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マイクル・ムアコック, 小尾芙佐 / ハヤカワ文庫SF (4件のレビュー)
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taroi
ムアコックのエターナル・チャンピオンシリーズの一作。 日本人読者にとって(私もそうだが)、剣の中の竜に登場したフォン・ベックのシリーズかと思いきや、実はこちらの方が先であった。 ストーリーとしては3…0年戦争を舞台にフォン・ベックが美女を手に入れるべくルシファーの命のもと聖杯探索に出る、というもの。 今までのエターナル・チャンピオンシリーズに比して、現実の世界を舞台にしている(とはいっても架空歴史ではあるが)。フォン・ベックはエルリックを始めとする従来の主人公に比べれば現実主義者で行動的。いわゆるエターナル・チャンピオンを期待するとちょっと違うが、それでも冒険小説としては十分読める。続きを読む
投稿日:2023.08.01
ohsui
イギリス発祥のファンタジーの一つに「永遠の戦士」と呼ばれるシリーズがあります。 「永遠の戦士」の名を冠するものは多数いますが、その一方で、多にして一なる存在であるともされています。 「地球」を舞台に…した別次元での物語、時に同時に存在し、時に時代も次元をも超えての転生体としてつながり、 その万華鏡のような有り様と「多元宇宙」と表現される世界で、それぞれを主人公とした物語は紡がれていきます。 自分が初めて手に取ったのは中学生の頃でしたからもう20年近く前になります、そう考えると息が長いですね。 本国イギリスでは幾度となく新版が重ねられていますが、最新版では体系化され全14冊にまとめられたそうです。 その、全集とも言うべきシリーズの先陣を飾ったのが、こちら。 舞台となるのは1600年代のヨーロッパ、30年戦争の真っ只中のドイツ。 主人公は「軍犬」の二つ名でも呼ばれる、歩兵団長ウルリッヒ・フォン・ベック伯爵。 キリスト教世界に生まれながらもその「宗教」の在り方に懐疑的で、 それが故にか、一人の堕ちた天使の要請に応えることになります、「聖杯」探索という。 そして現実世界と忘却界(リンボ)がない交ぜになった探索行を経て、一つの「約束の地」に導かれていきます。 その旅の過程で一つの「真実」を無意識に見出しながら、自身の変化にも気づかずに。 - わたくしたちは助けを借りずに生きるのですね 終盤に登場するこの台詞は、恐らくはムアコックの原点でもあり、この後に続いているであろう他のシリーズの中でも、 これに相反する「絶対者からの束縛」との観念は、宿命的な頸木となって主人公達を悩ませ続けます、その終わりまで。 そういった意味でも、この14冊の冒頭に本書を持ってきたのは、上手い配置だなぁ、と感じました。 ちなみにこのシリーズは、イギリス・ゴランツ社から「永遠の戦士叢書」として出されているシリーズとのことです。 知識とは何か、自由とは責任とは何か、そして「人」で在るとは、、なんて考えてしまう、そんな一冊。続きを読む
投稿日:2011.07.31
りん
ものすごく久しぶりの気がするマイクル・ムアコックです。 最近(ここ数年かな?)、ハヤカワ文庫でも、創元推理文庫でも、「永遠の戦士」シリーズ関連で新装版が出たりしています。 「永遠の戦士」というシリー…ズは、ムアコックのこれまで別々に書かれていた物語を、無理矢理(?)、実はパラレルワールドでとか、実は生まれ変わりで(同じ者の別の側面で)という感じに理屈づけて、くっつけた壮大なシリーズです。 で、こうすることによって、いろいろな物語の主人公たちが、クロスオーバーで、いろいろな世界に顔を出します。 特に、ヒロイック・ファンタジーの4シリーズである、エルリック、エレコーゼ、コルム、ホークムーンは、別々のシリーズの主人公でありながら、よく一緒に冒険をすることになります。 エルリックの物語で語られたことが、ホークムーンの物語でも、別の角度から語られたりします。 わたし、クロスオーバーって好きなんですよ。 で、アメリカや、イギリスでは、この「永遠の戦士」関連のお話を全部集めた叢書が出ているそうなのですが、日本で翻訳されているのは、人気のあるヒロイック・ファンタジー関連のものが、中心であるようです。 まあ、もともと別々に書かれたシリーズなので、どこから読み出してもいいのですが、なんか指針があるといいなぁと。 で、いろいろ調べてみると、どうやらこの「フォン・ペック」のシリーズが、「永遠の戦士」叢書の第1巻らしいということで、これから、読み始めました。*1 ムアコックは、かなり長く同じシリーズを書き続けている人です。 で、時代時代によって、同じシリーズでも、かなり書き方やテーマが違ってきています。 昔のエルリック・サーガだと、8巻まででいるのですが、1巻から6巻までの流れと7、8巻の雰囲気はだいぶん違います。 1巻から6巻までの前期の物語はストーリー中心の割とわかりやすい物語で、7、8巻の後期の物語は、けっこう、物語の中にいろいろな象徴を入れ込んだりした複雑な作りになっています。 だから、7、8巻は、もちろんストーリーを追いかけているのはおもしろいのですが、頭悪いので、「オレ読めてるのか?」という感じは、あります。 で、今回のこの「軍犬と世界の痛み」なのですが、ちょうど、この前期の物語と後期の物語の中間みたいな感じです。 書かれた時期的にも、そうなのかな? ストーリー的には、けっこう単純な構造をしています。シンボリックなものは配置されていますが、それもけっこう、単純でわかりやすいものです。割と全部、物語中で説明してくれています。 昔の翻訳の題名が、「墜ちた天使」だったそうです。 たしかに、ルシフェルを巡る物語だから、それも間違えではないですね。 でも、「軍犬と世界の痛み」という題の方が、「調和」というテーマ、「癒し」というテーマには、ふさわしいかもしれません。 なんでコレが、永遠の戦士のシリーズなのかとちょっと思ったりしたけれど(まあ、アリオッチ*2とかは出てきているのですが)、ラストまで読むと、まあ納得です。 ありのままの世界を受け入れるというのは、でも、ときにつらいものです。続きを読む
投稿日:2008.10.26
えんでん
ムアコックを読むのは久しぶりだけど、他のエターナル・チャンピオンシリーズと同じように楽しめた。どこにでもついてこようとするセデンコがなんだかかわいい。
投稿日:2008.08.23
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