【感想】思考の穴

アン・ウーキョン, 花塚恵 / ダイヤモンド社
(30件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
3
10
11
1
1

ブクログレビュー

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  • マルシェ

    マルシェ

    理性の限界を体感せよ。
    短冊に書かれているその一言に衝撃を受けて購入をしてみた。これはもちろん読者を惹きつけるためのタグのようなもので、内容と比較すると人によっては誇張し過ぎと感じるかもしれない。ただこれはあくまでも大学で行われた講義やその研究内容を一般におこしたものだからだ。内容には思考実験が多く出てきてそれは現実に行われたものではあるが、一般の人とは少し距離が置かれたように感じる。この本がビジネス本であり、しっかりと論証に基づく研究から書かれた内容であるからそれは仕方のないと思える。

    さてここからは僕の感じたポイントである。
    理性の限界は体感出来た。この本は世の間でそこはかとなく漂う空気、温度、圧力の正体をより鮮明に理解することが出来る。つまり、人間である以上しょうがなく起きてしまう思い込みである。その思い込みを理解していたとしても、回避しようとしても限界があることを、学んだ。例えばどうしても物事を楽観視したがる点や、距離が遠い事に関しては関心が薄れてしまう点である。思えばスティーブ・ジョブスや、イーロンマスクなどの有名な実業家はこのことを一番理解していたのだろう。ビジネスを失敗させないためには多くの意見を受け入れる必要がある。反対意見に目を向けることがなぜ必要なのかを学んだ。人は思い込んでしまう特性を持っているからである!
    イェール大学とはどんな大学なのだろう。この大学で行われた人気講義は全て書籍にしてほしい。
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    投稿日:2024.04.21

  • 横

    イェール大学集中講義 思考の穴
    わかっていても間違える全人類のための思考法
    著:アン・ウーキョン
    訳:花塚 恵

    思考の穴とは、バイアス、つまり思い込み、錯覚のことです。
    人間は、錯覚の動物、だれも、そのバイアスからは逃れられない

    思考の不具合の解決策は、必ずしも簡単に手に入るとは限られない
    それどころか、どんなタイプのバイアスも、取り除くのは恐ろしく難しい

    ■流暢性

    ・何度も見ると、なぜか自分でも「できる」と思ってしまう 流暢性効果
    ・誰かが難なくやり遂げている姿を見ると、自分も労せずできるという錯覚が生まれやすい
    ・簡単に理解できる本を読んでいると、その本は書くのも簡単だったのだろうと感じるかもしれない
    ・人は新たな知見を得たときに、それが見出された経緯を知ると、その知見が事実だと信じる気持ちが強くなる

    ・メタ認知とは、「何かを認知しているかどうかを認知する能力」
    ・要は、メタ認知とは、取るべき行動を教えてくれる能力だ

    ・リハーサルが重要になるのは、スキルが身についたという錯覚に対してだけではない
    ・人は自分が持つ知識の範囲についても、しょっちょう過信する
    ・実際に身につけている以上の知識があると思い込むのだ。
    ・知っていると思ったことをいざ説明しようとしたとたん、自分は自分で思っていたよりはるかに何も知らないと気づかされた
    ・参加者が謙虚な姿勢になったのは、反論されたからではない。
    ・少し説明を求めるだけで、人は謙虚になる

    ・計画錯誤:何かを完了させるのに必要となる時間と労力は、少なく見積もられることが多い
    ・計画錯誤が生じる原因はいくつかある、そのうちのひとつが、希望的観測だ
    ・計画を立てたことによって、難なくスムーズに買い物ができるとの錯覚が生じた
    ・ひとつのタスクを複数の小タスクに分解すると、計画錯誤が軽減される
    ・私はつねに、最初の見積りよりも50%多い時間を確保している
    ・楽観的になるのはいいことだ、楽観的になると、ストレスが軽減されて幸福感が高まりやすい
    ・そのおかげで楽観主義者は長生きなのだ
    ・データ主体で立てる予測は、直感や願望に基づく予測よりもはるかに精度が高い

    ■確証バイアス

    ・「自分が正しい」と思える証拠ばかり集めてしまう
    ・「最初の考え」に固執しているから間違える
    ・確証バイアス:人が自分が信じているものの裏付けを得ようとする、傾向のことを指す

    ・信じたとたん、信じたように行動し始める
    ・自分はうつだと信じ始めたとたんに、うつ病患者のようにふるまいかねない

    ■原因

    ・日々の生活において、原因と結果はたいてい、その大きさや特徴がマッチする
    ・原因と結果は似ていたり釣り合いが取れたりするとは限らない
    ・結果が原因とあまりにもかけ離れていると感じると、明白な原因を原因として受け入れられない
    ・十分性:ひとつわかると、ほかの可能性を「除外」してしまう
    ・ある現象が起きた原因がひとつ明らかになると、原因となりうるその他の要素は自動的に考慮されなくなる
    ・原因となりうる候補からひとつを選ぶときに、「しなかったこと」よりも、「したこと」のせいにしてしまうという傾向もある
    ・何もしないことの代償の存在を忘れていては、取返しのつかない問題が生まれかねない。
    ・正しい行動を起こすことを怠っていては、気候変動を止めることができない、また、投票しないことでもそうした問題が生まれかねない

    ・新近性:最後に起こったことが原因と思ってしまう
    ・直近の事象を重視しすぎてしまうと、順序が無関係な場合でも、その状況を招いたほかの要素に目が向かなくなり、それらを正しく称賛または避難する機会が失われてしまう

    ■危険な「エピソード」

    ・具体的な事例は、抽象的な記述に比べてはるかに影響力が強く、頭に残って離れにくい
    ・人の思考は基本的に、自らの視覚、触覚、味覚、聴覚で感じ取れるものに基づいて行われる

    ・ムスリムがテロを起こしたら、「ムスリムは全員悪い」と思ってしまう
    ・難しいのは新規の問題に既知の解を当てはめることではなく、解決策を自発的に記憶から呼び起こすこと
    ・いちばん効果があったのが、複数のストーリーを通じて同じ法則を示すことだった

    ■損したくない

    ・人はポジティブな情報よりネガティブな情報を重視すると実証した実験がたくさんある
    ・ネガティビティ・バイアス:人がネガティブな情報や出来事を重視してしまう傾向のこと
    ・ネガティビティ・バイアスの影響力は非常に大きい
    ・避妊に失敗する確率が5%のコンドーム、より、95%の確率で避妊できるコンドームのほうが優れている

    ・保有効果:自分のものになった瞬間、惜しくなる
    ・単純に、人は自分の所有物を失うことが嫌でたまらない、自分のものとなった時間がどれだけ短くても関係ない

    ・フレーミング効果:人が何を好み、何を選ぶかは、選択肢そのものの問題というより、選択肢がどう切り取られているかで決まる
    ・運行の88%で時間通りに発着する飛行機には乗りたいと思うが、運行の12%で遅れが主じる飛行機には乗りたがらない
    ・ネガティブな要素を気にしすぎていると感じるときは、肯定的な視点から質問を切り取り直すといい
    ・どの選択肢を退けるかとばかり考えるのではなく、どれを選ぶか、とも考えてみる

    ■解釈

    ・人は自分が信じるものを信じ続けようとする傾向がある
    ・自分の問題をきまってまわりのせいにする人が、あなたの身近にも、少なくとも一人はいる
    ・反対に、なんでも自分のせいにする人もいる

    ・事実を「自分の考え」に一致させようとする
    ・自分のなかに存在する思い込みによって、目にしたものや体験したことに色がついてしまう

    ・解釈にバイアスがかかることは絶対に止められる
    ・バイアスは人の認知につきものだと理解していれば、自分とものの見方が違う人に対して寛容になれるはずだ
    ・他者の世界観を変えることは本当に難しい

    ■知識の呪い

    ・自己中心性バイアス:自分の持っている情報で考えてしまう
    ・知識の呪い:ひとたびなんらかの知識を得ると、たとえ大人であっても、その知識を持たない人の視点からものごとを考えづらくなる
    ・集団主義社会に溶け込むには、他者が何を考えているのか、自分は他者からどう思われているのかということを絶えず意識する必要がある

    ・他者の立場になって考えてみる
    ・噓のつき方をある程度知っておくことは、重要な社交スキルのひとつとなる
    ・嘘をつくにも不正を行うにも、他者の心の理解が必要となる
    ・他者が置かれている状況を自分に重ねると、他者のためになることをしようとする「向社会的行動」の増加を見込める

    ・実は、他者の心を理解し、自分の思いを明確に伝える能力を向上させる確実な方法がひとつある
    ・しかも、それは簡単だ、自分の思いを他者に推測さえず、率直に伝えればいい
    ・事実を集めない限り、事実を正しく把握することはできない

    ■我慢

    ・人は自分にとって重要な成果の内容が不確かな状態にあると、意思決定の能力がうまく機能しなくなる
    ・確実性効果:人は確実性の高いことを極端に好む
    ・行き過ぎた自己管理は精神衛生や幸福の妨げとなるばかりか、肉体にも悪影響を及ぼす
    ・結果に飛びつかず、過程を楽しめ

    ・誰もが自分自身に対してフェアになること
    ・人は、自分を卑下するべきではない
    ・また、自分を過信するのもフェアではない

    目次
    INTRODUCTION わかっていても避けられない?
    Chapter01 「流暢性」の魔力―人はすぐ「これは簡単」と思ってしまう
    Chapter02「確証バイアス」で思い込む―賢い人が自信満々にずれていく
    Chapter03 「原因」はこれだ!関係ないことに罪を着せてしまう
    Chapter04 危険な「エピソード」―「こんなことがあった」の悪魔的な説得力
    Chapter05 「損したくない!」で間違える―「失う恐怖」から脱するには?
    Chapter06 脳が勝手に「解釈」する―なぜか「そのまま」受け取れない
    Chapter07 「知識」は呪う―「自分が知っていること」はみんなの常識?
    Chapter08 わかっているのに「我慢」できない―人はどうしても不合理に行動する
    最後に
    謝辞
    訳者あとがき
    参考文献

    ISBN:9784478115756
    出版社:ダイヤモンド社
    判型:4-6
    ページ数:384ページ
    定価:1600円(本体)
    発行年月日:2023年09月
    発売日:2023年09月12日第1刷
    発売日:2023年10月04日第3刷
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    投稿日:2024.03.22

  • manndanana

    manndanana

    「人間が」って言う分母クソデカで言うことでも無いけど、自分が逃れられないものの一つに「確証バイアス」があるし、それに同意してくれる人はもううなずき過ぎて首が疲労破壊でもげてると思う。

    その確証バイアスを本書は多方面から解き明かしてくれてる。
    「単純接触効果」「サンクコスト」「因果と相関」とかだと思うんだけど、それらを平易な言葉でわかりやすい例を複数使いながら解説してくれるので読みやすいし理解しやすい。

    要はあれだ。知識は確かに凄いけど頭でっかちな自分の経験則で決めつけてかかる人の解説書みたいなものかな。誰しも少なからずその傾向はあるけど。

    意見がぶつかったときの、自分と相手の「確証バイアス」が原因ってのはわかるけど、それ自体が抽象的でどういう経緯での思い込みなのかの壁に当たるが、それを具体化に解きほぐしてくれて脳が開放されていく感覚。

    脳が整った状態になりたい人は是非!
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    投稿日:2024.03.17

  • sou (08thse)

    sou (08thse)

    こういう本は面白いので好きです。

    そして、なるほど洋書には具体例が多くてボリュームがある書籍が多いのも納得です。

    投稿日:2024.03.13

  • ginkan2

    ginkan2

    あまり新し感はなかったけど、巷で良く言われていることを分かりやすく解説してあります。自分的には第二章と第三章がためになったかと思います。「確証バイアス」つまり、「思い込み」、ということ。生存のために身につけてきた合理的な反応が、現代では厄介なことを生み出す。分断、とか。CMでもこの手のもの、良く見ますね。一旦、深呼吸して冷静になる、という事に尽きますかね。「自分、陥ってないか?」と。「他人の目」で状況を観察する。「たった一つの答」を追求しない。続きを読む

    投稿日:2024.03.09

  • シャノアール

    シャノアール

    私達が思考、判断する時にかかってしまうバイアス
    (先入観、無意識の思い込み、はまってしまう数字のトリック)を例を上げてわかりやすく説明されている。
    例が多すぎて冗長に感じるが、後半は行動経済学の記述もあり飽きずに読めた。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.07

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