【感想】安達としまむら99.9

入間人間, raemz, のん / 電撃文庫
(1件のレビュー)

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  • 朱色

    朱色

     本編が終了した後の二十歳の時や社会人になり同棲している時、安達や皆の死後のおばあちゃんになった時、死後、3700年後の安達としまむらを描いた短編集。
     登場人物の心情が丁寧に掘り下げられて描かれており、時を経て変わってしまうこともあるものの安達としまむらのお互いを思いやる心や愛は変わらないことがヒシヒシと伝わってきた。また、死後の風景は今までの軌跡を思い返すような美しい描写で、幸せな最期を迎えられたと知れたのが嬉しかった。
     どこまでも時間の流れに対し無力な人間に対し、全く変わらないものとして、ヤシロの存在があり、3700年経ってもしまむらの願いを叶えているのが象徴的だった。二十歳になった章で「変えられない過去も悪いものじゃない」と思ったしまむらの言葉にもあるように、変わらないヤシロはある意味、何があっても立ち返る最初の場所として、昔の記憶や思いを錨のように留めておき今の感情を相対的に考えさせるための存在なのかと思った。
     ファンとしてはとても満足で泣きそうになるくらいだったが、物語自体には特に大きな動きがあるわけじゃないためキャラが好きだから読めた部分はあると思う。死後であったり〇〇年後とか二次創作でよくありそうな話を公式がやるとは思わなかった。
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    投稿日:2023.12.21

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