【感想】源氏物語 宇治の結び 下

紫式部, 荻原規子 / 理論社
(5件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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ブクログレビュー

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  • sana

    sana

    荻原規子の現代語訳、後編。
    薫の大将と匂宮の二人の青年の恋愛の成り行きを中心に構成したもの。

    当代の人気を集める二人ですが、光源氏ほどの人物ではないと最初にバッサリ書かれていたのが、紫式部の光源氏至上主義?に思えて何だか楽しい。
    こう断言されると人物が小さいようにも思えてしまうけど。

    女性は、宇治に住んで育った姉妹の大君、中君と、田舎から上京した異母妹の浮舟。
    ややっこしい経緯を大分忘れていたので、なるほど、こういうことだったのねと思うわかりやすさはありました。
    浮舟は見た目は異母姉二人に似ていて、田舎育ちの割には教養もある。
    でも若いし世間知らずだし、いきなりこんな状況に放り込まれて、混乱するのも無理ないですね。

    紫式部自身、後には出家したらしいし、書いている頃にはかなり厭世的になっていたのでは、とも思われ、自らのキャラ光源氏を悼む気持ちもあったのかも。
    それと‥
    男ってこんなもの、魅力的だからってね、まったく!と世の女性に知らしめようとしていたのかもしれない?
    滅多にないような関係を描きつつも、所々に教訓めいたものは垣間見えるので。

    恋愛心理を延々と掘り下げるというのは、この時代にあっては進んでいるというか、薫の君は19世紀に書かれた小説の憂愁の貴公子というタイプにも見えます。
    現代でもそういう小説はありえますよね。
    イライラするけど、つい読んじゃうみたいな(笑)

    誠実だけど優柔不断だった薫も、経験を積んで少し変わっていく。
    それぞれの性格、こうなった必然性がきっちり描き分けられていて、それがまた光源氏の一生と響き合いもする。
    そのあたりが凄いと思いましたよ。
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    投稿日:2018.01.10

  • sitibu

    sitibu

    浮舟は強い。

    あさきゆめみしでは、断然薫くんのほうがいいのになんで匂宮に心を奪われるのかと思っていましたが…。
    薫くんの愛情表現のなさには…確かに匂宮のストレートさがすごく嬉しいと思うんだろうなぁ。

    でもまともに考えれば薫くんの愛情深さはピカいちだろうし、末長く愛してくれそうではあるという…この…揺れる感じがよくわかりました。
    そして、そのわずらわしさも。
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    投稿日:2017.12.03

  • さつき

    さつき

    根本的な考え方が違っているのだから仕方が無いとはいえ、とにかく全員、女々しい。ナヨナヨ、ジメジメしてる。
    なぜそんなにもウジウジとしているのかと、読み進めるのがしんどくなる。
    まあ、そういう社会であり、そういう世界だということなんだけど。
    良くも悪くも、これぞ湿度が高い日本文化なのだなあ。

    あとがきの著者による解説が良かった。
    どうしてこんなに読むのがしんどかったのかが理解できた。

    源氏物語としては、とても読みやすい。まず手始めとしては、おすすめ。
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    投稿日:2017.09.23

  • tiara

    tiara

    宇治十帖、実はちゃんと読んだの初めてかも…かも。
    正直、源氏の君も頭の中将もどっちもどっちやなぁと思ってるのですが、こっちを読んでも薫も匂宮もどっちもどっちやなぁと。
    あえて選ぶなら、夕霧だな。うん。夕霧&雲居の雁がいちばん好ましいカップルだ。
    女性なら、朧月夜だな。物語的には葵の上が好きなんだけど。

    で、宇治十帖。
    んーまぁ現代の良識で読んでも意味ないしそういう話ではないけど、もうまどろっこしいわ!ってなりますな。
    はっきりしないくせにプライドの高い薫と、結局自分のことしか考えてないナルシスト匂宮。
    人の噂より自分で確かめろ、世間の評判や周囲の目を気にし過ぎ、ってもだもだ具合にあーってなるけど、全てにおいて婉曲に間接的に情緒を重んじる文化ってことなんだよね。

    でも、心の機微だけを捉えると現代にもそのまま通ずるとは思うの。
    男女のことなんて1000年前からそうは変わらないのですな。
    結局宇治の女性3人はみんな薄幸な印象ですが。
    来世は愛のある結婚をしていてほしいものです。
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    投稿日:2017.08.19

  • jube

    jube

    薫と匂の宮の浮舟騒動で、浮舟が身投げ。命は助かるものの、薫も匂の宮も拒否する。光源氏の物語のほうは様々なドラマが目白押しでめまぐるしい華々しいが、比べて宇治は登場人物も少なく内面掘り下げ型で物語は進む。光源氏のポジティブ部分とネガティブ部分を匂の宮と薫で分裂して生まれさせたようなキャラ設定。薫の異常な他人の目を気にする部分は不義の子である秘密を持つことや幼児期に母親に見捨てられている(出家)ことが起因するともいえるが、それにしても人(貴族)の目を気にしすぎ。さらに匂の宮は好色なところを殊更に特化しすぎでどちらもキャラ設定がデフォルメされすぎていて、分かりやすい構図でソープ(メロドラマ)、ただ現代でいうところの純文学となると宇治のほうが評価されそうではある。ともかく、そんな宇治の薫のキャラが全面に押し出される場面がピックアップされていて、うまくまとめられている。続きを読む

    投稿日:2017.06.19

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