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三宅香帆 / 集英社新書 (40件のレビュー)
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総合評価:
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ginevra-potter
話題になっているので、手に取ってみました。 読む前は、なぜ読めなくなるのかについて精神論や脳の仕組みからの話があるものと思っていましたが、読んでみると戦後の日本の歴史の流れから人々の慣習や意識がどのよ…うに変わっていったかを追う構成になっており、意外な内容でしたが、考えたことのない視点だったのでとても興味深かったです。 自分が生きていない時代のことは、へー!と新しく知ることばかり。 歴史で習っていることは、一部の動きや流れで、それに振り回されたのか大衆が動かしたのか、一般庶民についてはそこにフォーカスして動きを知ろうとしないと掴めないものなのかなと思いました。 自分が生きている間の話は、単語での説明は考えたことはなかったですが、肌感覚でなんとなく感じていたことが言語化されていました。 全編を通して、本への愛情を感じるものでしたが、本を読みながらちょっと嫌な予感がしていたのですが、あとがきを読んで確信と変わりました。 自分は、本の感想をこうして記録することは好きですがSNSで語り合うことは苦手で、それをしている人たちの界隈すら苦手です。 本が記号的になっている感じがしたり、人間関係は複雑なのでおべっか感想とか賛賞とかあったら嫌だなと思っています。本、作品そのものに真摯に向かうものだけではない、そのほかのことを気にしたり慮ったり、言いたいことが言えないことになるのは嫌だなと。 でも、この本の中でちょこちょこ触れられていましたが、本の文化が栄えるのであれば手段を選んでいる場合ではないし、いろんな形で盛り上がれば良いと思うので、わざわざ絡みにいって否定したりはしません。 半身の話は、理想ではありますが実現に至るまでの現実的な著者の考えや意見(どこから取り組みを始めるか、農産業は、医療従事者は、など?)が足りていない点に、少し頼りなさを感じ本の失速を感じました。 ただ現状のホワイトカラーの人の会議まみれの無駄な時間の働きは嫌だなと思うので、変えたらどうかという意見が出るのは良いことと思います。 この本が話題になれば、いろんな人の頭の中に著者の「半身」の考えが浸透して、そこから人それぞれ少しずつ行動や意識が変わっていったら…と社会が変わる可能性もあるのではと期待ができる気がして、本のロマンだなと。 本と大衆の動き、当たり前ですが相関関係があるんだな〜と。 文庫化を待たず単行本が発売されたタイミングとか流行っているタイミングで手に取ることがその本をより理解できる(本の内容だけでなく、なぜその本がこのタイミングで出版されたのか)と思っていましたが、今まで以上に、芥川賞・直木賞の受賞作はリアルタイムで享受した方が良いのかもと思わされました。旬のうちに。 働いていると本が読めなくなる理由に、スマホの悪影響があるのではないかと、気になるのでその視点の可能性もほのめかしてもらえたらより面白くなった気がします、個人的に。 脳の興味の奪い合いでスマホ一強の時代というか…脳の仕組みからもどういうものなのか知りたいです。 本だけでなく、LINEなど返事はしていないのにSNSは更新したり読めたりできることについても、似たようなことが言えるのかなぁ。。続きを読む
投稿日:2024.05.07
ray
このレビューはネタバレを含みます
結論:資本主義と新自由主義に魂を売るな! SNSで話題で、自分自身課題感があったので読んでみた。 スマホばかり見てしまうあなたに、という帯とは裏腹に日本の読書史と労働史に対する考察で、前々からなんとなく感じていたことやモヤモヤしていたこと(ex.ビジネス書や自己啓発本を読むのは読書というのか?現代人は職業人としての自分を内面化しすぎでは?など)の点と点が繋がった。 私自身キャリアチェンジをするというときで時には勉強や仕事に全振りしなければいけないかもしれないけど、それに自覚的になること、仕事だけが自分の全てではないこと、日単位じゃなくてもいいから月・年単位では家事や趣味や余暇や「無駄な時間」含めていろいろな活動をして自分の中で良いバランスを探っていくことを大事にしたい。 最終章でバーンアウトについて触れていたが、私は頑張りすぎる方ではなくどちらかというと最後まで頑張れなくて詰めが甘く、まさにバーンアウトできるぐらい頑張れる人に憧れやコンプレックスを抱いていたり、ショート動画ばかり見て「時間を有意義に過ごせていない」ことに劣等感を感じていた。 (もちろんショート動画よりは読書に時間を使いたいが) そういった自分を少し肯定できたのと同時に、あらゆる呪いから自由になり、自分にとっての豊かな時間、豊かなあり方を模索できたら良いと思う。 ーー ★時間とお金のムダ ★★普通〜微妙 ★★★よかった ★★★★心が動いた(感動した、意表をつかれた、ショックだった) ★★★★★人生の本棚に入れたい
かきたろう
時代ごとに売れた本の歴史を紐解くことで、そのときどきの仕事に対する価値観がわかりました。本が読めなくなった理由=その他の娯楽増加 という考えではなく、その娯楽や売れてる本から現代人は何を求めているかと…いう点は、ハッと気付かされるものがありました。続きを読む
投稿日:2024.05.06
Puok
#なぜ働いていると本が読めなくなるのか #三宅香帆 さん たった今、#読了 この本を読む人は本を読む人、本が好きな人かも
すな
日本人の読書の歴史について多く書かれていて、興味深かった。円本の辺りの流れが面白い。 労働者たちが階級を上げるために「成功」などの雑誌を読むのをエリートたちは冷ややかに見ている、という図は今でもあるよ…なぁと。 後半の読書はノイズであるというテーマも興味深かった。働くことにおいて雑多な知識が入ってくる読書はノイズであると。欲しい情報だけをすぐに得られるスマホの方がやっぱり楽だよねと。読書はできなくても自己啓発本なら読めるのもよくわかる。明日使える技術とかね…。 読書と教養についても沢山書かれていた。 「教養とは、本質的には、自分から離れたところにふれることなのである。」 全身で働くことに重きを置くというスタイルをみんな辞めていこうという提案、これも良いなと思った。 知らない知識が思いがけず目の前に出てくる読書。読書にとどまらず知らないものを面白がって知っていこうと言う姿勢、これは大事にしていきたい。続きを読む
pctr
丹念にまとめられた労働と読書の歴史、現代における読書・勉強と情報・娯楽の違いの考察が興味深い。 主題の考察は疑問。歴史からわかることは、昔から階級差の中で多くの人にとっての読書は娯楽か自己啓発であり、…著者の言うノイズ除去。働くと本が読めなくなることに共感する人は元々読書をしていた人か。著者も触れる文化資本・経済資本の影響が大きいのでは。 半身で働くことが解決策ではない。 仕事が全てではないが、「仕事なんて、所詮仕事」と言うこともまた社会との接点が見えない。見えるからこその読書。 ・自己啓発、ファスト教養の今昔。今に始まったことではない。 ・社会不安が大きくなれば、宗教と社会主義の本が流行るかもしれない。 ・自己啓発書の特徴は、自己のコントローラブルな行動の変革を促すことにある。つまり他人や社会といったアンコントローラブルなものは捨て置く。 ・(片付け本の)部屋=私的空間をときめくもので「聖化」するという行為は、「聖化」を必要とするほど社会=外部が居心地の良くないもので埋め尽くされている、という感覚によって成立する。 ・インターネット的情報と自己啓発書の共通点は、読者の社会的階級を無効化し、今ここの行動に注目するところ。 ・読書ーノイズ(歴史や他作品の文脈・想定していない展開)込みの知を得る ・情報ーノイズ抜きの知を得る ・大切なのは、他者の文脈をシャットアウトしないことだ。仕事のノイズになるような知識を、あえて受け入れる(略)それこそが、私たちが働きながら本を読む一歩なのではないだろうか。 ・知は常に未知であり、私たちは「何を知りたいのか」を知らない。何を読みたいのか、私たちは分かっていない(略)だからこそ本を読むと、他者の文脈に触れることができる。自分から遠く離れた文脈に触れることーそれが読書なのである。 続きを読む
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