【感想】ピュア

小野 美由紀 / ハヤカワ文庫JA
(5件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • KOH

    KOH

    性と人間のありようをテーマとしたSF短編集。全6篇を収録。
    読み終えて、この作品は女性にしか書けないだろうと思い至った。

    収録されている作品はどれも、残酷で生々しい描写の中に、煌々と輝く美しさが垣間見える。読んでいて苦しいと感じた場面はいくつもあったが、読み終えたいま後悔のようなものは微塵も感じない。
    性というものに寛容になろう・理解を示そうという風潮になってきた世の中だからこそ、この本に強烈に惹かれ、私は書店で手に取ってしまったのかもしれない。
    また私は男性だが、女性として生まれていたのなら、この作品をどう感じていたのだろうか。
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    投稿日:2024.04.27

  • べあべあべあ

    べあべあべあ

    このレビューはネタバレを含みます

    女が女として生まれ女として生き、女として死んでいく。それは一本の道で繋がっているわけではないということが痛いほどわかる。生と性の中にあるのは喜びでも苦しみでもない、言葉にできない感情。
    妊娠するためには男を喰らわねばならぬという女の性、女に喰われ妊娠させる以外に何の役にも立たないという男の性、そこには想いも愛も介在しない未来。
    そして妊娠と出産は女にしかできない特権的役割だ、ということさえ揺らぐ未来。そこにある女の喜びはあるのだろうか。現実世界とは違った意味で女が強いられるあらゆる不自由と苦しみ。
    いつか、遠い未来に女が女として生きていく苦しみを消せる日がくるのだろうか。

    読みながらぞわぞわとした触手がまとわりついてくる。そのぞわぞわの根源にあるのは、嫌悪なのか、憧憬なのか。まだ答えは見つかっていない。

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    投稿日:2024.03.06

  • りぴまる

    りぴまる

    このレビューはネタバレを含みます

    女性として生きることの辛さ、弱さを詰め込んだ本。
    「ピュア」では、女性のほうが男性より強い社会という、今までにはない世界観だった。
    同類の妬みという人間的なものに上乗せして、性別の問題は私達の人生をより厄介にさせる。
    命を宿すために命をもらう女。
    生きている世の中、世界は違えど女の子として生きるために戦っている彼女たちのパワーと、自身の性に対する嫌悪、そして向き合って生きていく姿を、私も子宮で受け止めた。

    一番好きだなと思った作品は「To The Moon」だった。
    まさにピュアでまっすぐな純愛物語だったと思う。
    「私を嫌いにならないで」
    「嬉しいの。人間だった時の私が、誰かを殺すぐらいにあなたを好きだったことが」

    言葉以上の言葉だなと思った。

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    投稿日:2024.02.11

  • あじの開き

    あじの開き

    性についてのSF短編集。
    バースデーはちょうど良いSF具合でリアルに感じた。身体を売ることは設定が良かった。哀愁漂う雰囲気の中で主人公の力強さが光ってた。
    どの作品も生々しい。

    ※ほんタメ!より

    投稿日:2024.01.29

  • あくら

    あくら

    衝撃的な短編集。
    6篇全てに心が揺さぶられた。
    女は妊娠を義務付けられ、そのために餌として男を食べる必要がある表題作。
    夏休みが明けると、親友の性別が変わっていた『バースデー』
    人間を辞めて月人化した親友と再会する『To the moon』
    新種の人類を生み出すため母親役になる『幻胎』
    表題作と同じ世界の男側が描かれる『エイジ』
    体を売り渡し、自らをサイボーグ化する『身体を売ること』
    “性”と“生”が入り交じる、ダークで生々しい設定の数々に戦慄した。
    それでも、彼女たちに共鳴する部分もあって不意に泣けたりするから恐ろしい。
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    投稿日:2023.12.15

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