【感想】遠い声、遠い部屋

トルーマン・カポーティ, 村上春樹 / 新潮社
(7件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
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ブクログレビュー

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  • Sakamo

    Sakamo

    現実の世界と死後の世界の狭間にたつような不思議な印象を持つ作品と感じた。言葉がとても良くて最後まですぅっと読めた。

    投稿日:2023.10.24

  • yuki

    yuki

    河野訳は正直読みにくさも目立ったが、村上訳はさすが。あの魔術的描写の奔流の良さを殺すことなく、よくここまで訳し切るなと感心してしまう(Monkeyの対談を読む限り、村上氏もずいぶん苦労したようだが)
    ストーリーの妖しさもたまらないが、読み手を間違いなく選ぶ本。続きを読む

    投稿日:2023.10.16

  • jaco319

    jaco319

    ときどき迷子になりながらもなぜか進む一冊
    世界観が独特でついついハマってしまう
    叙情的で俯瞰的表現は脳内で映像化されてしまう
    何度も読んで何度も迷子になるべき作品

    投稿日:2023.09.12

  • hokkaido

    hokkaido

    村上春樹の新訳によるトルーマン・カポーティのデビュー作。カポーティについては学生時代に主要な作品を読んだ気がしていたのだが、本書は未読だったために、新鮮な気持ちで読むことができた。

    本書は親に見捨てられて親戚に育てられた少年が、父親からの連絡によってその元へと戻るシーンからスタートする。このように、複雑な背景を持つ少年の姿というのは、あまり幸福な少年時代を送れなかったカポーティ自身の一種の投影にも近しい側面があるのだと思う。それもあってか、カポーティの作品における少年や子供が主人公の作品での、あまりの心理描写のリアルさには本当に驚愕させられる。

    本書でいえば、自分自身が過去に忘れてしまったような幼少期の頃の記憶がふっと蘇るかのような強い煌めきが存在している。大人になれば誰もが忘れてしまうような煌めきを、ここまでかくも鮮やかに現前化することができることこそ、カポーティが作家としての天性の性能を持っていることの証左であろう。

    村上春樹自らが「まるでジェットコースターに乗ってお伽の国を旅しているような感覚」と称した、物語展開のスピード感や、出てくる登場人物それぞれのエキセントリックさも見逃せない。いったいどのように物語が着地しているかの予想がつかず、幻想的な煌めきの中で着地していく読書体験というのは、本当にカポーティ特有のものであると強く実感した。
    続きを読む

    投稿日:2023.09.09

  • cybele

    cybele

    このレビューはネタバレを含みます

     久しぶりの圧倒的な読書体験。アメリカ文学に浸れる至福の時間。独特の比喩を用いた言い回し、個性豊かな奇妙な登場人物たち。古きアメリカのディープサウスの描写が素晴らしい。翻訳者を忘れて村上春樹の新作〜それも中期の頃の特別に面白い長編〜を読んでいるようだった。
     すらすら読めないので何度も読み返したり、戻ったり、以前の河野一郎訳はどうだったかと比較したり。読書の真髄を思い出させてくれる究極の一冊。じっくりと向き合って味わいたい小説です。
     新訳は春樹節が出過ぎてる箇所もある。言葉も前訳の方が分かりやすい部分もあるし、もちろん新訳の方が馴染みやすい単語になっている所もある。前訳で再読してみるのもいいかもしれません。 
    蒲団→キルト  毒蛇→ヌママムシ
    無蓋のフォード車→ピックアップ型のフォード車
    おまじない→護符 など 
     70年以上も前にトルーマン・カポーティが24歳で書いた珠玉の小説。是非、多くの人に読んでもらいたい。前訳と新訳は文章構成も全く違います。しかし、タイトルだけは同じ。自分も考えてみましたが、これを超えるような素晴らしい邦題は思いつきません。☆4は自分が完全に理解しているとは思えないので。
     

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.09.07

  • フラニー

    フラニー

    初めて読んだカポーティは、春樹さんの訳に、山本容子さんの素敵なイラストのついた『おじいさんの思い出』や『クリスマスの思い出』だったけど…

    あの時のノスタルジーにもっと幻想性を持たせたような…

    幻想的でときに凄まじく、あまりにも美しい描写や比喩たち。
    容易く読めないけれど、魅力的すぎて沼に浸かるような読書体験でした。

    母をなくしたジョエル。
    叔母のところに父からの手紙が届く。
    父に会いに行くためには、
    そのランディングという街に行くには、機械化された交通手段がないという。

    もうこの序盤で、私はファンタジーの世界に入っていくのかしらと思ってしまいました。

    ジョエルの唯一の安らぎだった黒人娘のズー、不思議な、大人になったカポーティの化身のようなランドルフ、マッカラーズの主人公みたいにエキセントリックな女の子アイダベル。

    この物語の中に彼らってほんとにいたのかな…

    _火は弱まって灰になっていった。そして古い壊れた時計が疲弊した心臓のようにこつこつと時を刻んでいるあいだ、床に落ちた陽光の斑点は拡散し、暗さをましていった。壁の上に菱形格子模様を描いていたイチジクの葉の影は、大きく膨らんで、くらげの透き通った身体のような、ひとつの巨大な震えるかたちに変わっていた。_

    ときどきこんなふうにトリップします。

    素敵すぎて
    辛すぎた。

    『ティファーで朝食を』などとはまったく違った世界観。
    23歳のカポーティの、初の長編作品。

    春樹さんでさえ、高校生の時に『夜の樹』を原文で読んだ春樹青年でさえ、この『遠い声、遠い部屋』は、当時の英語力ではこの凝りにこった美しくもややこしい原文にはついてゆけず、日本語訳で読んだのだそう。

    実はあまりにこの麗しい文体についてゆけず、途中、アマプラで『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』を観たりしたことが、少しは助けになったかも。

    それから、この不思議な表紙、透明なスーツケースに入った鍵。
    これもカポーティのノスタルジックでイノセントな世界にピッタリでした。
    現代美術家の宮永愛子さんの『suitcase-key-』という作品です。
    この鍵はナフタリンでできていて、いつか消えてしまうんですよ…

    作品のメタファ的なものを春樹さんが感じられたんでしょうか…なにもかもが素敵です。
    続きを読む

    投稿日:2023.08.31

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