【感想】ミノタウロス現象

潮谷験 / 角川書店単行本
(11件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • masahiro884

    masahiro884

    半人半獣で牛頭の怪物が世界中に突如出現。しかし怪物は案外弱く、人類の脅威にはならなかったwそこから幕を開けるミステリー。怪物出現の謎を追う話ではあるのだが、小さな田舎町の市長が市議会の与野党と対立したり共同戦線を張ったりというやけに辛気臭い設定が面白い。怪物と遭遇して生き残った人が大人気YouTuberになって視聴者を扇動するという描写もめちゃくちゃ現実にあり得そうw続きを読む

    投稿日:2024.04.13

  • ある

    ある

    警官が怪物系ユーチューバーに転身する世界。市長は右手に刺叉とベースで戦闘態勢。牛頭怪物を駆除したはずが,中身は議員。市長は容疑者に。迷宮は怪物を閉込める場所でなく,発生装置なのが斬新で面白い。

    投稿日:2024.04.11

  • あんこ

    あんこ

    楽しかった。ちょうどこんな小説が読みたい気分だった。
    田舎のとある場所に同時に2体現れたミノタウロスのうち、1体は着ぐるみを着た市議会議員。
    怪物と一緒に駆除された彼はどうしてそんなことになってしまったのかというミステリー。
    地方政治が絡み、陰謀論や都市伝説の要素も出てきて、事態はやがて世界規模に。
    市長が弾くベースが武器になるのかと思ったら違った。
    テンポよくゲームのような面白さだった。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.10

  • YAJ

    YAJ

    このレビューはネタバレを含みます

     世界各国で牛頭人身の怪物が出現。牛頭人身、つまり、いわゆるミノタウロスだ。
     その登場の謎と、殺人事件、SF X ミステリーとでも言おうか。その怪現象と現代社会と地方政治の現場を絡めた、ちょっと面白い建付けで始まるストーリー。

     対峙するのが、日本の京都府、その南方にあるという眉原市の若き女性市長の利根川翼。こうした、怪物の登場に、行政がいかに対応するかを描くのは、『シン・ゴジラ』でもお馴染みだが、怪物が身の丈3メートルと、ちょっとお手軽なところが、逆に現実味ある(のか?)。
     これを、謎の怪物と捉えてもよし、自然災害のひとつと考えるもよし。山の食料不足と暖冬傾向で、昨冬は全国でクマ出没の被害が相次いだことも思い出される。

     神話や伝説において「牛」の存在は、洋の東西を問わず描かれてきた。
    「日本では牛頭天王がスサノオノミコトと同一視され、祇園信仰の祭神として畏怖されている。ギリシャ神話には、牡牛に姿を変えたゼウスにさらわれた美女エウロパが、広大な大地に流れ着き、その地、ヨーロッパの祖になったという神話が残されている。」
     牛を神聖な存在として崇め奉る宗教もある。そして、本作では、あの有名なクノッソス宮殿のミノタウロスを、現世に登場させ、この脅威に現代人が、いかに対応するかを描く。

     元バンドマン、ベースをかき鳴らしていたロックな利根川翼は、まだ20代。就任2年目の若さだ。議会でベテラン議員が怪しげな提案、市政を操ろうと跋扈する。その翼を支えるのは、元有力議員の秘書だったが、翼に希望を見出し、市政に打って出るところからサポートする切れ者の私設秘書の羊川葉月。
     世界中でミノタウロスが発生しているのに、なぜ京都が舞台か? 怪しげな郷土歴史家の永倉秀華博士が絡み、ギリシャの宮殿に潜む「迷宮」の謎から、ミノタウロス存在の理由を解き明かしていく。

     怪物と現代地方都市の行政対応を絡めた設定や、ギリシャ神話をベースにした奇想天外さ、登場人物のキャラ立ちなど、そこそこ飽きのこない設えで、楽しく読めたが、ちょっと、途中から物語の勢いが落ちてくる。
     それは、このミノタウロスが、そんなに強くないことが分かってくるから。いや、もとより、アメリカの警官が拳銃で退治できたりと、それほど強くはないのだが、永倉博士によって種明かしされる、とある条件を備えた人間の言うことを聞いてしまうという、なんとも締まりのないオチ。うーん・・・。

     何故そんな謎の生物が、この地球に存在するのか。宇宙人説など、遠い銀河から、我らがホモ・サピエンスの進化と成長を見守る存在がいるのかもしれないという可能性は示唆されるが、そこは明らかにされない。う~ん、それも、ちょっと尻切れトンボ・・・。

     でも、若き市長のキャラと、「シン・ゴジラ」的な味付けで、最後までサクサクと読めました。
     これは、誰かが映像化の権利を買い取って、さらに構想を膨らませて、まったく別のオチのお話にしても面白そう。市議会での殺人事件の顛末で終わらせてしまうには、もったいない、ミノタウロス登場の謎だった。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.04.07

  • ひなむこ

    ひなむこ

    世界各地に人を襲う怪物が突如として現れるようになるが、その怪物は『案外弱い』ため、人類滅亡の危機とまでは至っていない、という独特な設定のお話。実際にもしそうなったら人々はどう対応するか、社会はどう変わるか、という思考実験は面白い。主人公の性格がさっぱりしていて小気味良い。続きを読む

    投稿日:2024.04.06

  • fabian

    fabian

    このレビューはネタバレを含みます

    特殊設定でもSF感強めなものは苦手なのですが、この作品は論理的にすっと入っていけるものなので大丈夫でした。
    ライトな陰謀論や、元ベーシストの市長のキャラもそこはかとないユーモアセンスも好みでした。
    (重たくて後味の悪いイヤミス系を読みすぎてるかも)

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    投稿日:2024.04.06

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