんご」も類に漏れない。目をそむけながらも、私達の心を掴んで離さない魅力的な作品たちに出会えた気がする。
かく言う自分はアニメ「ねこぢる劇場」で本作を知り、またその中でも特に「かちくの巻」の攻め過ぎた表現に圧倒されたのだが、漫画でも「かちく」を読んで、アニメとの内容の違いのなさに驚いた。つまりアニメは原作に準拠するどころかそのままの構成と展開で流されたということになる。改めてねこぢる漫画の凄みと評価がうかがいしれるだろう。
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【ぢるぢる日記の感想】
『ねこぢるうどん』や『ねこじるせんべい』等のバイオレンスな日常作品(?)を代表作に持つねこじる本人の体験談が絵日記形式でまとめられた本作。連載が1994年から1998年までであり、最後の日記が「1998ねん4月〇にち」となっているということは、彼女が〇殺する直前の遺作と考えることもできなくない。そのような意味で考えてみても、ねこぢるのキャリアの中で、この作品の占める位置は大きいと思う。単純にシュールで、ウエッてなるけどスカッとするし、自分たちが見落としてしまう日常と皮一枚つながった狂気をきちんと捉えた作品だから、ここまでくると感動さえしてしまう。ちまちまと登場するクスリの話や、テクノにゴアの言及なども興味深く他作との関係も見えて、ねこじるを好む者としては、読んでおいて損はないと思う逸作でした。
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【ねこぢるせんべいの感想】
「にゃははは しねしね」
「にゃー にゃー」
なんだこれ・・・と、初読は度肝を抜かれたねこぢるの漫画。まだまだ幼いにゃーことにゃっ太のあどけない瞳の前で、実に淡々と行われる差別や殺人の数々。そして実際に殺してしまう何人もの動物や人間達・・・・・・・。どこか不気味な光のない瞳が、バイオレンスな、嗜虐的な瞳であると分かった時、やはり恐ろしさが込み上げるとともに、どこか共感できるような温かさを感じる。改めて、ねこぢるの漫画の凄みに気づかされる。この漫画は、私たち人間が忌避する、それでいて密かに求めるという二極性の本性に呼びかけ、どちらも体験させてくれる稀有な作品だ。様々なものに抑圧されている人間だからこそ、このどこか動物的な、本来の生と死の感覚(今はそれが「倫理観」という言葉で監視されている)について、懐かしく、惹かれるものがあるのではないか。残酷に求める郷愁・・・たしか江戸川乱歩は、そんな評論を書いていた気がする(『残虐への郷愁』)。ねこぢるの漫画は、ある意味万人受けする漫画だと言えるだろう。それにしても、定期的に読みたくなってしまう作品だ。目をそむけながら、顔をしかめながら、そして、懐かしさに微笑みながら・・・・・・・。
「れいぞうこの巻」「あかしんごうの巻」「がっこうの巻」「ねこざる戦争①~④」「ないぞうの巻」「ガソリンの巻」「スーパーの巻」などは、私たちが直視しない本来の倫理観をいやでもかと見せつけてきたり、懐かしさをかんじる『ズレ』を的確に表現してくれている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続きを読む投稿日:2022.01.14
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