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小池 真理子 / 朝日文庫 (9件のレビュー)
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からあげ
作者に憑依したような、全くもって作者の気持ちを完全に理解できたわけではないけど、頭の中で鮮明に情景が映し出されるようだった。 文章の構成が面白く一気に読み終えてしまったので、次はもっとじっくり読んでみ…たい。続きを読む
投稿日:2024.05.20
metamorphose21
このレビューはネタバレを含みます
しみじみとした、静謐で、しみ透るような深い喪失の哀切を感じた。それぞれのエッセイのおわりが、二人が長く過ごしてきた、森の動物や自然の描写でしめくくられているのも、印象に残った。
Lucy
作家の藤田宜永が亡くなり、長く連れ添った小池真理子の手記のようなエッセイ。 文章自体は残された家族の悲しみに溢れた内容なんだけど、お二人の静かな暮らしが伝わるような、やはり美しい文章でした。 確かに小池真理子には、都会の喧騒ではなく自然あふれる森が似合う。その森の中で、藤田氏の思い出に包まれながらまた美しい小説を書いて欲しい。
投稿日:2024.04.26
rieko
長年連れ添った伴侶を亡くした小池真理子さんの喪失の日々を綴ったエッセイ。全50話、1話3ページほどの短いもの。軽井沢での静かな日々、夫婦喧嘩や2人で笑い合ったこと、自身の幼い頃の思い出、様々なことが書…かれているが、それは全て失った寂しさにつながっていく。 時間は癒してくれないし、誰かと昔のように笑うフリはできても、昔と同じように笑うことはできない。 日常のどこを切り取っても、思い出と寂しさが詰まっている。 美しい文章で、時に豊かな自然の風景を描きながら、言葉にしない寂しさが切々と伝わってくる。 自分もいつかこんな思いをするのか、またはさせるのか。 まだ経験したことのない寂しさが怖くもあり、そんな夫婦でいられた夫妻を素晴らしいと思う。続きを読む
投稿日:2024.04.19
basil
このエッセイは、作家同士の夫婦である小池真理子さんが、夫である藤田宜永氏の亡くなった後に綴った、50回にわたる朝日新聞の連載を一冊にしたものである。 「37年前に出会い、恋に落ち、互いに小説家になる…事を夢見て、共に暮らし始めた」 という、前書きから始まる。 そして、「それにしても、さびしい。ただ、ただ、さびしくて、言葉が見つからない。」…… 途中から、この本は、夜寝る前に読む事にした。 なぜなら日の光の明るい所ではなく、静けさの中でこそ伝わって来るものがあるように思えたから。 いっぱい話したい事があり、けんかする程話し合う。 面白い事が有ると、相手に報告したいと思う。 ふたりで過ごした時間が充実していて、苦しい事も楽しい事も数えきれず。 その「かたわれ」のいなくなった穴を埋めるものはない。 軽井沢の大自然の中で、ずっとふたりで暮らしてきて、残された 「かたわれ」は今、やっぱりさびしいのだろう。 それにしても、小池真理子さんの文章は、とにかく美しくて、上手いな!続きを読む
投稿日:2024.04.12
J.T.Hammer
分類としての括りはエッセイになるが、最愛の男を失った女の偽らざる心情が率直に綴られた本書は、謂わば私日記のようであり、品格漂う文章から溢れ出す著者の痛切な嘆きには胸を打たれる 小池真理子が作中で描く…男たちの思考や言動にとてもリアリティを感じるのは、日々の生活における夫・藤田宜永との様々な遣り取りが少なからず反映されていたからなのではないかと思うところが多い。饒舌だった藤田とはよく議論を交わし、しばしば喧嘩もしたと、この本のなかに記されているが、そうした経験値の積み重ねにより彼女が男の本質的な部分を理解していったと考えれば、藤田の存在が作家・小池真理子の成長に大きく寄与したと言えるだろうし、逆にまた藤田宜永にとっての小池の存在も同様であっただろう 読了後、本文中で触れられていたふたりのインタビュー動画を観た。文壇デビューや文学賞の受賞など、図らずも小池のキャリアを追うことになった藤田がその話に応える姿は非常に印象深く、そんな彼が妻よりも早く天国へと召される部分に人生の皮肉を感じたりもした いずれにせよ、小池真理子が深い哀しみを糧に作家として更なる高みへと歩を進めたのは間違いなく、いち愛読者の立場で彼女がこれから生み出す小説に期待しているし、恐らく藤田宜永も草葉の陰でそれを待ち望んでいるのではなかろうか続きを読む
投稿日:2024.03.23
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