【感想】もう一人、誰かを好きになったとき―ポリアモリーのリアル―

荻上チキ / 新潮社
(7件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • moondrop421

    moondrop421

    アセクシュアルな私はモラハラ夫が私に「嫌な言動をしてしまうのはレスによるストレスが原因」と言われて、「彼女でも作れば」と本気で言って怒らせた。ある意味自分もポリーなのか…と本書を読んで思った。

    投稿日:2024.05.01

  • い

    p94
    ●ポリーは異常性格者なのか?
    ポリーに対しては、「人の心がわからない人間」「性的欲求のための口実にしている」「セックス依存」「生きがいがないから恋愛に依存する」といったステレオタイプの非観がぶつけられることが多い。もちろん「それで何が悪い」と除けることもできるが、ノンモノガミストとモノガミストとの比較研究をまとめた調査をたどると、そもそもこれらの見方は、実際のポリー像とかけ離れていることがわかる。

    ノンモノガミストとモノガミストとの比較研究の結果では、両者の間で「差が見られなかった」項目が多かった。
    ー中略ー

    だが同時に、ノンモノガミストとモノガミストとの間に差が見られる項目もいくつかある。
    例えば、グループ内の関係満足度や幸福度においては、ノンモノガミストの方が高いという調査もある。

    こうした研究結果を見ると、ノンモノガミストの多くは、ほとんどの点でモノガミストと 差がない一方で、自らの関係性そのものにはより高い満足度を示しつつ、他方で社会からの 偏見には苦しんでいることになる。
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    投稿日:2024.04.28

  • nalu

    nalu

    ポリアモリー・ノンモノガミーを実践する人の実態を記した一冊。

    日本社会において複数愛を実践する人がほとんど不可視化されているという問題意識の中で、多くの当事者にインタビューしてその実相が書かれている
    新たに知ることが多々あり、とても興味深かった。

    ・モノ規範の中で、当事者が抱える自責やスティグマ、罪悪感について。ポリアモリーであるがゆえの苦しみではなく、ポリアモリーを不可し化し、異端として扱う社会システムゆえの苦しみが多い。
    ・ポリカップルの離別要因は、複数愛者でも単数愛者でも変わらない性的問題、金銭問題など。しかし破局すると周囲からは「当然」と思われる。
    ・性的なものとして見る社会と、関係性をめぐる問いとして考える当事者の食い違い
    ・必ずしも性愛だけを追及するわけではなく、アセクシャルでポリアモラスということがある。
    ・ポリアモリー傾向があっても実践しているかどうかは人それぞれ。
    ・「嫉妬を乗り越えたらコンパージョン」というわけではない。これも人それぞれ。
    ・重婚禁止は何のため?行政がミスしない限り犯せない罪が何のために存在するのか。→一夫一妻制という道義的建前を明確にするための宣言的な意味。
    ・ポリファミリーの実態。肯定的にとらえる理由がたくさん。情緒的、金銭的豊かさなど。
    ・ポリアモリーは世界に1000万以上 日本における実態調査はほとんどない。
    ・ポリガミーは共同体の維持、家父長制的な社会構造において重視され、女性の意思決定は重視されてこなかった。男性が女性を所有し、依存関係の生産。ポリアモリーはそうした文脈とは違う背景から出現してきた。自由と共有を尊重する西海岸文化。フェミニズム。クィアカルチャーなどの歴史からも影響を受けてきた。
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    投稿日:2024.03.06

  • hiro-sa

    hiro-sa

    線形というモダンから、離散的なポストモダンへ、か。

    時間軸の多様性へなのかな。物質的にだけは豊かになったということなのだろう。人生の配分というところかね。

    投稿日:2024.02.14

  • いの

    いの

    ポリアモリーに関する実態、概念、課題などが整理された良著。
    当事者へのインタビューをベースに、適宜挿入される先行研究(主に海外)の紹介と概念・課題整理、更にはインターネットによる社会調査など、内容は幅広く網羅的。著者の当事者性は強いはずだが、黒子的というか研究者的というか、極めて抑制的な記述に徹しており、それが客観的な説得力を増している。
    また登場する当事者を含め、ジェンダー・セクシャリティについて相当深いレベルで考え語られているため、その辺りについても併せて理解を深めることができるし、それが本書の説得力を高める土台にもなっている。
    あと他の書評を読んで知ったのだが、ポリアモリーは性的志向かライフスタイルかという議論があるのに対して、本書がそれを"関係志向"としている点は独創的であるらしい。単に既存の先行研究をまとめるに留まらない、先進的な水準にまで議論を進めているようだ。
    ポリアモリーという概念について理解すると同時に、既存の恋愛・性愛規範や家族観を批判的に振り返ることのできる、大変学びが深い一冊となっていると感じた。
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    投稿日:2024.02.12

  • 肩パキパキ

    肩パキパキ

    オープンリレーションシップをテーマに描いた「私の最高の彼氏とその彼女(ミン・ジヒョン)」の影響もあり、読了。

    日本で暮らすポリー当事者のインタビューが沢山あり、その人たちの語りがとても興味深かった。読みながら自らのモノ規範を再自覚させられたし、それは社会規範の影響を強く受けているんだろうなぁとも思った。

    (複数愛を描くアニメやドラマ、本に出会った記憶はほとんどなく、「永遠の愛」「運命の相手」を描く単数愛作品が多い気がする。マッチングアプリでも「真剣な出会いを求めています」(=モノアモリー?)という語り口をよく目にするなぁ。)
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    投稿日:2024.01.28

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