【感想】タスキ彼方

額賀澪 / 小学館
(41件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
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ブクログレビュー

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  • とりおの飼い主

    とりおの飼い主

    箱根駅伝の歴史に基づくフィクションということで、あの大学この大学を連想させる架空の大学名やチームカラー、大学駅伝好きとしてマニアックな点にいちいち反応しながら読む。

    第二次世界大戦によって中止を余儀なくされた箱根駅伝、その代替となる青梅駅伝、第22回としてカウントされながらも異質の箱根駅伝……。戦争が日本の学生に与えた深い傷を描き、読んでいる私も胸が痛くなる。
    スポーツを楽しむことが禁じられ、鍛錬や戦技としてのスポーツのみ許される。そんな窮屈な世界で、それでも箱根駅伝を走りたいという学生の強い想いが生み出した第22回箱根駅伝。「走れてよかった、これで後悔なく死ねる」と思いながら走る。そんな悲しい駅伝があったなんて、知らなかった……。
    今ある当たり前が、どれだけありがたいものなのか。噛み締めながら読んだ。

    また、一方で今年は第100回箱根駅伝が開催された、記念すべき年でもある。物語は昭和と令和を行き来するのだが、令和のエースがまた新しいタイプのエースで、それがなかなかよかった。
    駅伝が嫌いで、駅伝を走らない4年生エース。頑なに箱根駅伝を拒むエースなのだ。「えっ、この人どうしたら箱根走るの?物語的にこの人が走らないと終われないけど、走る未来が全く見えない!」と、先の気になる展開に。

    そして一番最後のページの、100回大会の総合結果と区間賞一覧を見て、えっ、この人……!?となったのは私だけではないはず。この気持ちだれかと語り合いたい!
    後半はいろんなことが繋がっていく。過去があって、現在があるのだ、というように。先人たちの思いを知って、ますます箱根駅伝への思い入れが深まる作品だった。
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    投稿日:2024.05.03

  • 燕ふわり

    燕ふわり

    このレビューはネタバレを含みます

    今のところ今年イチ!
    読み終わってすぐには言葉にならないくらい。

    これで最後、と箱根を走る選手の気持ち、
    駅伝開催にむけて奔走する関東学連の仲間の気持ち、
    記録員、監督、記者、合宿所の女将、いろんな目線で丁寧に描写されている。

    鍛錬と必勝祈願という建前がないと走れなかった時代から、そして戦争に取られて走れなかった選手たちから、時代をこえてタスキが現在に繋がっている。
    べつに箱根駅伝でそんなに興味なかったけど、
    戦争なんてくだらないもののために途絶えさせてはだめだ。
    最後に宮野くんは及川くんに言ったことば。
    『あんな大きな戦争がやっと終わったんだ。もう絶対にない』
    安直だけど、そう、この思いを無にしてはいけない。

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    投稿日:2024.04.30

  • そうじん

    そうじん

    箱根駅伝が国民的行事になっている理由が
    少しは分かった気がする。
    次回はもう少し気にして見てみようかと。

    投稿日:2024.04.10

  • tece

    tece

    箱根駅伝。毎年当たり前に見ている。それが当たり前ではなかった数年間。絶対に走る、走らせるんだと出征間近の大学生達が奔走して大会を実現するところに胸が熱くなった。
    戦後、大学に戻ってきた肇が生き残ったことに罪悪感から前向きになれない姿にあの戦争による犠牲の大きさに心がぎゅっとなった。
    今年の100回大会も無事にあった。彼らのためにも、この先もずっと続いて欲しい。
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    投稿日:2024.03.31

  • ベンちゃん1103

    ベンちゃん1103

    額賀さんのこのシリーズ全て読んでます。ランナーなので、共感できる部分が多く大好きです。
    そして、箱根駅伝が益々好きになりました。史実に基づいたフィクションで、戦前・戦後・現代とどれだけの人を箱根は魅了してきたのかよくわかりました。どれだけの人が動いて箱根駅伝が開催開催できたのか。今も開催されているのか。
    これからも大学生そして国民を魅了する大会として開催されていくんだろうなと思いました。
    やっぱり走るのは楽しいですね!
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    投稿日:2024.03.29

  • hollyleaf

    hollyleaf

    私は「箱根駅伝」が大好きだ。なので、レビューは甘めになるかもしれないので、ご注意を。

    本書は、「箱根駅伝」ファンならムネアツになり、感涙にむせぶこと必至の作品。一冊の手帳が結ぶ昭和と令和のアスリートの想い、そして終盤で明らかになる昭和のアスリートと令和のアスリートの繋がり、実に上手い。昭和18年に復活した第22回箱根駅伝が終わり、類家は「きっと、この大会は遠くまで飛んでいきますよ。僕達が想像できないほど、遠くまで」と言ったが、確かにそうだった。泣いた。

    今年の第100回大会は、事前の予想を覆して青学が優勝した。青学は箱根に特化した調整をすることで知られており、今回の立役者となった3区の太田、4区の佐藤は箱根しか見ていない「箱根男」。何故そんなにも「箱根
    」に魅入られるのか?本書を読めば納得できる筈。

    一つだけケチをつけると、登場人物が多いにもかかわらず、同じ人物が姓で出てくる場面と名で出てくる場面があるので、誰のことだかわからず混乱した。
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    投稿日:2024.03.28

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