【感想】存在のすべてを

塩田 武士 / 朝日新聞出版
(297件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
146
106
27
1
1

ブクログレビュー

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  • Jasmine

    Jasmine

     第九章以降のために、第一〜八章までがあり、第九章以降は涙無くしては読めない。
     布団乾燥機や乳歯ケース、七夕のエピソードは思い出すたびに、胸が切なくなり、読後も反芻して泣ける。
     謎を読み手が解いて行くミステリーというより、人の重なり合った人生を眺めているような物語。
     主要人物の一人一人の歴史が描かれて、時代も行きつ戻りつしながらなので、掴みどころのない人物像が、さながら写実画のように鮮明になっていく。
     いかにして事件が起き、今につながっているのか、最後には明確になってすっきりして、希望のもてる終焉で、最後の二行でも泣かされ、、、。
     もう、ほんと作者にしてやられた。

     個人的には旧題の「未到の静けさ」も物語を表現するのに、良いタイトル。
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    投稿日:2024.05.07

  • shihooooooo

    shihooooooo

    連休最終日に一気読み。限りなく5に近い星4つ。

    よかった。。「存在のすべてを」っていうタイトル、なんとなく不思議だなぁと思ってたけど、ああ、そういうことか、、、と。。
    つかみはミステリー要素強めで、でもそれだけではなかった。
    いろんなものがひとつにまとまっていく感じがとても面白かったし、最後の方は涙なしには読めなかった。(自分も同じくらいの子供がいるからなおのことかも。。)
    読了後、静かな余韻に浸っています。。
    いいもの読ませていただきました!
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    投稿日:2024.05.06

  • 火曜金曜燃やせるゴミの日

    火曜金曜燃やせるゴミの日

    読みはじめたけど、なかなか進まない…しばらく積読本だった。この連休中に絶対読むと決めて再読。やはり最初の誘拐事件のあたりはスムーズに進むんだけど、それ以降は画廊関係の登場人物が沢山でてきて相関がいまいちわからず整理しながらなんとか。しかし、亮君と野本夫妻の日々がわかるあたりから読みやすくなり一気に読んだ。読んでるときは流したけど、読後のいま、里穂がストーカー被害を受けたところやその体験を通して後輩を心配するところとかが記憶に残っている。
    里穂が亮に恋焦がれるあたりも。
    個人的には結末に意外性は感じなかった。
    時間かかりそうだけど、もう一回読んだ方がいいかもと思っている。
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    投稿日:2024.05.06

  • 美久

    美久

    このレビューはネタバレを含みます

    ⭐️3.8

    30年前、二児同時誘拐事件が起きた。
    時効となった未解決事件を新聞記者が真相を追いかける。塩田さんの作品は『罪の声』以来の2作目。
    序盤は警察の専門用語が多く、読解力が乏しい私にはスムーズに読めず…更にページの多さに何度か挫折しそうになったけど第二章の里穂が出てきてから内容も頭に入るようになって最後まで読めた。
    3人で過ごした空白の3年間。
    切なくて終盤は涙涙涙。
    こんなに泣いた物語は初めてかもしれない。
    表紙を飾る白壁にピンと張った一本のロープ。
    まさかこれも写実絵画?とよーく見たが写真にしか見えない。実は野田弘志氏の油彩画だった。
    また改めて見ても写真にしか見えなかった笑

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    投稿日:2024.05.06

  • ricca

    ricca

    まさしく「『虚実』の迷宮」。「ほんとう」とは何なのか。それを知りたくて、触れたくて、綴る、生きるものたちがいる。幾重にも張り巡らされた伏線が回収されていくのが気持ちいい。彼にとっての「お父さん」「お母さん」、それはまごうこと無く真実。
    よい本を読んだ、という実感は、おおむね「このフレーズに出会えてよかった」という一文との邂逅とともに訪れる。
    「他者のさじ加減で翻弄される世の中で、本当に信じられるものとは何か。目の前の実在こそが唯一、根を張って彼を見つめているのではないか。」(p.235)
    不確かなものがあまりに多い時代、社会の中で、確かなものを探す、見つめる、記録する。それがあすへの羅針盤となる。
    「実在」の持つ価値。
    「『生きている』という重み、そして、『生きてきた』という凄み。」(p.463)
    刻まれた時間のとうとさを、正しく、つないでゆく。そんな仕事が、できるといい。
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    投稿日:2024.05.05

  • mayの本棚

    mayの本棚

    このレビューはネタバレを含みます

    平成3年に神奈川県下で発生した前代未聞の二児同時誘拐事件から30年。当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに事件の真相を求めて再び取材を始める…。

    登場する風景や人物の心情などがとても丁寧に描写されていて、映像が目に浮かぶようでした。前半の事件を追うミステリと後半のヒューマンドラマと、緻密な構成には思わず唸りたくなるほど。いやぁ、すごかったです。里穂側の話をもっと読みたかったなぁ。ラストは…よかったね、と言ってもいいんですよね?

    この物語のキーアイテムとなった写実絵画ですが、話の中にも出てきた「ホキ美術館」へぜひ行ってみたいです。

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    投稿日:2024.05.05

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