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阿部公彦 / 集英社新書 (2件のレビュー)
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総合評価:
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tokosan
小さい頃から「本」が好きで、兄の教科書を兄より先に読んでしまうような幼稚園児だったから、自分にとって初めての教科書で谷川俊太郎の「ことば」に出会えたのはその後の読書人生にとって幸せなことだったんだなぁ…とつくづく。料理のレシピがニコニコしていたり、「契約書」や「注意書き」の文章が厳格で面白みに欠けるのはなぜなのか、など「文章の「形」に注目することで見えてくるもの」がなるほど!の連続でおもしろい。それにしても学習指導要領のわかり難さが憎い!続きを読む
投稿日:2024.04.26
agjmd
とても好き。あらゆる人に読んでほしい。 『文章は「形」から読む』というタイトルであるが、ここで言う「形」というのは、「文体」と言った方がしっくりくる人もいるかもしれない。 基本的に、文章というのは、…伝えたい「内容」と、その「内容」を伝えるためにどのように表現するのかという「書き方」でできている。雑な例だが、同じ「内容」を伝えていても、「すこし前に詰めていただけませんか」「すこし前に詰めろ」では、印象がちがう。 語尾や情報量、言葉の選び方で、偉そうに見えたり、なんとなくニコニコして感じられたり、丁寧な印象をうけたり。この本では、文章の持つ「内容」ではなく、この「書き方」の特徴に徹底的にこだわって、文章を読む。 本の中で取り上げれあげられる文章例は、「学習指導要領」「料理本」「広告」「断片(見出し、応援やかけ声、メモ・注釈など)」「注意書き」「挨拶」「契約書」、そして「小説」「詩」など多岐にわたる。ただ、一貫しているのは、一見して「客観的」で「論理的」に「内容」を伝達しているように見える文章にも、実は、「書き方」によって、いろいろな印象を生み出しているという考え方だ。 このことを理解するために、本のなかでときどき出てくる活動が面白かった。「学習指導要領」の文章を「料理本」っぽく書くとどんな文章になるか? カフェの「注意書き」を「詩」っぽく書くとどうなるのか? 伝えている「内容」をなるべく変えることなく、別の「書き方」で書いてみる。 そうすると、厳しい公的文書も私を主語にして体言止めにすると「料理本」っぽく見えたり、ただの「注意書き」も改行と繰り返しをするだけで「詩」っぽく見えたりすることが分かる。「書き方」が生み出す印象は、とてつもなく大きい。 文章の最も素朴な見方は、何かを伝えるために書かれるという考え方だと思う。そのため、何を伝えたいのかには目に行きやすいが、それがどう書かれているのかを意識することは難しい。自分が文章を書くときにも、一つのことを伝えるのに、どれだけのバリエーションで文章を書くことができるだろうか、と考えると心許ない。 こういった「文体」に関する意識は、文章を読みなれた人たち、自分の表現を模索している人たちにとっては、感覚的に持っているものだったと思う。それが、とても分かりやすく、まとまっていて、少し感動さえした。 言葉に対するアンテナをより高くしたい人におすすめしたい。続きを読む
投稿日:2024.04.01
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