【感想】職業としての政治 職業としての学問

マックス・ウェーバー, 中山 元 / 日経BP
(12件のレビュー)

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ブクログレビュー

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  • mamo

    mamo

    「職業としての政治」は、30年以上前に読んだことがあって、強い印象をもった。

    なんとなく中山元さんの訳で、初めて読む「職業としての学問」とともに、読んでみた。

    「職業としての政治」については、驚いたことに、読んでいて覚えているところがほとんどなかった。わたしが覚えていたのは、政治という職業と倫理性の関係についての議論だけで、それは結論部分でようやく出てくる話し。

    結論を覚えているならいいかというと、当然、そういうわけではない。

    ここで、議論されているのは、政治というものもつ本質的なパワーというか暴力の問題(これがもちろん倫理の話につながるのだが)、そして歴史的、地理的な政治の形態、そのなかにおける官僚制の役割などがほとんどの分量をしめている。

    そうした議論を踏まえて、結論部に到達するわけで、なかなかに面白かったな。

    とは、いいつつ、やはり最も印象的なのは、最後のほうの部分。

    最初に読んだあとに、歴史を勉強して、第一次世界大戦におけるドイツの状態、ロシア革命、1918年のドイツ革命、スパルタクス団蜂起の流れを理解したうえで、このまさにスパルタクス団蜂起の直後になされたこの講演を読むと、その緊迫度、そしてウェーバーの視点の冷静さ、見通しの正しさがひしひしと伝わってくる。

    ウェーバー、恐るべし。

    「職業としての学問」も同時期になされた講演。職業は大きく違うのだけど、ウェーバーの主張の骨格は似ている。

    もっとも、「学問」のほうは、「政治」ほどの緊迫感はなく、晩年の大学者の述懐のような、当時の学問へのやや批判的な眼差しなどが印象的であった。
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    投稿日:2022.12.04

  • ヒヨコ大之助

    ヒヨコ大之助

    第一次世界大戦が終わった時期の、マックスウェーバーの講演を収録した作品。

    当時の状況をわかっていなかったので、理解するのが難しかった。

    期間を置いて再読したい。

    職業としての政治について
    →政治家の累計や各国の特徴や歴史を丁寧に説明。
     政治家には、信条だけではなく、自分が行ったことに対する責任を感じながら成熟すべき。

    職業としての学問
    →学者は価値判断と事実判断を区別し、事実判断に基づき語ることが大事であり、それによりがくせいの考え方が育っていく。
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    投稿日:2020.06.25

  • すいびょう

    すいびょう

    「政治」とは、複数の国家ないしは集団の中で、権力の配分を求めて争われる営みである
    「国家」とは、正当な暴力の行使を独占することを要求し、それに成功している唯一の共同体。

    国家が存続するには、人々が権威に服従することと、支配するための物質的な財(行政スタッフ、行政手段)が必要

    支配の3類型
    伝統的な支配→支配の正当性の根拠が、過去の慣習
    合法的な支配→理性的に定められた規則
    カリスマ的な支配→天賦の資質
    革命の時代にはカリスマ的な支配が必要

    職業としての政治家の誕生(カリスマ的ではなく、君主に奉仕する形の政治家)→臨時的、副業的な政治家の誕生
    政治のために生きる政治家→自分の理想のために生活を捧げている者(本職の政治家)
    政治によって生きる政治家→政治的な活動から手を離せる政治家(臨時的・副業的政治家)

    政治家の五類型
    1.聖職者
    2.人文主義的教養者(君主の顧問)
    3.宮廷貴族
    4.ジェントリー(報酬を受け取らずに政治に従事した政治家)
    5.大学で教育を受けた政治家

    5番目のみは、語られた言葉や書き記された言葉を手段として、政治本来の活動を営む人々→本職としての政治家。現代的政治家。民衆政治家(デマゴーグ)。しかし、財政的な基盤がないため、様々な問題が生じる

    ①国民投票の産物なので、政党に縛られ、人気取り政策に走る(最たるものがナチス)
    ②人的スタッフ、報酬が必要

    ポピュリストは、権力獲得のため、扇動的になり、国民を誤った方向に導く可能性がある。また、自分の理念を裏切っても、スタッフに報酬を与えねばならない→国民を滅亡に導くことも

    ※※そのため、職業的な政治家は、情念ではなく、みずからの政治家としての仕事に対する倫理的姿勢を備えねばならない
    「情熱」「責任感」「判断力」が必要

    ×「心情倫理」→自分の信条の正しさを信じてやまず、自分の信じる理念に従って行動すること
    〇「責任倫理」→理念をかたりながらも、その理念に基づいた行動の結果に責任をとること

    ──────────────────────
    学者にも同様のことが言える
    (財の不安定さなど)
    自分の専門の分野で仕事をすることしか真理に到達できないという「信念」が必要だ。しかし、その信念に燃えながらも、自制と責任、客観的な醒めた目が必要である。
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    投稿日:2020.05.25

  • miura1202

    miura1202

    「池上彰の経済教室」での池上彰氏おすすめの一冊。政治家としての心持ちのありようや、学問を学ぶ上でいろいろと関係する事柄を記した不朽の名作です。再読の価値あり。

    投稿日:2015.02.28

  • yurameke

    yurameke

    すごいよくてびっくり。
    昔読みあさっていた、「欧米(特に欧)の昔の偉人が書いた、哲学感も含めた、人生への指南書」の一派といえると思う。
    max weberとやらが好きになった。
    なんどでも読み返したい本。
    買うか?自炊するか?考え中。
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    投稿日:2014.12.10

  • naotokondoarchi

    naotokondoarchi

    プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神が面白かったので読んでみました。

    マックス・ウェーバーの2つの講演を基にした「政治」と「学問」に関する論考。

    「職業としての政治」より、「国家」とは正当な物理的な「暴力」の行使を独占することを要求し、それに成功している唯一の共同体と定義。いきなりインパクトがある。

    支配と政治家の類型が歴史的に語られ、心情倫理と責任倫理という概念の対比に行き着く。100年近く前の講演であるが普遍性がある。読み継がれる理由が分かる気がする。
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    投稿日:2013.02.03

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