【感想】暗闇の効用

ヨハン・エクレフ, 永盛 鷹司 / 太田出版
(4件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • ばななサンド

    ばななサンド

    光害(ひかりがい)という言葉を御存知だろうか。現代社会ではLEDの広がり等に伴い、暗闇がなくなっている。それが、生態系など自然界にも深刻な影響を与えつつある。
    著者は、谷崎の陰翳礼讃を取り上げながら、暗闇の大切さを訴えている。続きを読む

    投稿日:2024.01.03

  • k-masahiro9

    k-masahiro9

    人類が昔から望んできて得られた光明が、「光害」となっていることを論じている本。ウミガメの赤ちゃんが光のある方向を目指す本能があるばかりに、陸地の明るい方を目指してしまう害の話は色々なところで聞いたことがあった。他にも、サンゴやコウモリ、ウナギ、プランクトンなど様々な動植物が、現代の光の多さに甚大な影響を及ぼされていて、暗闇による保護を必要としている事例が数多く書かれていて興味深い。また。宇宙の起源として、「暗闇のなかの一瞬ないしは永遠」にあるとする観点の暗闇の話もある。

    日本の書籍もいくつか出てくる。村上春樹『1Q84』のもうひとつの月が浮かぶ世界の話や、(これは絶対に参照していると思ったけれども)建築業界の必読書(と書かれている)谷崎潤一郎『陰翳礼讃』で特筆される「さまざまな素材における、ほとんどわからないほどの細かな質感や古つやといった微妙なディテールや影こそが、全体を構成する重要な要素」「光と影の微妙なニュアンスは芸術、建築、文学のなかの諸要素を結び合わせる」話が引用されている。この本もそろそろ再読したくなってきた。

    「光を対極に置かずに、暗闇を語るのは困難」と著者が考えているように、それ自体の定義を語ることは確かに難しいなと思った。ジャーナリストのオーケ・ルンドクヴィストという方が言ったという、「暗闇とは、光がないことではない。光のほうが、薄められた闇なのだ。光の速さについては、しばしば驚嘆をもって語られる。対して、暗闇の速度はゆっくりだ。暗闇は優しく、静かに、魂の慰めとしてやってくる」という記述からも、「暗闇とは?光とは?」と考えることの難しさが伝わってきた。
    続きを読む

    投稿日:2023.12.29

  • echigonojizake

    echigonojizake

    光害(ひかりがい)を論じた本に見えるのだが、実は地球誕生から人類の日々の営みを考えさせられるとてもよい本だった。

    海中の生物は過度な光で生態系が崩れているという事例が提示される。それは人間が起こしたことであり、かつ生態系の変化は人間にもやがて影響を及ぼす。
    著者はスウェーデンの生物学者。北欧は特に光に当たる期間が短くなりがちなのでこういう感性が育まれるのだろうか、と感じた。

    暗闇は光の母ーー帯に書いてある谷川俊太郎の言葉がジワリとくる。
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    投稿日:2023.12.28

  • メガネ

    メガネ

    光害について書かれた本です。一般的に暗闇は悪いものと思われがちですが、本書ではその必要性、効用についても書かれています。
    生態系に与える影響も大きく、人類が快適に暮らすためにも、環境問題とともに考えていくべきか問題であると感じました。

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    投稿日:2023.12.17

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