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ジャック・キャンベル, 月岡小穂 / ハヤカワ文庫SF (1件のレビュー)
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ゆうだい
なんとまぁ7年ぶりの『彷徨える艦隊』で、コロナ禍が始まってほぼ出口まで来るくらいには空いてしまった訳です。 それだけのブランクがあるので、いち読者として「またこの世界に没入できるんだろうか…」という不…安を抱きながら本著を手にしました。 通販での注文時、本体1,680円+税(税率すら前と違う…)、というのはインフレの影響かな?と思っていたんですが、手にしてみると700ページの超分厚い1冊が…。色んな意味で読み手に覚悟を求めてきますね(笑 で、この分厚さにも関わらず3日くらいで読了。 まぁ色々あって時間が取りやすかったのもあるんですが、やっぱり純粋にこのシリーズは面白い。例によって10巻くらいから読み返そうかな…と思ったものの、他にお仕事方面で読まないといけない本はたくさんあるんだよな。。 その上で、なぜこのシリーズはこんなに面白いのか。 訳者あとがきによると、来春に邦訳が刊行予定の続巻は、アメリカで読者投票で決まるドラゴン賞を受賞したそうで、あちらでも人気シリーズのよう。 少し考えてみたんですが、このシリーズは「なろう系」なのでは?という乱暴かつ微妙な考えが浮かんできました(笑 1巻からのストーリーを振り返ると、主人公ギアリーは、戦争中に救命ポッドで100年間も冷凍睡眠していた軍人で、その間に現役の軍人たちは戦術はおろか、マトモな考え方を喪失して突撃戦や虐殺戦を繰り返す状態に。ギアリーはその中で指揮権を移譲されることになり、艦隊を立て直してきた訳です。 「なろう系」で言うチート能力は、本作では「マトモな戦術や考え方」なのでまぁ少々現実的ではありますが、困り事をギアリーがバサバサと解決していくのはこの12巻でも健在。少々ご都合主義的な展開もまぁありますが、「なろう系」と比べたら可愛いものです。 SFの"Science"的な側面は、正直本著にはあまり無い気はしますが、圧倒的な能力や人望を持ちながらも民主主義をあくまで尊重するギアリーは、現代アメリカにおいてもヒーローたりうるのかなと思います。 ちょっと気になったのは、本著の中で「人類がそのころのことを忘れないといいのですが。それほどに今の時代は希望や新たなものへの探究心ではなく、不安と後退を優先しているように思える。」というフレーズがあり、これは今のアメリカを映している…? 13巻も楽しみです。その間に読み返しができるかどうか…。続きを読む
投稿日:2023.11.26
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