【感想】予測できた危機をなぜ防げなかったのか?―組織・リーダーが克服すべき3つの障壁

マックス・H・ベイザーマン, マイケル・D・ワトキンズ, 奥村哲史 / 東洋経済新報社
(5件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
1
3
1
0
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • yasutomo-h

    yasutomo-h

    エンロン事件や9.11など、アメリカの事例を取り上げながら、目の前にある危機に対応できない組織や人の分析を行っている。
    事例が近年のものでありケースとして役立つほか、ゲーム理論や組織論、心理学など非常に多面的な見地から分析されている点が興味深い。続きを読む

    投稿日:2012.07.02

  • dorahey

    dorahey

    10時間程度?で読了。

    発生しうることが予測できる事象に対して、防げずにより大きな損害・損失を被ってしまうということを、9.11やエンロン事件、漁業での乱獲といった事例を基に記述。
    危機の起こる要因を3つに分類し、将来を予測し、危機を免れるための方法を、3つに分けて解説されている。

    予兆があったにも関わらず危機を招いてしまう主な要因として、認知要因、組織的要因、政治的要因などが挙げられ、具体的には楽観的思想、リーダー独自の誤った判断、短期的利益の追求、体制の腐敗による情報欠如、といった事象が挙げられる。

    そして、問題を「認識」し、対処方法の「優先順位」をつけ、資源を「動員」することで、予測できる危機の予防ができると本書で結論づけられる。

    複数の事例に対して非常に綿密な検証の元に書かれており、単なる学術的な話ではなく、組織のリーダーから現場担当まで、幅広く使えるツールかと考える。

    個人的には、ツールの具体的な使用方法までは記述がなく、参考文献頼りになっているように見受けられるため、体系的に考えるために、参考文献へも手を伸ばしていきたい。
    続きを読む

    投稿日:2012.04.15

  • whitesheep11

    whitesheep11

    このレビューはネタバレを含みます

     予想してもいない出来事が起こるとよく「想定外」、「サプライズ」という言葉が踊る。しかしよく検証すると、予想外の出来事ではなく未然に防ぐことが加納ではなかったのはないかと言うことを明らかにしているのが今回の本。

     危機を防ぐ障壁のひとつの要因のひとつには「利権に群がるシロアリ」の存在が挙げられる。去年の福島原発で図らずも浮き彫りになった「原子力ムラ」。アメリカの大統領選挙を見ているとさまざまな団体が見返りを求めて献金をしている。「シロアリ」が群がっているワシントンDCか国連本部のあるニューヨークで「世界シロアリ会議」を開催したら、世界中からいろいろな団体の甘い汁を吸っているシロアリ様の御一行がやってくるのだろうとふと思った。

     情報が多すぎて情報を仕分けて必要な情報を選ぶことが重要なのだなと思った。あのニューヨークのワールドトレードセンターを2機の飛行機で追突させた9.11で、情報をうまく活用できていれば未然に防げた可能性がある。また、あのエネルギー業界の大手エンロンが引き起こした会計操作にしても、監査役の会計法人アーサー・アンダーセンをはじめとする会計事務所が本来チェックするための存在であった。ところがコンサルティング業務が収益の柱になっているために監査役をしている会社に対して耳の痛いことを言いづらい状況になったことから、公平な会計法人のあり方に疑問符がついてもおかしくなかった。にもかかわらず、政治的な影響力でアメリカ議会で会計法人に有利になるような法案が成立した。

     目の前にあっても見えないこともあれば、あえて見えないフリをしてやり過ごすこともある。人間の心理状況をどうすれば危機対応を適切に行なうことができるのか難しいところだ。ぶれない姿勢を身につけるにはどうすればよいのかと思う今日この頃だ。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2012.03.31

  • kytzk

    kytzk

    ジョン・F・ケネディーは、勇気とは「権力に対して真実を述べる意思である」といったとか。第9章に記述あり。

    投稿日:2012.03.20

  • Masa

    Masa

    ■危機予測
    A.予見可能な危機には、明確な特徴がある。それは次の6つである。Ⅰ.指導者が問題の存在を知っていること、そしてその問題は自己解決しない。Ⅱ.組織メンバーが気づく時には、もう危機が鼻の先にきている。Ⅲ.問題に対処するとコストが発生するのだが、その恩恵が現れるのはずっと後になる。Ⅳ.予見可能な危機に取り組むには、しかるべきコストがかかる。Ⅴ.我々には現状維持をしようという自然性向があるため、予見可能な危機にそなえようとしない。Ⅵ.雄弁な少数派の存在。現状から恩恵を受けている特殊利益団体が、改革を阻止しようと必死になる。

    B.人はある出来事を後から振り返るとき、現実が示すよりはるかに予見可能だったと考えがちになる。後知恵効果。

    C.われわれには「楽観幻想」が備わり、問題が存在しない、あってもアクションをとるほどひどくないという判断を導く傾向がある。

    D.与えられた問題の解決策を探しているとき、ひとはまず、自分の利益に基づいて特定の成果に対する自分の好みを決める。それから、何が公正かに影響する属性の重要性をあらかじめ変更し、その公正さを基準にして、自分の好みを正当化する。

    E.実際の災害の鮮明さがないと、われわれの指導者たちは行動をとろうとしない。
    続きを読む

    投稿日:2012.01.12

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。