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山崎雅弘 / 祥伝社新書 (1件のレビュー)
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テクノグリーン
山崎雅弘著『詭弁社会 日本を蝕む"怪物"の正体(祥伝社新書;696)』(祥伝社) 2024.3発行 2024.3.10読了 「多分そうだろうな」という予感はあったものの、やはり政権批判・メディア批…判中心の内容だった。 確かにいくつかの実例を取り上げて、そこに潜んでいる詭弁を論理的に読み解こうとしているのだが、著者自身が述べているように、それは学問的に分析して解説しているものではない。私としては、香西秀信氏のようなものを期待していたので、残念だった。 居丈高に政権やメディアを批判するだけの〈政治的な〉書になっており、読んでいて痛快どころかゲンナリしてしまった。 記者会見などで政治家が口にする言葉遣いには、私自身怒りを覚えることがあるし、一般論として著者の主張は正しいと思うが、だからこそ、かえって警戒心を強くしてしまった。 著者は、政治家やメディアの発言を詭弁だと言って批判しているが、およそ詭弁を弄したことのない人間などいないだろう。著者は自戒もなく、さも自分は詭弁を弄したことはないかのような勢いで論を進めているが、むしろその点こそが私には詭弁に思えてならなかった。 著者は「権力者にはより強く誠実な発言が求められる」と言って反論するかもしれないが、私の立ち位置から見れば、著者もまた権力者である。 権力を嫌悪し批判する人間が権力を握るとどうなるかは歴史がすでに証明している。 稀代の詭弁の使い手だった毛沢東は、農民に土地を分配することで国民の支持を集め、ついに権力を掌握することに成功したが、その後、一転して分け与えた土地を農民から取り上げることで独裁政権を築きあげた。 素人でも詭弁と見抜けているうちはまだいいが、一見してもっともらしいことを主張している人物こそ、最も注意すべき詭弁家ではないだろうか。 ところで、自分も過去に詭弁を弄したことがあるのに、一方的に権力者の詭弁を批判していたのだとしたら、本書に書かれている内容は簡単に説得力を失ってしまうだろう。 筆者の主張がどれだけ正しくても、それを主張する行為そのものの正当性が失われてしまうからだ(歩きタバコをしている人に歩きタバコを注意されても誰も相手にしないだろう)。 本書の中に詭弁は含まれていないのだろうか。例えば、73頁の旅客機の例は譬えとして適切だろうか。極端に誇張された譬えを持ち出すことで、議論を単純化しようとしていないだろうか。 旅客機の例は、議論の余地など全くない明白なものだが、東京五輪は国論が分かれた議論の余地あるものではなかったのか。 そうすると、筆者は、自らの主張の正しさ、もっともらしさを読者に印象づけようとして、詭弁を弄したと言えるのではないだろうか。それとも誤謬だと言って反論するのだろうか。続きを読む
投稿日:2024.03.10
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