【感想】砂の女(新潮文庫)

安部公房 / 新潮文庫
(974件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
279
329
238
31
6

ブクログレビュー

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  • pctr

    pctr

    不条理で悲惨に感じる生活が、やがて慣れていき、本質的に変わらない何かを指摘しはじめるときの恐ろしさ。

    投稿日:2024.04.28

  • とある読書家かえるちゃん

    とある読書家かえるちゃん

    「納得がいかなかったんだ、まあいずれ、人生なんて納得ずくでいくものじゃないだろうが、しかし、あの生活や、この生活があって、向うの方が、ちょっぴりましに見えたりする、このまま暮らしていって、それで何うなるんだと思うのが、一番たまらないんだな、どの生活だろうと、そんなこと、分りっこないに決まってるんだけどね、まあ、すこしでも、気をまぎらせてくれるものの多い方が、なんとなく、いいような気がしてしまうんだ」続きを読む

    投稿日:2024.04.26

  • K.A.Z1001

    K.A.Z1001

    推理小説を読んでいるように先が気になってすぐに読んでしまい、それなりに引き込まれた。
    この本に出てくる女は、砂の環境でしか生きられない昆虫を生き移しているように感じ、男もまたそのようになっていく、人間が環境に適応し、初めは逃げたかったもの、次第にその環境の中の生活の中に生きがいを見出して生活してしまうんだというのを感じた。
    また冒頭の、罰がなければ逃るたのしみもない、という冒頭の言葉のように、逃げることに対して罰だと感じなくなり、逃げ出すこと以外のものに優先的な関心を見出してから、逃げることもやめてしまう。その言葉の通りのことを表していると解釈する。
    それは、部落の人間の生活に対する男の生活の明確な違いがありつつも、自分が逃げ出して戻った生活に何があるのだろうか、そこに違いはあるのかというところも問われていると感じる。

    何を伝えたい小説かはわからないが、人が置かれた環境の中で色々な解釈をしながらその環境に適応していく姿を見る、それを昆虫になぞらえている、一種の生物にすぎないもののように感じさせられた。
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    投稿日:2024.04.08

  • ハナモト

    ハナモト

    このレビューはネタバレを含みます

    のめり込む、読み終わる頃に私の手元は砂に覆われてた。“砂”が題となってはいるが別の地に置き換えても構わない、“慣れてしまえばいい”その土地に身を準ずる事が恐怖の根源なのだ。希望はいつまで経っても慣れない地には居座らない、飛翔をする、一度居座ってしまえば残るのは後悔と裏側に潜む安堵である。”孤独とは幻を求めて満たされない乾きである“この言葉が作品の大きなテーマには違いない。(現実世界の我々の様だ)
    卓越した文力で非現実的ものをリアリズムに著した、安部氏に最大の尊敬を送りたい。脱帽

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.04.06

  • ワンオアエイト

    ワンオアエイト

    男の立場で読むことで
    男の心境に沿って物語が進んでいく
    読後は改めて女の立場で
    読み進めてみたいとも思った。

    不自由だったはずの幼少期を
    振り返ってみると
    自由であったと感じる。
    大人になった今は
    自由では無いのか?自由とは何か?
    そんな事を思いながら読んでいた。

    孤独とは、
    幻を求めて満たされない、
    渇きのことなのである。
     
    このフレーズが一番心に残った。

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    投稿日:2024.04.03

  • 古畑ぬん三郎

    古畑ぬん三郎

    『砂の女』が発表されたのは1962年、キューバ危機の年だ。もはや歴史にマッピングされる時代である。なのにこの小説は、文学作品特有のカビ臭さがない。むしろ新鮮なくらいである。
    安部公房は日本で最初にワープロを使って執筆した作家と言われる。理知的な文章は、小説家というよりも実験家のようである。実際、彼は東大の医学部出身で、数学は得意中の得意だったという。
    大空に羽ばたく自由もあれば、巣穴に籠る自由もある。それがこの小説のテーマだと、昔読んだインタビューに書いてあった記憶がある。あれほど戻りたいと願った日常が、結局は砂掻きのように単調な反復でしかないという皮肉。家と職場の往復から必死に逃れてたどり着いた先が、スマホゲームのデイリーミッションという現代人の実像。『砂の女』の主人公はわれわれ自身なのかもしれない。
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    投稿日:2024.03.29

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