【感想】奈落で踊れ

月村 了衛 / 朝日文庫
(6件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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ブクログレビュー

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  • につ

    につ

    このレビューはネタバレを含みます

    感想
    内容は真剣だが、パンスキという言葉が出てくるとどうしても力が抜ける。

    また、暴力団や総会屋、政治家、官僚など魑魅魍魎の世界で権力争いが繰り広げられるが、どこかコミカルなところがあり、楽しく読める。

    実際の政治家の名前も出てきてリアリティがある。本当に起こったことみたいに感じる。

    あらすじ
    大蔵省のノーパンすき焼き接待が発覚し、省内に激震が走る。大蔵省の同期四人組は何とかしてこの事実を隠そうと、同期の切れもので変人で名高い香良洲に助けを求める。

    香良洲は当時の緊縮財政派だった幹部を退け、日本経済を救うために、パンスキに関わった人物が書かれたリストを手に入れようと調査を始める。

    リストを巡って、ヤクザや総会屋とのやり取り、大蔵省内での主計局長を巻き込んだ権力争い、政治家からの圧力など、香良洲は、幕辺主計局長を追い出し、日本経済の自浄化を達成できるのか?

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    投稿日:2024.05.11

  • NFCC図書館

    NFCC図書館

    接待汚職「ノーパンすき焼きスキャンダル」発覚で大蔵省は大揺れ。黒幕の大物主計局長、暴力団、総会屋、敏腕政治家らの思惑が入り乱れるなか、大蔵省始まって以来の変人・香良洲圭一はこの危機にいかに立ち向かうのか。(e-honより)続きを読む

    投稿日:2024.04.15

  • 江上

    江上

    読み始めは相当ワクワクして読み進めたが中盤から緩んで緊張感が薄れた。
    主人公である「大蔵省始まって以来の変人」も触れ込みほどの鬼才振りは作中感じなかった。
    ラストの行為も想像できたので特に驚愕でもなかった。
    月村さんらもっと面白い話に出来たのにと残念な思いの方が強いかな。
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    投稿日:2024.03.01

  • yukimisake

    yukimisake

    月村さんファンでいらっしゃる、お世話になっているシンさまに月村作品で1番のお勧めを教えて頂き拝読。

    良い子の皆さん、今回の感想は卑猥なパワーワードが何回も出てきます。くれぐれも、お父さんお母さんに「パパー、ノーパンすきやき、ってなぁに?」と聞かないようにして下さいね。

    という注意勧告が98年当時は無かったせいで『ノーパンしゃぶしゃぶ大蔵省汚職接待事件』がニュースで大々的に報じられた際に、お子様がご両親に質問をしてお茶の間を凍りつかせたという実際の事件。
    こちらをベースに書かれた官僚ピカレスク小説です。

    作中ではしゃぶしゃぶではなくノーパンすきやきに変わっていますが、不動のノーパンなのでそれはもうノーパンなんです。
    本を読んで感想を書いていますと人生においてこんな言葉を何度も書くことになるとは思わなかったと度々思う事があるのですが、今回はその中でもダントツのパワーワードです。
    作中で『パンスキ仲間』と度々出てくるのに笑ってしまいましたが内容は笑い事では無い。

    主人公は大蔵省きっての変人、ワルでは無く悪であると自負する超切れ者の香良洲。正々堂々と上司に意見をして左遷されていましたが文書課課長補佐に返り咲き。そんな折に官僚達が件の『ノーパンすきやき』で卑猥かつ過剰接待を受けていた事が発覚。
    大蔵省未曾有の危機に処分を逃れたい4人の官僚が香良洲に助けを求めます。
    当の香良洲は自業自得と呆れてはいたのですが、大倉省の未来、ひいては日本の未来を真剣に考えていた彼は増税を目論む幕辺一派(もちろんパンスキ組)を一掃するチャンスだと話に乗ります。

    ここからの頭脳戦が凄い!
    元妻の絵理子が秘書を勤める錐橋議員や、ヤクザまでも利用して打倒幕辺に奔走する香良洲。
    実在の人物も出て来たりするので『半暮刻』のようにかなりヘビーな切り口で来るのかと思いきや予想外にコミカルな面も多く、それでいて切り札をいつ使うのかハラハラする攻防もあって難しい内容も多いのにするすると読めてしまいました。
    月村さんはまだ2作目ですがその手腕に脱帽。
    社会の闇(特に金融関係との癒着とか)をこんなに表現してしまってどこかの筋から狙われないかと心配になる程のリアルさもあります。

    政治家の方にもパンスキ組がいたりと、虚実織り交ざっていますが当時の大蔵省周りも概ねこんな感じだったのかなと想像すると、某号泣議員の記者会見を動画で見た時と同じくなんとも言えない気持ちに。選挙大事、本当に。まあ当選した後にしか分からないんですけれど。

    香良洲の度々使う官僚用語が妙に気に入ってしまい、私も今後頑張るつもりがない時には「鋭意努力します」適当に流す時には「厳粛に受け止めます」と返そうかなと思う程。
    それにしても香良洲のダークヒーローみと言うのか、捨て身の格好良さには痺れます。
    最後の切り札は果たして良かったのかどうか、確かに賛否両論だろうし悩ましい所ですが、個人的には心の中でガッツポーズを取る程に興奮しました。
    そもそも話を持ちかけてきた4人のパンスキ組に最後に放った言葉もかっこいい!

    ですがこのままでは終わらないのが寧ろ本書の良い所。
    現在は財務省になった大蔵省ですが、どうなるかは既に決まっています。
    増税は見事にされてしまったし、香良洲の危惧していた日本の未来は今の時代と変わらない姿。
    それをずしんと突き付け、そして『半暮刻』と同じく最後に沁みるタイトル『奈落で踊れ』

    タイトルが良すぎる問題。『パンスキで踊れ』じゃなくて本当に良かった。(そろそろこのワードを書くのが恥ずかしくなってきました)

    シンさま、とても面白かったです、ありがとうございました!
    続きを読む

    投稿日:2024.02.21

  • yunilla

    yunilla

    東大出身の親戚に「どうして官僚にならなかったの?」と聞いたときに、「あいつらはそもそも違う種類の人間だ。自分には絶対なれない」と言われたのを思い出した。

    投稿日:2024.01.18

  • ほりんちゅ

    ほりんちゅ

    ノーパンしゃぶしゃぶから発生した大蔵省の接待汚職の処分を巡る戦いを舞台に官界、政界、ヤクザが戦いを繰り広げる。主役は大蔵省の変わり者の中堅官僚。
    終わり方が、森友事件の公文書改竄に繋がっていくのは見事
    面白い
    続きを読む

    投稿日:2024.01.14

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